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はしがき

はしがき




 最初に私がツブヤキッターで病み垢を見つけたのは1か月前のことでした。

『死にたいけど死ねない夜を重ねて』

詩のような呟きが、呟きを共有する機能によって私のタイムラインに現れたのです。それを呟いた人の名前を見てみると、『病み垢』と書かれていました。病み垢とは一体どういうものなのか。興味が出てきましたので、その人のプロフィールを覗いてみました。そこには聞いたことがないような病名がずらりと羅列されていました。それが病名なのかどうかも、当時の私には判断がつきませんでした。それから、私はさらにその人の呟きも見ていきました。それはまた奇妙なもので、リストカットと呼ばれる自身の腕を切りつける行為を、自慢げに画像と一緒に呟いているのです。誰が見るかわからないSNSなのに、それを呟くことに私は心底驚きました。次第に気分が悪くなったので、その時は見るのをやめました。

 次に病み垢を見つけたのは、それから1週間後のことでした。

『私って彼氏に依存しすぎなのかな?』

こんな呟きが私のタイムラインに現れました。彼氏に依存という言葉は、前に見た病み垢も呟いていました。病み垢に再び興味を持った私はその人のプロフィールを覗いてみることにしました。その人のプロフィールには病名は書かれていませんでしたが、代わりに彼氏の名前やいつも仲良くしているSNS上の友人の名前を、IDと一緒に書いていました。私にはそれが、その人は彼氏や友人を身に纏うファッションかのように扱ってるように感じしてしまったのです。また、その人が普段どんなつぶやきをしているのか気になり、そのまま呟きも読みました。まったく面白くない日常と、いきなり気分が落ち込んだのに任せて『自分なんていらない存在』と平気で口走ったりしていました。私はこの時点で病み垢というものが自分とは全く別の世界であると感じていました。

 最後に病み垢を見つけたのは3日前のことでした。私が彼氏と喧嘩して深く落ち込んでいる時です。その病み垢は前まで知り合った病み垢とは違い、男性の方でした。その人は自分の気持ちを普通の人だったら恥ずかしくて言えないようなことまで書いていて、なるほど男性はこういうことを考えたりしているのだなと、知ることができました。それから、私は病み垢というのは承認欲求を満たすだけでなく、自分の考えを率直に包み隠さずに吐き出せるものでもあると知りました。そして、私は彼氏に対して重すぎる自分の気持ちを吐き出したいなと思うようになりました。だから、私はメンヘラとして病み垢を始めることにしたのです。



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