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18.09.10.M テーマパーク



 この日僕は初めて部活の友達と遠出をした。先輩一人と男子部員が約六名、マネージャー二名でUSJに行った。

 

 朝起きると、前日早紀と喧嘩してできた口内炎が痛んだ。これで何個目だ?と思いながら身支度をした。

 残念ながら僕はかなり乗り気じゃなかった。決してその日が雨だったからじゃない。昔から賑やかな所が苦手で、すぐに人に酔ったからだ。だから友達と遊ぶときとか、昔の彼女とのデート中にバスに乗ったとき、降りた直後のコンビニでの嘔吐経験があって、それも一種のトラウマになっていたんだと思う。でも楽しみにする君見てると、行ってもいいんじゃないかと思った。


 当日、向こうについて思い出した。ほとんど乗り物系統じゃん。って。でも君とならそんな酔いなど大丈夫だと思った。


 最初に軽い絶叫系に乗った。僕は自然の風に当たるものなら何でも大丈夫だった。

 多分この頃にはみんな僕が君のことを好きだということを知っていたんだと思う。冷やかしとではなく、事実として。

 君の隣で乗ることができたし、酔わなかったし、なにより絶叫系は好きだった。雨だったという点を除けば、完璧なスタートを切ることができた。

 問題は次の、ハリーポッターだった。室内かつ自然の風もない。最悪の環境だったけど、天パ君は、そんな僕のために君の隣の席を空けてくれた。君の隣。ただそれだけで乗ろうと思った。

 結果は言うまででもないが、ふらふらになってしまった。乗ったことがあったから、知っていたはずなのに。みっともない。

 僕とは真逆に君は楽しそうだった。だから次違うところに足を運んだ。それを繰り返す度、僕は徐々に限界に達していった。

 運よく昼まで我慢出来て、昼食をとることになった。


 君と一緒に食べた昼食は、いつも学校で友達と食べるよりも、しっかりと味が分かった。特に大声で笑っているわけでもなかったのに、いつもより笑っている感覚があったのは気のせいだろうか。


 お化け屋敷?に行ったとき、君は泣いてしまったのを覚えている。僕は君の高い肩に頑張って腕を回して、大丈夫と慰めながら歩いて行った。

 多分君は恐怖が勝っていて、他のことに気が回らなかったと思うけど、皆は恐怖などどうでもよくて、僕が君に寄り添っていることに気がいっていたんだと思う。あのムードメーカーである眼鏡天パは特にだ。ニヤついていたのを覚えている。

 そこから僕は君の隣を歩く機会が増えた。

 またいろんな乗り物にも乗った。酔いは気分だけでどうにかできるもんじゃないのは知っていた。でも君の無邪気な笑顔を見られるというメリットが大きくて、吐きそうになっていたのに、笑顔が勝手に溢れていた。

 ミニオンのところで、二人で乗った時、僕は正直君といるのが恥ずかしいと思った。確か周りには知らない人が四人いたにも関わらず、ずっと一人で「うわー!」「きゃー!」って叫んでいるんだもの。

 他に一つ思ったことがあった.

「君とこのままはぐれたい」

なんとも自己中だろ?でも僕はそれには従わなかった。きっと僕一人じゃ君を笑顔にできない。そう思ったからだ。僕はかつての自信を無くしていた。

 夜になって暗くなった時、空とは真逆で、君の笑顔は輝いていた。高鳴る鼓動をどうにか抑えようと必死で、手を繋ごうとする自分を殺そうと必死だった。

 君のことが好きなんだと、本当に好きなんだと思った。

 君は終始笑顔だった。そのほとんどが僕の作ったものではなかったけど、それはそれでありだなと感じた。

 帰り道、僕はもう一人のマネージャーと路線が同じだったから、一緒に帰ったが、君のように笑う奴でもなければ、楽しくもなかった。君の大切な友達にこんなこと言ってはいけないと思うけど、僕は彼女を不要とし、君を必要とする。と、心の中で思っていた。

 ごめんなさい。

 僕はこれ以来、皆と行かなくなった。

 理由は書いてきた通り、酔ってしまう。他の場所だったのなら着いて行っただろう。でも君はUSJに行きたがっていたから、僕は違うところがいいと言おうとしたのをやめて、もう行かないことにした。本当は君ともっといろんな景色を見たかった。



 最寄り駅から帰っているとき、空の雲が無くなっていることに気付いた。そしてその空は僕に誓わせた。

『僕は君の笑顔のためなら、ある程度のものは差しだせる。』

 そこは、四月に早紀と喧嘩した場所だった。

 でも、僕たちの関係は多分ここから低迷しだしたんだと思う。





 今回の内容は薄く感じるかもしれない。でもこれは仕方のないことなんだ。こんな充実した一日を、君の隣で過ごせた一日を書こうと思ったら、多分二日はかかる。残念だが、早く完結しなければ、君に読んでもらうことができなくなるから、そこは許してほしい。


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