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職業:救世主 ~世界の危機にシスコンとストーカー召喚してなにさせる気!?~  作者: 弐逸 玖
2-2 各々(おのおの)の想い、それぞれの立場
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お召し替え ~意味も無く話が面倒くさくなる人達編 リオ&亜里須3~

「まさか! そのようなことは決して!」


「フフ、良いでしょう……。わたくしから神官総長様へ、正式に従者候補としてお話をしておきましょうが但し、リズ。リオ以外の法国側従者、これの有無を含め、基本的には全て中央、と言うより教皇様のお決めになることです。あなたは当面。この支神殿にてこれまで通りに励みなさい」


「ですが、大姉様。それは……」


「リズ。話は最後までお聞きなさい。中央の意向は関係成しに、アリスさんが必要とするならその時は。北部山脈の頂上だろうが帝国の皇帝宮殿だろうが。あなた一人、帰る必要も無い以上。この支神殿の転移鏡、その最大出力をもって、大地ランドの上なら何処なりと送り届けてあげます」


「……大姉様」


「だからあなたは、アリスさんのお言葉以外、なにも心配しないで良い。時が来るまで力を研ぎ澄まして待つこともまた、巫女たるものの勤め。当然にあなたはわかっていますね?」



【私はスマホを忘れて、届けて貰っただけのつもりだったのよ? でも何かしら、やっちゃった感がすごいのだけれど。…… もしかすると私があの人の面倒をみてあげなくては行けなくなった、のかしら?】


 一応、責任は感じているものらしいが。

 もっとも、テキスト亜里須さんの送ってくる字面はともかく。

 亜里須自身の中身。

 例え、ストーカーのスキルを持っていようが常識人ではあるので、この辺は当然と言えば当然。


【ここには私でも出来るアルバイトの口はあると思う?】

「……? なんでそんな事を考えた?」

【あの人は巫女をクビになってしまうから、私がお給料を払ってあげなくてはいけない、ということなのよね? 今の話……】



 使用人の給料のためにアルバイトする。と言うのも本末転倒な気はするが。

 そうで無くてもウチの従者の皆様方の立場自体、どうなっているのかよくわからんのだし。

 あいつらの給料だって、最終的には。俺が払わなくっちゃいけないんだろうか……。



「お前が雇うとかじゃなくて、何かあったら助けてもらう約束をした。くらいの認識で良いんじゃ無いか? ――そうですよね? メルカさん」

「基本的には。このアビリィが東教区所属の大巫女であり東支神殿付きの騎士巫女である。そこは変わりません。当然にお給料などの心配は要りませんからご安心を」


「アリス様、自分の食い扶持は自分で何とかします! ユーリ様はもちろん、他の従者の皆様へもご迷惑はかけません! もちろんメルカ姉様に面倒をかけることもしません! 是非このエリザベートを、アリス様の道行き全てへ帯同するよう、今この場にてわたくしにお命じを!」


 ……亜里須がスマホ忘れただけで、

 今。俺の目の前で。人、一人の人生が狂った気がするんだけど。


【裕利君。アビリィさんは今後、本当に大丈夫なんだよね?】

「……俺が聞きたいよ!」

 ホント。大丈夫なんだよね、マジで……。



「今はこれまで。――お話はここでしまいです、リズ、一旦、お下がりなさい」

「でも、大姉様っ!」


「口を慎みなさい、礼拝士長。見てわかりませんか? アリスさんは長旅でお疲れなのです。――巫女の規範、大巫女たるあなたがお客様に対して、これ以上の醜態しゅうたいさらすと言うならば。……そうだと言うなら、わたくしとて信教の教義おしえと神の誇りを預かる副司祭。姉妹と呼び合う仲であっても、あなたの言動を看過する事ができなくなると知りなさいっ!」


 醜態。と言う言葉を聞いて、アビリィさんはうなだれる。


「とは言え一応。……後ほどお時間を取って頂くよう、わたくしからも間違い無く。アリスさんにお願いはしておきましょう。――ですから今は。大巫女でもあり王都東教区騎士巫女筆頭、その矜持きんじをもって、この場はお下がりなさい。……それとも、わたくしの言葉はあなたにとって、信じるには値しませんか?」


「はっ。……総監代理。勿体ないお言葉を有難う御座います。――では私は一時いっとき失礼を致します、アリス様。ユーリ様にもごきげんよろしゅう」

 眉間に深く皺を刻んだアビリィさんは、それでも居住まいを正してメルカさんと亜里須に礼をすると、意外なほど簡単に引き下がる。

 本当にメルカさんはすごくエラい、と言う事であるらしい。




「騎士巫女、ね。神職のクラスは大巫女。……お前は魔導巫女なんだよな?」 

 隣で、袖を気にするリオに声をかける。


「私は巫女とか魔道士というよりは雑用係、それは否定しないしそれしかできないし。――アビリィさんはどっちかって言うと、巫女と言うよりは騎士よりの人なの。背筋も言うことも。いつだって真っ直ぐでさ、カッコいいよね。巫女としては超一流だし、騎士巫女としても東教区トップ、中央の白騎士団に呼ばれる。って噂があるくらい」


 ――だからアリスのお世話係の子達の責任者だったの。そう言うリオを見ながら考える。


 そんな凄い人に亜里須を守って貰えるのは単純に有り難いけど。

 そこまでして守って貰う価値。それは俺達に有るんだろうか……。



「それは良いとして。……なぁリオ」

「なーに?」


「人嫌いの人見知りにどうやって仕える気なんだろな、あの人」

「アリスは良い人で間違いが無いけれど。……でもアビリィさん、スマホもってないしねぇ。きっと意思の疎通が大変かな。ちょっとのところ、なんだけど」

 そこがリオと同じ結論に至って何よりだ。



「横にユーリがいれば、通訳できるから良いんじゃない?」

「亜里須、俺も雇ってくれ」

「うぅ。……あの。……時給、おいくら?」

 変に素直な亜里須だった……。

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