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職業:救世主 ~世界の危機にシスコンとストーカー召喚してなにさせる気!?~  作者: 弐逸 玖
2-2 各々(おのおの)の想い、それぞれの立場
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お召し替え ~意味も無く話が面倒くさくなる人達編 リオ&亜里須2~

「こちらでしたか、アリス様! 申し訳ございません、お渡しするのを忘れました!! お身体に障りなど、ございませんでしたでしょうか!!」


 リオと同じ巫女の服を着た女性が、白いケープをなびかせ、顔色を無くして走ってくる。

 違うというなら巫女服の羽織のした。左胸に神の紋章の着いた鋼鉄の胸当て。

 騎士巫女の制服だ。

 彼女は亜里須の前にひざまずき、右手にしっかりとスマホを握らせ顔を見上げる。


「我らにてお預かりしておきながら、お召し替えの終わるタイミングを見誤るなど。お世話係を仰せ使いながら言い訳さえできぬ不始末っ! ですがっ! それでもどうかお聞き下さいアリス様。……若い巫女達は、あなた様にお目文字叶った、それだけで夢心地だったのです。処分はどうか、それを見過ごしたわたくし一人の首をもって、何とぞお許しを願いたく……っ!」


 いや、命かけるほどの間違いは誰もしてないですからね。マジで……。

 亜里須は完全にあっけにとられてフリーズしているが、騎士巫女の服を来た人はさらにたたみかける。


「ほんの一時いっとき、ご一緒させて頂いただけですが、アリス様のお優しさは十二分に感じ入り、まさに胸を打たれるかのようでした! されば、その優しきお心を持って、処分はわたくし一人の命にて! 彼女らにあってはまだなにも知らぬ子供達故、此度こたびの失態、この原因はわたくしの監督不行き届きにあるのです! 何とぞものを知らぬかの少女らの命、これだけはどうかご容赦の程を……!」



 俺より背は高くて、アテネーさえもさらに超える。歳は二十歳前後?

 リオとほぼ同じ服からちらほら見える“各部”は、騎士巫女の名に恥じないもので、エロティックさ。もさることながら引き締まって一切の無駄が無い。


 オリンピックの競技用ユニフォームをみても、エロさはあまり感じない。

 それと同じことのようだ。



 風呂や着替えについて行ったのは、もっと若い中学生くらいの巫女さん達だったはず。そう言えばケープも彼女等よりちょっとだけ長い。

 多分亜里須担当の責任者、と言ったところなんだろう。


 つまり着替えた後、彼女の部下が亜里須にスマホを渡すのを忘れ、亜里須本人もそれを強く言えないままここに来てしまった。と言うことか。


 大事なお客さんである上、あの魔導板スマホが俺と亜里須、双方の手元に無いと亜里須が死ぬ。と入り口で言い張ったのだし。

 ならば当然、お世話係としては青くなるだろう。


 亜里須がコミュ障なだけで、巫女さんの命は風前の灯火ともしび

 ……なんて理不尽な。



「そこまで気にしなくても。……半日くらいなら、手元に無くたって死なないから心配しなくても良いですよ。――だろ? 亜里須」

 しかも、なんで俺がフォローを……。


「……うん。だいじょぶ、……です」

 亜里須はそう言ってしゃがみ込むと、目の前の巫女の肩に手をかける。

「悪いのは、受け取るのを忘れたお前であってその人じゃ無い。そうだよな?」

「……うん。――んと。……ごめん、なさい」


「ア、アリス様……。あなたはご自身の御身おんみが危機的状況であったのに、その気高いお優しさはいったいどこから……」

 その巫女は両手を床につけて大粒の涙をパタパタと落とす。

 ……大袈裟すぎだろ、いくら何でも!


 突然、巫女の人はメルカさんに向き直る。

「状況は今、アリス様に申し上げた通り! 総監代理にあっても、どうか処分はわたくし一人の命にてご容赦頂きますよう、お願いを申し上げる次第です!!」


 おい亜里須、どうすんだよこれ!!

 ここまで口を挟まなかったメルカさんが突然張った声で割って入る。


「大巫女、アビリィ礼拝士長。聞いた通りです。アリス様御自らが許す、と仰って下さっておるところ。よってあなたと、そしてあなたの配下の所業については間違い自体、これを無いものとし、よって。処分も当然に無しとします」



 騎士巫女の彼女は突如。

 身体の向きをもう一度亜里須に向けると、床を見ていた顔を、――がばっ! と、あげて顔を見つめる。


「アリス様! わ、わたくしは騎士巫女のエリザベート・アビリィと申します。あなた様の寛大な処置に誠、感動致しました。これより先、アリス様の剣として立ちはだかるものを全て切り伏せ、楯としてこの身を持って御身をお守り致す所存です!」



 おい亜里須! お前がスマホ忘れたおかげで、大変なことになっちゃったぞっ!

 アビリィさんは、すっ。と立ち上がると涙を拭うこともせずメルカさんに向き直る。


「副司祭、リッター総監代理。わたくしは、これよりも支神殿に奉職する巫女ではありますが、一度ひとたびことあらば。その時はアリス様の騎士となります! ……もしもそれが、大巫女の立場にあらざる行為だと思われるならば。ただいまこの場にて、破門して頂いて結構ですっ!」



 それを受けてメルカさんも顎を引くと、いかにも神職という良く通る、張った声で答える。


「大巫女アビリィ、覚悟はしかと聞き及びました。……ことあらば、神職の服を脱ぐこと無しにアリスさんの元へ馳せ参じること、許しましょう。自ら決めた生き様とは言え、それは非常に困難で険しい道。――それを自身で選んだ以上、先ずは神にお仕えするものとして、これより先も懸命に真摯に務めなさい。法国の守り刀、騎士巫女アビリィ」



「はい! ……ありがとう存じます。大姉様!」

「……なるほど、救世主様の随伴騎士(エスコ-ティアン)。初めからきっかけを待っていましたね? リズ。――大巫女となってなお、騎士の血は押さえられませんか?」


 待って待って!

 なに? どう言うこと!?

明日も作者的にはアレですが

世の中的にはお休みですので、続きを投稿致します。

続きはまた明日の早朝に。

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