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職業:救世主 ~世界の危機にシスコンとストーカー召喚してなにさせる気!?~  作者: 弐逸 玖
2-2 各々(おのおの)の想い、それぞれの立場
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お召し替え ~意味も無く話が面倒くさくなる人達編 リオ&亜里須1~

「ユーリ! 見て見て見て!! 似合ってる? ね、ね、似合ってる!?」


 “お召し替え”から一番最初に帰って来たのはリオ。

 ……ただ、言ってることが良く分からない。

 洗濯をしているのか、黒い法王のケープが無い以外。

 変わった部分は無いんじゃないか?


「今までと同じ服じゃないのか? それ」

「ほら! ボタンの数も、袖の形も紐の色も全部違う! よく見て、全然違うでしょ!? ほらほら、ちゃんと見てっ!! 違うでしょ? ――似合う? 似合ってるかな? 似合ってるよね! ね!?」


「でも、それが何か……?」

「リオ。……ユーリ君がなんで神職のクラスに詳しいと思ったのですか?」


「……? 位、ですか? ――ん? なんだ?」

「ふっふーん。私、昇格しましたぁ! なんと。見習いから拝殿巫女、神殿巫女、を飛ばして大巫女になったんだよっ!! 三階級特進! なんか夢みたいっ!!」


 ――それで服が替わった、と言う話か。自慢したかったんだ、なるほどね。

 見習いであっても厳格な巫女。その設定に縛られて、自分を厳しく律してきたリオではあるが。


 実際の中身が里緒奈いもうととどっこいなの、忘れてた。



 実際に階級自体には詳しくないことも無いが、それはステイタス上での話。

 服装は巫女である限り変わりは無かったはず。

 これも、“解像度”の上がった故なのかも知れんな。



「よくわからんがおめでとう。お前は必要以上に頑張ってるからな、それくらいのご褒美は貰っても良いんじゃないか?」

「ありがと!」

「で、メルカさん。大巫女ってどれくらい偉いんです?」


「この支神殿でも大巫女、もしくは大導師の地位にあるものはリオを除いて六名。その上は助祭、わたくしと同じ副司祭、そして司祭、司教となりますが。助祭ともなれば、地方拝殿の拝殿総監を仰せつかってもおかしくない、司教の上ならもう神官。なので司祭以降は中央大神殿詰めが普通、となります」


「え? じゃあ、リオの立場ってこの支神殿だけでも……」

「王都東教区の奉職者六五九名中、わたくし含めて神職が四九八名おりますが、ここに入れば上位から数えて一〇位か十一位にあたります。法国全土でも五百位以内には間違いなく入ります」


「メルカさん、大丈夫なんすか? それ」

「ちょっとユーリ。それ、どう言う意味!?」


「でもユーリ君、実はこれでもまだ足りないくらいなのです。既に聖気の巡りが見えるものから言わせれば、リオは神官クラス。最低司祭でなければ、不当に地位が低い。と言われても文句が言えません」


 彼女と身体をシェアする自称“神”が(主に自分の保身のために)、力の巡りを良くした上に、大精霊が(なんとなく)加護を授けた。


 自分でも言っていた。

 元々聖気や魔導の力に関しては、封印が無いと制御できない程に桁外れ。

 それが、リオが出来損ないに甘んじている原因なのである。


 だから力の制御、これがある程度可能になったと言うなら。

 そこはおかしくは無いんだろうけど。


「おい、大巫女様よ。力はともかく、……中身、伴ってんのか? この昇格」

「え? ……えっとぉ。な、なんのことかなぁ」

「ここ数日で、王都支神殿総監クラスの仕事、神事。これら全てを覚えて貰いますからユーリ君の心配はあたりません」


「え゛? ちょっとちょっとちょっと待ってメル姉! 私、大巫女だから総監様になんてならないし……」

「力あるものには、好むと好まざるを問わず、責任が発生するが必然。今日から徹夜になりますから、これよりそのつもりで休んでおくように」

「え゛~っ!!」




 ん? 視線を感じる

  隠れているのでは無く見つけて欲しい、みたいな。

 ――なんかお馴染みなこの気配。そして開けられたままのドアの陰に人影。


「わぁっ! ――わかっててもビビったよ! ……あ、亜里須。なにしてんの? お前」


「……あの、ね?」

 白のスカートに、同じ色の上着、いかにも手触りの良さそうなブラウス。スカーフにつばの広い帽子、ご丁寧にパンプスまで白。

 セーラー服以外始めてみたが。……なに着ても似合うのな、お前。

 なんか、すげー悔しい気がする。


 異世界感を全く感じない姿の亜里須が扉の陰から、帽子を押さえつつまさに、おずおずと。と言う感じででてくる。

「何であんな服が……」


「かつてお金持ちの方が、異界の書物だと言われるものを参考に、最高の職人と生地を使って作らせたものなのですが」

 多分、デジタル化した雑誌か何かが、サーバのデータに入ってたんだろうな。


「あぁ、なるほどね。服は詳しくないけど、上等なのはなんかわかる」


「作っては見たモノの、誰もどう着こなして良いかわからずじまいで。結局この支神殿に寄贈され、そのまま置いてあったものです」

 寄贈する方も寄贈する方だが、それをもらう神殿もどうかしてるんじゃねぇの?

 なんに使うつもりでもらったんだよ……。


「アリスさん、とお呼びして良いのですよね? ――流石さすがは異界の方、着こなしていらっしゃる。本当に良くお似合いですよ」

「……」

 亜里須は赤くなって俯く。


 普段ならテキスト亜里須さんが、照れ隠しの一つも送って来そうなものだけど。

 今日はなんでかぴゅいぴゅい着信がならない。


 ……うん、いつもこうなら静かで良いんだが。

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