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リオお姉様の偉功

「同じ生地は再現できないようですが、ユーリ様とアリス様。お二人のお召し物も、ほぼ同じデザインでお着替え分の服も用意をしているそうです。但しこれについては、数日の猶予を頂くことになるようですが」

「なんか悪いね」


 どうやら俺の学ランと、亜里須のセーラー服を新調してくれるらしい。

 別に学ランとワイシャツに拘りは無いんだけれど。



「服のサイズは如何ですか? 採寸したわけではありませんので、きちんとあっていると良いのですが。お召しだった服は、良い天気ですので明日には乾きます。しばしのご辛抱をねがいます」

「……オーダーなのかと思ったよ」



 風呂をあがって、身体を拭いて。

 用意してあったのは、良くある冒険者風の服。

 学ランとワイシャツは、話の通りに洗濯して干してくれてる様だ。

 亜里須のセーラー服も同様だろう。



「お気遣い、痛み入ります」

「いや、あの。……イヤミとかじゃ、ないからね? ホントだから」

「勿論、わかっております」


 俺のお風呂には、残念というか当然というか。

 巫女ではなく同等の立場の男性達である導師。

 見た目は中学生くらいの彼ら、三人が付いてきていた。


 しかも。

 三人ともぱっと見、女の子に見えるほどの綺麗な顔立ちの美少年。

 なにこの人選……


 そのうち二人には“風呂場の中”にまで付き添われ、全身を洗ってもらうおまけ付き。

 彼らも一緒に服を脱いで、俺の身体を洗ってくれるわけで。

 お腹もお尻も。美少年で神職なのに、やたら鍛えてるねキミら……。

 つうか。――マジで要らないんですけど、そういうサービス。


 もっとも、宗教儀礼的なみそぎの意味合いも多少はあるようで、洗う場所や洗う順番、洗い方。なんてな事も多少はあるから、仕方が無い部分があるのは理解する。


 実際に洗う順番やら、流したあとに香油を塗られたりして。

 いかにも宗教的。と言うような部分もおおいにあったんだけど。



 もちろん“自分で洗うべきところ”は、彼らが手を出すわけもなく。

 BL的なハプニングは何も無し。


 いや無いから、本当に。

 あったら困るから。

 多分、あったら今も困ってるから……。



 別に残念がっているのではなく。少しほっとした。と言う話。

 洗い方の作法の中に“そんなこと”が含まれているのでは。

 と、実は内心ビクビクだったのだ。


 あからさまな年下の男の子を相手に。“反応”しちゃったら今後ちょっと。

 色々、考えなくちゃいけなくなるし。

 いやいや、今こそ考えどころなのかも。


 今現状。俺の周りの女の子、みんな怖いし。




 その後、一人は俺の脱いだ服と使ったタオルを抱えて、一礼するとさがり。

 もう一人は使った浴槽を掃除中。

 ……良いのかな、こんなに至れり尽くせりで。


 今、複数の意味で清めて貰った身体をタオルで拭き上げ。

 その後、着替えに付き合ってくれているのは一人だけ。


 一番背が高い。とは言えリオと同じくらい。加えてやたらと美形。

 でもそう言う意味では顔つきはもう、どこからどう見ても男の子、なんだけども。

 表現しようと思ったら一番最初に思いつくのは、コイツ、綺麗だな。ってこと。

 ……俺の中で、立派な薔薇の花が咲き誇りそうだよ、マジで。


 神殿側がそういう気回しをしてる。と言うことでは無いと信じたい。

 ここはかなり本気で。



「お着替えが終わりましたら、副司祭様がお待ちですのでご案内します」

「あぁ、ありがとう。いいのかな、こんなに至れり尽くせりで」


「いいえ。本来は足りないのですが。……ユーリ様もアリス様もあまりお世話がすぎると、かえってご迷惑になる。とリオ姉様より伺っております。ですので、儀式、儀礼的な部分のみのお手伝い以上のことは、むしろするな。と、他の者にもぼくの方から強く、言い含めておりました」


 ……なら、彼が。“色々な”BL的イベントから守ってくれたことになるが。

「あ、ありがとう。助かる」


東支神殿ここにご滞在のうちは、リオ姉様の手の回らない部分のお世話はぼくが担当させて頂きますので、何なりと」


「まだ、名前。聞いてなかったなそう言えば」

 キミ、とかお前。じゃやりづらい。


「名前を聞いていただけるなど光栄です。リオ姉様の弟分で、東支神殿付き魔導導士見習いの神殿導士、レイジ・イーストと言います。どうかレイジ、と呼んで下さい」

「……イースト?」


「リオ姉様にゆかりが会って、神殿に所属するものは、初めに配属された神殿の名前を名字に頂く。これはリオ姉様が教皇様に直々に許可を頂いたそうです」


 彼の所属は東支神殿。名字が“東”なのは元々無かったから、か。

 他にも何人かイースト姓を名乗ってる子が居るんだろうな。

 リオに拾って貰った、なるほどね。


 でも。……巫女として、立場は一番下なんだよな、アイツ。

 なんでそんなことを法王に、直接交渉できるんだ?


「その他、巫女を飛ばしていきなり助祭になったものもおりまして、その者はアクシズの名字を名乗っています。これもリオ姉様が……」

 アクシズ、直訳すると中枢。

 法国では宗教的に偉い立場の人は政治的にも偉くなる。

 中央を示すセントラル、では足りないと言う事か。



「姉様、か。……レイジは、リオとは仲が良いのか?」

「僕などは本当に。姉様に拾ってもらって、導士のお役目に付けて頂いたようなものです」


 さっき聞いたところに寄れば、彼は階級から行けばリオより上。

 リオの拝殿巫女見習い、から数えると階級的には二つ上。拝殿導士を通り越して神殿導士になってしまっている。


 役職としても、王都の東支神殿専属。導士としてはかなり偉い。

 そう言う意味では、リオは一応、中央の所属ではあるが。


 元々はお嬢様だった彼女である。出自の都合で中央に引き取られた可能性が高い。

 東支神殿から引き抜かれた、と言う訳ではあるまい。

 

 抜かれちゃったんだな弟分に。

 そう言えば前に自分でも自虐ネタで言ってた気が。



「ふうん。リオが、ねぇ」 

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