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気にしない

【イベ無し鯖の3とチュートリアル鯖TYOが無事って事は 被害に遭っているのは引き継ぎイベント参加者と言う事ですかね?】


【数字から行くとミッション受けた一割以上が喰われた、と言う事か……】


【ランク上位の連中が軒並み帰って来れなくなってるらしいぜ?】


【ラビットビル、さっき見たぞ。アイツどうした?】


【誰もログアウトを確認してないけど、ほぼ間違い無く逃げたな。ここしばらくのアイツはそんな感じ。逃げ足は昔から早ぇ】


【マジやばいです! テスターのsquartatoreさんが様子見に行って二次遭難だそうです!!】


【デザイナーの鎚山さんも救助に向かって音信不通、ってイラストクラスタの人が言ってる!】


【お前ら行くなよ! フリじゃ無いからな、絶対行くなよ!?】




 サブモニターに映し出されたコピーしたコードのリスト、これをもう一度読み返す。

 見えないだけでボタンはあるし、イベントの発生条件は俺一人に対してだけ。

 だから、もし仮に俺以外に波及したとして、実害が出るはずが無い。


 ボタンが見えなくなるだけで実際にはあるし、その他の機能もそのまま。

 つまりいわゆる“法律タイマー”も当然動作するはずなのだ。

 法に引っ掛かる部分は触っていない。あくまで悪質ではあるが悪戯いたずらレベル。

 ――いったい何が……




「おにいっ! 生きてる!?」

 ノックも無しに、ばん! 扉が勢いよく開いて妹が入ってくる。

「わぁ! ……何事だよ、里緒奈りおな。びっくりするじゃねぇか!」

「ニュースで、ゲームの中に閉じ込められたってやってたから。ゲームの名前、AdMEって言ってたし!」


 一応心配して様子を見に来てくれたらしい。

 高校になってのばし始めた髪には白い大きなリボン。


「心配して、くれたのか?」

「当たり前でしょ! 引きこもりなのが気にくわなくても、でも私のおにいは残念ながら一人しか居ないんだし」


「残念ってなんだ! それに俺は引きこもりじゃねぇ! ちゃんと学校にも行ってるし、友達の番号も携帯に入ってるわ!」

 ――その友達が標準より若干少なくて、ほんの少しゲームが好きなだけだ!


「ふぅ。……でも、おにいが無事で良かったよ。ホントに」

 卯棟里緒奈うとう りおな。俺とは年子の妹にあたる。


 あの両親を掛け合わせてどうしてこうなった?

 と身内ながら突っ込みたくなるような容姿。

 更に、頭が良くて性格も明るく素直。胸が無い以外は非の打ち所が無い。

 彼女は俺の自慢の妹だ。



 試験期間終了後廊下に張り出される“成績優秀者トップテン 一年生の部”にはいつでも名前がある。

 当然私立でも結構上を狙えたはずなのに。何故コイツが同じ高校なのか、多少理解に苦しむところではある。


 成績優秀な上、なんで選んだのか今でも謎な長刀なぎなた部。そこでも一年生ながら代表に抜擢され、もちろん友達も多い。

 付き合ってるヤツは今のところ居なさそうだが、きっとすごくいい男を捕まえるだろうことは時間の問題。

 同じ親からたった一年違いで生まれたのに、何故こんなにも差がついた?

 


「危うく難を逃れたよ。まぁまぁ危なかった」

「その辺、おにいは上手いからね。巻き込まれてないとは思ったけれどさ」

 そう言うと里緒奈は部屋を出て行こうとして振りかえり、こちらを指さす。


「早く寝なさいよね。なんで私が毎朝起こす係なわけ? ――彼女作って、その人にやってもらいなよ。モーニングコールとかさ?」



 妹よ。『お湯を注いで良くかき混ぜてください。出来上がりです。』

 みたいな感じに簡単に言わないでくれ。

 “彼女”は俺一人じゃ作れないんだよ……。

 

 だいたい。それができるくらいなら。

 俺の携帯電話の女性の登録が、お前と母さんだけなわけがあるまい……。



「わかったよ。今日はもう寝る!」

「あ、そう言って3時まで起きてるパターンだわ、これ」

 ――明日は二回起こしてダメだったらあと、ホント知らないからね。笑いながらそう言うとドアが閉まる。


「おやすみなさい! マジで寝なよ?」

「あぁ、寝る寝る。……おやすみ」


 今日はもう寝てしまおう。だって俺の彼女が起こしてくれるわけでは無いから。

 あまり妹の手を患わせるのは、兄として多少問題があるだろうしな。

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