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追い詰められるモリガン

「いくら超級蟲使いとは言え、この魔導の嵐から逃れることはできぬぞ」

「それで? ここまで全て防ぎきって見せているわけだが、まだそんなことが言えるとは。……面の皮の厚さだけは自信を持って良いぞ」


 モリガンは、蟲をコントロールしつつ、黒魔法でも上級に位置するバッファドームを張ったまま、というかなり負荷がかかっているはずの状態なのだが。

 何事も無いようにゆっくりと話しながら、思うままに歩いて行く。


「まだ威力は上がると言っている!」


 既に、なんで魔道士で無いモリガンが魔導を使えるのかについて、理屈はわかってる様子。

 ただの戦闘狂のイノシシ武者じゃない、むしろ普段は戦闘職でさえないから相手の手の内はじっくりと見極める。

 これはここにいないプラチナナイツの役割だけど、全員が分担して、自分の目で見て小さな事でも即座に共有する。

 この辺がカラードナイツの怖いとこなんだよ。


「魔導防御さえまともにできないヤツらに何を言われてもな。――なら、あげてみると良い」

 

 いつも通りの不遜な態度ではあるがそう言いながら、自分から攻勢にでることはしない。

 いや、できない。か。

 普通だったら喋りながら歩き回るなんてこと自体が不可能な状態なんだよ、今。


「貴様……。言ったな?」

「彼女が使うのは黒魔導系だから、極力白魔導系の攻撃に切り換えるわよ! ……めんどくさいけど」

「蟲の早乙女よ。その防御、基本はダークバッファドーム。なれば、儂の水の魔導でそのままぶち抜いてくれるからそう思うが良い」 


 言ってる内にも魔導の圧があがり、攻撃の種類が変わる。

 白魔導をこれだけ連発できるのはさすがのコンジキだし、遠距離からの水の魔導であれだけの攻撃力をだせるのは、単純に頭がオカシイとしか思えない。

 そして、本命の”飛ぶ斬撃”がその中に混ざってくる。

 モリガンは防御で手一杯、他には何もできない。確かにこれなら防御はいらない理屈だ。 


「コンジキ、あと20右に! 足止め任せるからねー! ルチード、位置をモリガンさんの真横に変えるよー!」

「御意、お任せあれ」

「真横だな? 了解だ」


 これで十字砲火になっちゃ、防御し切れなくなって本当にマズそうだが。

 まだ魔導は始動できないのか?


「こんなもんか。……地獄の業火(ヘルインヘルノ)


「またインヘルノだぜ」

「バッファドームと違って動けないはずよ!」

「よし、動きを止めたぞ! 一気に防御を削り切れ!」


「次の防御は無い、と見て良いねー。コンジキは、防御をできる限り短時間で削り切ってー! ――ルチード、距離、詰める準備ー、インヘルノ解除と共にダッシュ、いくよー!」

「あぁ、わかった。……あのお嬢さんはクビを跳ねなきゃ止まるまいからな。強情なこったよ」


「だれもこんなんで大怪我とかして欲しくないんだよー。すぐ直る、とはいえ一週間程度は寝てなくちゃいけないしねー」

「一週間程度で済むかねぇ、あのお嬢さんだぜ?」

「だから降伏勧告しようって話だよー」

「違ぇねぇや」



 刀を突きつけられて”負けを認めろ!”ってやるわけだ。

 なにしろ即死攻撃禁止がこの決闘のルール。

 本人が認めなくても立会人に負けの判定を出されるはず。

 あの二人でさえ、それ以外に穏便おんびんに済ませる未来が描けなかったらしい。



 超必殺技である巌山がんざん破砕鋼破掌はさいこうはしょうは、もう出せない。

 魔力も既にカツカツ。

 ダッシュも使えるかどうか。

 蟲は完全に恋來奈子さんに意識を向けざるを得なくなっているし、いくら超級蟲使いとは言え、大規模に呼び直すのはさすがに電池切れ。


 誰もモリガンの能力なんか説明してないのに、アズーロさんとルチードさんには完全にバレてる。

 そうであってもまだ警戒は解いていない。

 さすが尖った能力だけで勝ち残る変人クラン。


 うーん。そろそろ、モリガンが負けになっても介入すべきか?


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