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タンクvsモリガン(with 総師範)


 突如。なんの前触れもなしに突然、モリガンの黒魔導の攻撃が激しくなり、


「なんだぁああ!?」

「悪あがきだ、防ぎ切れ!」

「コマンダンテ、この攻撃、裏があるぞ!?」


「む? 各グル-プごとに散開さんかーい! 至急しきゅー!!」


 アズーロさんの声と、モリガンが高速ダッシュで姿を消すのはほぼ同時。


 こんなスキルが使えることは知らないはずだが、さすがはアズーロさん。

 モリガンの姿がかき消える前には散開の指示が飛び、三つのグループに分かれて戦闘態勢を取り直す。

 そして消えたモリガンは、ルディサンゲの二人の前に姿を現す。


「やはり、こちらに来たかっ!」

「来ると思ってあえてバラしたんだ! 読み通り(よみどーりー)っ、いっただきー!!」


 横薙ぎの剣と槍の突きとが微妙に位置を違えてモリガンを切り裂き、貫いたが、すでに本人の姿はなく、双方残像を二つに斬り裂き、突き刺さるに留まる。


「分かり易すぎておかしーっ! ルチード、右、……じゃない左にー!」

「わかった! 金色こんじき、こちらの右、後方20に! 全方向に弾幕、周囲警戒!」


 即座に位置取りを変える。

 この二人、モリガンの行動を読んでた……?

 本来この辺はルチードさんの領分だったはずだけど。アズーロさん、戦術眼も実戦闘も、めちゃめちゃ強くなってない!? 


 ただ、モリガンも高速ダッシュはできる回数に制限がある。

 リアルランドならともかく、箱庭世界では距離と回数の制限、回復時間は必ず発生する。

 気合いとか根性でもう一発、なんて事は出来ないし、それは自分で実験して知ってるはず。

 指揮を執り、相性あいしょうも一番悪いと思われるルナディサンゲを潰しに行くのは理解できるが、失敗した後はどうする?

 

 但し、迎撃態勢を固めたルナディサンゲの二人の前にはモリガンは、現れる事は無く。

 シールドを構えて隊列を崩さないシュバルツシルトの真ん中に割り込んでいた。

 正面から、自分の身長を超える高さで現れたモリガンは、現れた短剣をかわし魔導での防御フィールドは自分の魔導で相殺そうさいしながらスピードを維持して突っ込み、三人のうち真ん中のアタマを鷲掴みにして、正面から見て一番左の胸のあたりに左足を絡めた。

 

「兵法書に曰く、体重、腕力に劣るものは重装歩兵に対しては劣勢にならざるを得ないが、仰向けにひっくり返してしまえば、自身の重量があだとなり立ち上がるまで時間が、……かかるっ!」


 モリガンは腕と足に、お互いの防御魔導同士が干渉する火花を散らしながら、鷲掴んだアタマを押しやり、そのまま鎧ごと倒れていく。足をかけたもう一人もそのままゆっくり、仰向けに倒れ始める。


「うお! うおぉ、マジか! お、おぉー!?」

「なんでこんな! 重心が、ずらされてる!?」


 何事も無く空中でくるんと一回転して着地したモリガン。

 後方では。――ガンガラ、ゴシャ! 重たい鉄が倒れる音が複数。


「ふぅ、危なかった。力の足りない分はスピードで補うというアイディアは良かったが……」


「こ、こんな華奢きゃしゃな女の子にひっくり返されるとは……」

「が、は。……。見た目と重心が別。……こんな強引な、やり方は見たことがねぇ」



「まったく、なんでこの重さで機敏に走れているんだ。もう少し重かったらスピードが足りないところだったぞ」


 そう言いながら、仰向けのまま自重で地面にめり込み、まったく立ち上がることが出来ずに居る二人の前。

 パンパン、と手を払うモリガンに残る一人が楯を前面に押し立て、シールドバッシュを決めようと迫る。


巫山戯ふざけた真似をっ! 少し痛いぞ、蟲使いの嬢ちゃん!!」

「さる格闘家に曰く、――力押しが効かぬならば内なる意思を力へと替え、あえて正面から叩き付けよっ!!」


 モリガンは思い切り振りかぶったシールドに対して回避をせずに、いったん握った右手を引くと黄色い光を発し始めたそれを掌底しょうていの形で突き出し、正面からシールドとあわせる。


「……されば天をつく岩山さえも、砂つぶてへと帰するであろう」


 鉄同士がぶつかったような、――ゴーン!! と言う音が響く。


巌山がんざん破砕鋼破掌はさいこうはしょうっ!!」

「バ、バカな、片手で、止めるだと! ”S”の、しかも超重量級の楯だぞ!!」


 何㎏あるのかもわからない巨大な楯がモリガンの掌底で止まる。

 当たった部分が、手のひらのカタチに欠けてポロリと落ち、シールド全体にひび割れが走り、さらに細かいひびが全体を覆い、鉄の破片がボロボロと地面へと落ちていく。


「まだ短剣があるか、……さて」


 もはや持ち手部分だけになったシールドを右手に、左手に短剣を構えた重装歩兵の正面。

 モリガンは二、三歩退くと腰を落として、如何にも格闘家風の構えを取るが。


「いやいや、いやいやいや……ムリムリムリっ! ムリだぜ、ムリムリ! もはやなにもできねぇよ! 降参だ、降参降参!」


 黒い鎧は、右手に残ったシールドの持ち手と、左手に握った短剣を放り出すと両手をあげた。

 倒れた鎧も起き上がる努力を辞めて両手をあげる。


「三名の脱落を確認! 両手を頭の後ろで組んでその場を動くな! 回収、急げ」

「えー、アレ回収すんの~? 私一人で~!?」

「……わかりました、私も行きます」

「立ち合いは一人は残らねばならん。二人共済まないが頼んだ」

「あんたが重たいの、持ちたくないだけなんじゃないの?」


 モリガンは意外にも格闘技の必殺技で、体格的に大きく勝るタンク超特化パーティ、シュバルツシルト・ブルダーシャフトの三人を粉砕した。


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