表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
413/470

議題:白騎士 Side : Magical Empire

「は、……なれば、僭越ながら。先ずは自分から皆さまにご報告を申しあげるご無礼、お許しを。――先般、法国中央にて大幅な人事の刷新があったのは皆さまご承知の通り。わけても、我が国にもっとも影響があると思われる事項についてのご報告を申し上げます。……これまで空位であった白騎士の襲名、着任をつい先ほど、確認致しました」


 ――おぉ


 と議場がどよめく。

 ここまで細々と、まことしやかな噂は有ったものの。

 法国全騎士団の象徴にして法王の最側近、最強騎士団白騎士団の団長、白騎士の就任。

 このリアクションは、この場の誰も。表面上、帝国の最高諜報機関、元老院の諜報局さえ持っていなかった証左だ。


「これはついさっき、イストリパドオアの密偵くさの掴んだ情報よ。――ありがとう、副長。なおっていい。……もっとも白騎士の名を継いだのは大方の予想通り、今まで中央騎士団長だったジュリアン・ハイアットなのではあるけど。……ね? 黒騎士。あなたにも関係があったでしょ?」


「な……。よ、よりにもよって、ジュリアンが、白騎士……などと。――閣下、失礼ながらその話、間違いなど御座いませんでしょうか?」

「確定情報よ。だからあなたにだけは違いなく伝えておきたかったの」

「閣下のお気遣いに、最大限の感謝を申します」


 ――だん!

 会議テーブルを両の拳で叩くと、黒騎士は目を大きく見開いて立ち上がる。


「……かくなる上はあのもののクビは我が、間違い無くこの手で取ってご覧に入れると! 今ここにて、我は方々にお誓い申し上げる次第っ!!」


 そう、彼女の名前はジュリアナ・ハイアット。法国の筆頭騎士、ジュリアン・ハイアットの双子の姉である。




 かつて帝国に併呑された小国の双子の王子と王女。

 せめて、片方だけでも生存を図りたかった国王は、国が滅ぶ直前。

 自身と王妃の命と領土。それと引き換えにしてまで。息子と娘を帝国と法国、それぞれの陣営の有力者へと引き渡した。

 その後、子供達は騎士として一気に頭角を現し、帝国と法国において双方、 騎士の中の騎士(ナイトオブナイツ) とさえ呼ばれ、騎士の最高位を任されるまでに成長した……。


 なんて。……いかにもゲームやらマンガの設定ではあるが、今この時は。この大地ランドでは、これこそがリアル。

 そして、それを受け止めるのはゲームのキャラクターではなく。

 帝国最強として皇帝より黒騎士賭して側使えを許された騎士。

 二つ離れた席で俯いて小さく震える女性、ジュリアナ・ハイアットその人。 



「……白騎士となれば法国軍事面の柱でもある以上、直接対決などほぼ無い事は明白、でも、これだけは私の口からあなたに知らせておきたかった。それが今日、ここに呼んだ理由。……わかってもらえた?」

「この黒騎士に二言はありません、たとい弟であろうと。いえ、弟だからこそ。さきの言葉通り。機会があれば間違い無くこの手で、あのものの始末を付ける。たった今ほどの我の言葉にいささかの迷いも揺るぎも無きこと、改めて宣誓いたしますっ!」


「まぁ、落ち着きなさい。今は深刻にならなくて良いから、先ずは話だけ聞いておいて。この場の誰もあなたを疑ったりはしてない。――黒騎士の陛下への忠誠と覚悟、これは伝わったものと思う。白騎士に対する手加減や手抜きなどは彼女に限ってあり得ない、それを確認しておきたかった。……皆にもわかってもらえたものと考えるが、どうか?」


 ――はは!


 その場の全員が頭を下げる。

 なにせ筆頭騎士で有り、私たち三神将とほぼ同じ権限を持つ帝国重鎮の一人。

 黒騎士の悪い噂なんか広まっちゃたまらない、国体に直接関わってくる。

 だから今のは、


 ――おかしな噂を流そうものなら私が直接、なんなら三神将が総力を挙げて。派閥ごとまとめて粛正する。


 と言う脅しでもあるし、頭を下げた以上それは伝わったと見て良いだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ