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再開(時差有り)

「まぁな。一日で何人運べるかわかんないし、急ぐに越したことは無いんだよな」


「急いでもらえるならそこは助かるが。とは言え、お客様をご案内もしないのはさすがに気が引ける」

「……はい?」


 いつのまにかアテネーとニケの後ろに、浅黒い肌で長身の美人。

 シエラ・シエラさんが立っていた。


「さすがに二回目ともなると気配で気が付く。とは言えだいぶ早かったな?」

「あ。どうもっす、シエラさん。早かった、とは?」


「言葉通りの意味だ、キミ達がもう一度来るまで1ヶ月前後かかるものと思っていた。時間の進み方が違うとは確かに聞いた。だが私にとって、前回会ったのは四日前なのだ。こちらの時間のほうが早い、と言う話だったのでは……?」 

 

 ランドに戻ってからだけでも、ここまで約一週間かかった。

 箱庭世界の時間のズレがよくわかんないが、だいたい二~三倍だとしたら。

 最大で三週間は経ってしまっていることになる。


 もしかしたら、もう食糧危機の入り口にさしかかっているかも。と思っていたし、だから食料もそこそこ持ってきたのだが。

 どうやらサーバーからデータを切りとった瞬間から、昨日データを復旧するまで時間が止まっていたようで、そこは良かった。


「どうやら、こっちの時間が止まってたみたいですね」


 ついさっき、モリガンが時差は前回と同じ。そう言ってた。

 ならばこっちの世界が何らかの理由で停止フリーズしたんだろうけど。

 ……理由、か。


「前回、君がなにかを仕込んでいったと? まるで気が付かなかったが」

「俺はなにも。普段だったら大変な事故でしょうけど、今回は良かった。ってことで」


 セーフゾーンの管理維持のため、配置されてたNPCもかなりの数を居るとは言え、六〇〇人以上を巻き込んだ時間停止とか、大事故だからね。

 無条件でゲームの接続停止になる案件だよ、これ。

 その前にもっとすごい事故が起こってるんだけど、シエラさんはその事故が無いとたぶん、出てこれなかった。

 色々複雑に絡んでてめんどくさい。


 たぶん、電源が切れて世界との接続もなくなったので時間空間の両方、共にその時点で時間の進行、データの生成を停止。

 って言う感じだと思うけど。

 これをシエラさんに、どうやって説明しろと?



「事故、と言う認識で良いのか? ともあれ何があったのかわからんが、功奏した。と君がいうなら、なにしろ一安心だ。我がマイスターも心配して、保存食の製作を各方面に指示し始めたところだからな」

「これも原因が説明しづらいんだけど、俺達の推測が正しければこの先、狩りの成果も落ちると思う。保存食の備蓄はしてて損は無いんじゃないかと」


 セーフゾーンをゲーム本体から切り離した結果、セーフゾーン自体も削れて縮んでしまった

 世界を行き来したことのあるアテネーとニケにはわかったけれど、シエラさんには感じられない。

 本格的に説明のしようがないな、これ。


「良くわからないが話は聞いておこう。いずれ判断されるのはマイスターだしな」


 あ、これ。……逆に。鎚山さんには逆に全部説明しないといけない?

 これはまた、面倒な話だなぁ。


「移動手段はどうなる? 今のところはなんの準備もしていないぞ」

「これもまた話せば長くなることでして」


 だいたい、一日で何回“ログイン”が可能か。

 なんて、やってみなけりゃ誰にもわかりゃしないのだ。

 システム的にだけでなく、“肉体”的にも。


「そうか、ならば最初にマイスターに会って貰ったほうが早そうだ」


 そう言うと、シエラさんはきびすをかえしたあと、すこし恥ずかしそうにふり返る。


「あぁ、済まない。……その、無駄にいてしまった。まだここでやることがあるならば、用向きが済むまで待つぞ?」

「いえ、いきましょ。こっちもちょうど、そう言う話をしてたわけだし」


 早く着く分には何処にも問題は無い。

 それに、ここでしなくちゃいけないことって無いしな。

次回は章変わり、と言うことで

いつも通り一旦お休みを挟みます。

世界も陣営もごちゃ混ぜのまま進む予定です。

とはいえ、なにしろ弐逸のやることなので、

あとでそっとこの部分を削除してるかもですが。



もしよろしければ、ほんの数行で構わないので感想を頂けたらとても嬉しいです。

ブクマや評価を頂けるなら、それはもちろんすごく嬉しいです!


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