箱庭世界へログイン
「ここまでは順調、身体も大丈夫そうかな。……二人共、どう?」
「問題は無いが、主殿。なんだろうなこの感覚」
「身体が二つある感じだね。なんか不思議」
「前回がおかしくてこれが正常、と言うことだ」
ある意味全感覚投入ができている状態ではああるんだけど。
さすがに意識まで全部持って行かれるのはそれはマズい。
全員、前回と同じくオートログインでゲームには入れたし、アテネーとニケも今回はどうやら意識がトンでない。
「モリガン、そっちの様子はどうだ?」
《前回、転移陣で飛んだあとの湿地帯だな? 山の稜線や沼のカタチ。前回と同じ位置に居るように見える》
モリガンならたぶん、覚えてると思ったんだ。
さすが情報屋。
「モリィ、すぐ近くに居るの?」
《箱庭世界にニケちゃんが飛ぶ前、私が居た位置から動いていない。具体的には向かいの席に居る。ババァとアリスもいるぞ》
リオとレイジは準備のためにでていったので、今のところはそういう感じになってる。
「そうか。この感じは、身体が二つあるからだね?」
《そう言う感じ方なんだな、是非私も体験してみたい。……少しだけ時間のすすみ方が違う、何かあっても即時介入はできない。と言うのも前回と一緒だな》
「なるほど、前回主殿はこんな感じでお前の声を聞いていたのだな。こちらに居ても、陰口をたたかれたらすぐわかるわけだ」
《私の事をなんだと思っている! 誰が姐御に陰口なんかきくか! 悪口だというなら直接本人の目の前で言うに決まっている!》
「なお悪いだろうがっ!」
答えが分かりきってるのに、あえて自分でふったんだろうよ……。
「はいストップ。そっちでもモニターしてるからわかるだろうが。基本的に危険は無いはずだから、なにか気が付いたら即座に声をかけてくれよ?」
《あぁ、了解だ。ババァとアリスも聞こえてるぞ》
《儂とアリスもおる。こちらは気にせず、マイロードはそちらに集中してくれ》
《……うん》
「あぁ、頼んだぜ」
改めて周りを見渡す。
あのデータ、ホントにこの近辺だけだったのか。
時空の歪んだ、転移陣でしか入れないセーフゾーン。
ログインした俺達三人は、湿地帯のはずれに立っていた。
「アテネー、ニケ。倉庫は持ってるな?」
ただポケットに入れておくだけ。
手順としてはお手軽ではあるのだが、なので不安でもある。
「あぁ、入っている。……またこの服なのだな」
俺の目から見ると、いかにもエルフ。という服装なのだが。
アテネー自身は相変わらず気に入らないらしい。
「大丈夫、入ってたよ! 僕もこの服なんだね? 着替えてないのにどうなってんの?」
こちらは気にしてない様子のニケであるが、前回と同じく原始人ルック。
どちらかといえば俺の方が気になるんだよ、その服。
だいたいその服、ポケットどこだよ!
「主殿。だいぶ世界全体が収縮した様に感じるんだが」
「お前の 真実の瞳 でみると街がなくなった、だけじゃない、ってこと?」
前回武器をもらったヴィルキント辺境伯領がまるまる無くなってる。
と言うよりは“セーフゾーン”だけを切りとった感じに思ってたけど。
「あぁ、だいぶ世界自体が縮んだ、と言う印象だ」
「上手く言えないけど、風の吹き方が狭いよね」
そう言う感じ方なのか……。わかるようなわかんないような。
「いくらでも早く接触しないと、狩りで取れる獲物が減る。ってことか」
「なるほど、そう言う考え方もできるか」
「ネー様、ご飯が減るのは良くない。道はわかってるんだから急ごうよ!」
一応、ウチのパーティの食いしん坊キャラ担当ではあるんだけど。
話の入り口が食べ物、と言うのはわかりやすくはある。
実は微妙にモリガンとキャラが被ってる部分。
明確に別れてないのがかえって普通の人間っぽい、とはいえるかな。
モリガンの“アレ”は餓死寸前まで追い込まれたことがある。と言うのも原因だろうし。





