なつかしの中央大神殿
青い光が薄くなると、正面に心配そうなJJの顔。
いきなりおっさんの顔が見えてもあまり嬉しくないんだが……。
「帰って来れた、か」
ホントは帰ってたんだけどな。
むしろホーム感はランドの方が高い。
灰色の世界は、俺と亜里須にとっては間違い無くアウェイだった。
「良くぞ無事帰った、リオ、ユーリ!」
「教皇様! リオはお役目を果たし、ただいま戻りましたっ!」
そこまでキチンと整列していたと思われるシブリングスが、一斉にわっと俺達に群がって、一気に整理された儀式の雰囲気がグチャグチャになる。
「お兄様! よくぞご無事でっ!」
「レイジ。心配かけたみたいだな、すまなかった」
「リオ姉様ぁああ!」
「べ、別に泣くほどのことじゃないよね? ……ね? だよね?」
「アテネー様! お怪我はありませんか!?」
「わ、私? いや、その大丈夫だ、何も無いぞ」
「ニケ師匠! 我らは無事のお戻りを信じていましたよ!」
「いや、あの。僕はユーリの言う事聞いてただけだから……」
「モリガン、たった数時間で精悍な良い顔付きになった。嬉しいよ」
「なんで私だけ抉れ胸に迎えられるのかわからん。えぇい離せ、鬱陶しい……!」
普段はもの凄くお行儀が良くておとなしい一団なんだけど、まぁ中身は中学生だもんな。
俺達のことをすごく心配してくれたから、本気で嬉しがってる。ってことか。
法王や神官総長もわかった上であえて放置してるらしい。
……ルル=リリさんが混ざってるけど、見なかったことにしよう。
「姉上様。無事のご帰還、なによりです」
「儂に関しては心配なぞ要らん、と言うたではないか」
白騎士の制服がフレイヤの前で片膝を付き、フレイヤ自身はいつにも増して高圧的に返事を返す。
「アリス様もお帰りなさいませ。お身体は大丈夫ですか?」
「……あの、えーと。……グ、スタフさん。た、ただいま、です」
あぁ、戻ってきたから亜里須のスキル、“コミュ障”が再度有効になっちゃったんだ。
常時発動型のスキルだからなぁ。
白騎士ジュリアンさんや神官総長グスタフさんまで、俺達を囲むグチャグチャに混ざってる。
みんなに、こんなにも心配してもらってたんだな。
なんか、すげー嬉しい。
「ユーリ、疲れているなら報告などは明日に回しても……」
「いや、猊下。お気持ちはありがたいが、急ぎであんたに頼みたいこともある。落ち着いたらすぐに、何があったか話をしておきたい」
「……わかった。では一時間後に執務室で良いか?」
「正直、そこまでは疲れては居ないんだな」
「お前達は向こうの時間で三日以上居たのだろう? 若さというのは良いものだな」
お昼食べてから二時間ほど、帰還の転移陣が立ち上がる直前まで昼寝してたくらいだからな。
疲れてないどころか、絶好調なんだわ。悪いけど。
だったら記憶が新しいうちに全部話してしまわないといけない。
鎚山さん達の命がかかってることもある。
それに、……神殺し。
魔導皇帝はそう言ったそうだが、何をしたかったんだろう。
なんでクリエイターを殺す必要があった……。
確かにイヤなヤツではあったけど、殺されるほどじゃなかったと思う。
法王軍の軍師さん達を総動員してもらったら、なにかわかるだろうか





