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改造スライム

「……うーむ。複雑な話だけど。……ラビットビルでは無く卯棟裕利君そのものが、その"リアルのランド"に飛ばされ、さらにはあえてそこから灰色の東京に再転移した上で。会議室のテストプレイPCからログインしたのが現状。――と言う理解で良いのかな?」

「そういうことです」


 伝わった。こんな短い時間で。

 SNSでやりとりしてるときから、やたらに飲み込みの早い人だったけど。

 こんな荒唐無稽な話を、信じる信じないは別にしても、飲み込んでくれた。

 ……前提だけでも信じてくれたら、助かる。


「じゃあさ、私たちはリアルでは身体無くなってる可能性が高い?」

「壊れてなければあるのかも。……でも、灰色になっちゃえばその後どうなるか。なんて。誰も検証できてないんすよ」

 

 こうして東京に帰ってきたが、街中に点在していた人の形をした灰色のオブジェは一つもなかった。


 里緒奈が、歩道橋を転げ落ちて粉々になってしまった時。なにもできなかったことを、多少なりとも悔やんでいたが。

 身体が砕けるのは時間の問題だったのかも知れない。


 灰色の自動車や自転車は結構見た。

 人間以外は灰色にはなったが、まだ形を保っている。

 


「ところでキミはこの状況、何処まで知ってるんだい?」

「なんの話です?」


「例のスライムだよ、アレのお陰で三〇〇人以上助かってる。クランじゃ無くてフレンド登録繋がりでイベントクリアにするとか、もう大規模災害を想定しているようだったからね」


 表の広場にいた連中のうち、思ったよりハイランカーが少ないな、と思ったんだけどそういうことか。


 何処で間違ったんだろう、クランで括ったつもりだったんだけど。

 まさに結果オーライではある。ますます、もっと作っておくんだったと改めて思う。

 花押三姉妹とかおっさんズとかは、普通に自力でここに入ったんだろうけど。


「だからこそ。なにかしらの策を持って、救世主としてここにくるのはキミだ。と思ってたんだけど」 



 だからみんな、俺が来るのを前提。みたいな話をしてたんだな。


「なんか、俺がグレイングを仕掛けたみたいじゃないすか」


 冗談じゃ無い。

 少なくても、灰色化グレイング自体は、俺には関係無い。

 ――ホントの所は改造スライムを作っただけで、あとは特になにもして無くて……。



「スライムのアレは、マジでたまたまです。さっき聞いてびっくりしたぐらいで。嫌がらせしてやろうと思っただけでして」

「良くできた嫌がらせだね。"アイツ"も悔しがっただろうねえ、良いザマじゃないの。あっはっは……」

 

 まぁ笑い事じゃないんだけれど。

 それに、鎚山さんはメインスタッフの一人なわけで。


「私はフリーだしね、ご飯は食べなきゃいけないからね。仕事は無いと困るよ。別にケンカさえしなきゃ、普通に仕事する分には仲良くする必要も無いだろ?」 


 ドンだけ嫌われてんだよ、ゲームクリエイター(アイツ)




「それはそれとして、人数が多いので食料がかなり厳しいんだ。あと一ヶ月しないで徒歩二日圏内は全てを狩り尽くしてしまう。農業や畜産はそもそも、仕様的に効率的にできないのが始めからわかってる。なにか打開の策が欲しかったんだが」



 ゲーム内の仕様では薬草を刈ろうが、モンスターを倒そうが即座に材料へと変換される。"収穫"したものの見た目とすれば、特に超大型モンスターなら1/10にもならない。

 農業もカテゴリを持っていないとそもそもできないし、そのカテゴリもおまけ程度。収穫しても結局材料に変換されて物量は減る。


 勝手に植物が異常なスピードで生え。猛獣やモンスターが無限湧きする世界では農業はかえって効率が悪い。


 とは言え、現状は人数が無限沸きのスピードを上回ってるんだな。

 悪いことにプレイヤー達が、現状をキチンと把握出来ていない今の状態では。

 コロニーを分割することさえできない。

 最悪だ。


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