見ただけでわかる
こんなのとガチでやりあったら俺なら絶対敵わない。
……俺なら、ね。
「ユーリ、なに? この人たち」
「人種が見えんが、いかにもな戦闘職。しかも見ただけでわかる、二人とも出来るなんてものじゃない、けた外れにすぎるぞ。……主殿、あれらも知り合いか?」
「顔見知りではあるな。……ビキニアーマーはリヴラ・ミルキィ。パワーだけならニケの上を行く。俺とにたような服を着て細いのがデンスケ・ホズミ、魔導師だが剣士でもある」
両方、見た目が迷彩になって中身が見えねぇよ!
何でややこしいコイツらがコンビになってんだよ
「魔導師はわかるけど、あっちのお姉さん。とんでもないパワーだね、僕以上だ」
「で、もう一度聞く。なぜそのような連中が、主殿を名指しで襲って来るのだ?」
「俺が知りたい、マジで」
なんでラビットビルが敵認定されてんだよ。
スライムの誤解はあるだろうし、確かにチートを使って運営とやりあってたけどさ。
基本的には、元傭兵団のしがないソロプレーヤーだし、そこら辺のチーターみたいに自在にプログラムを改変したりできない、ってのはみんな知ってるはず。
世界を滅ぼすなんて、思ったってできるわけないだろうが……!
「主殿との過去の遺恨はともかく、アレを手加減などとはさすがにムリだ。やり合うというならば生きるか死ぬかになる」
「まぁ、去年のイベントで正面からやり合ったのは認めるが。でも、命がけの遺恨という程では」
確かに前作の最後の方のイベントで、2人とはガチでやり合った。
でも、あんときはキャラロスト無しだったぞ。
「僕とレイジくんみたいな感じ、……では無いんだよね?」
「それはあきらかに違うな」
……そんな良いモンでは無いな。
おたがいに悪意が無いだけで、特に仲が良いわけではない。
それも今までは、だが。
「ふむ。確かにリブラの言う通り、か、あの二人はあきらかにモノが違うな」
「でしょ? ねぇデンちゃん、あの二人がイベントキャラか何かだとすると、あたしたちじゃ勝てないかもだけど、どうする?」
見ただけでそこまで読み切るのかよ。
帆角の目とリブラの知識、これはやっかいだ。
さっきまでの速攻で”初見殺し“。は、この二人には使えないか。
「但し両方打たれ弱いぞ? リブラ。あのエルフは体力がないし、獣人はそもそも魔導防御ができない」
「相変わらずいい目してるね、一目でわかるんだ」
「ただのスキルだよ。あんたも、パワーに全ぶりした1/50でもリソースを回せば良いだけの話だ」
ただの鑑定でそこまでは見えないだろうよ。
ものが違うにもほどがある。
ヤバいぞこれ。イベント用特殊キャラ戦だというなら弱点を突くしかないが、何もする前から完全にバレてる。
完璧な弱点を持つアテネーとニケだと、ヤバいかも。
「ん~。……なら、あたしがエルフ?」
「順当にいけばそうだろうな。僕が獣人を見る」
リヴラと帆角に話をしたところで。
有名な気違いと戦闘狂。聞くわけないよなぁ。
「そしておっさんズはともかく、花押三姉妹。やる気があるならラビットビルを押さえろ」
「なんでスルーされたのか知らんが、この場はありがたく辞退させてもらう」
「わっちらもパスでありんすなぁ」
こいつらは結構話はできるんだけど。
ただ加勢してもらうわけにもいかないだろうし、どうする……?
「お前らなぁ、僕らの……」





