いくぜ! 異世界(偽)!
新規ユーザー登録はさすがに通らないだろうから、アテネ―とニケには俺の持ってるIDからなるべくキャラの近いアバターでログインしてもらう。
アテネ―は作るだけ作って使ってなかった『アサシン☆☆☆☆♀』が似てるかな。
レベル上げ以外ほぼ使ったことがないけど、だからスキルは結構いっぱい持ってるんだよ。
身長をあまり高くしなかったし、若干幼い感じでキャラメイクしちゃったから。向こうで【会う】と違和感あるかも。
「アテネーさ。あくまで一時的に、なんだけど。少し身長が変わっても、良いかな?」
実はリオより低いからちょっとでは無い。
「魔導かなにかで身体に影響が出るのか? まぁ構わん。もともと正面からの力比べとなったら話にならないのだ。俊敏性が保たれるなら背の大小などはそこまで問題にはならない」
ニケはどうしよう、パワーファイターって正直、興味なかったからなぁ。
『僧伽兵☆☆☆☆♀』は一応持ってるけど、レベル上げの自動化ツール(自作・非公式・ギリギリ合法)の実験で作っただけだから、どんな性能なのかほぼ自分で試してない。
その上キャラメイクで外見設定の時、ふざけて設定したもんだから。やたら筋骨隆々の大女なんだよ。まるで太っていないのに体重100キロ越えである。
「ニケもちょっと変わっても良いかな?」
あきらかにちょっとじゃ無いな、現実にあったら大騒ぎなレベルだよ……。
「もし戦闘に成るなら、大事なのは筋力よりも体幹だからね。魔導じゃ僕には手が出せないし、だったらさ。バランスが崩れなきゃ、あとはなんでも良いよ」
よし、なら二人共新規ユーザーの設定を……。って、あれ?
【生体データを認証しました。オートログインを開始します】
大型ディスプレイの1番と2番。
画面が切り替わり、黒のバックにはわけのわからない文字が並ぶ。
【このままログインを続行します。ユーザー名:ニケ・バラント】
【このままログインを続行します。ユーザー名:アテネー・サベイヤレルファ】
――ガタン。
音がした方にふり返る。
アテネーとニケが椅子の上で気を失っている……。
まさか、取り込まれた!?
「ゆうりくん……!」
「亜里須。とりあえず今すぐ俺もログインする。多分大丈夫だと思うが、俺まで気を失ったら、三分後に俺だけケーブル外してくれ。お前にしか頼めん」
周辺機器のケーブル引っこ抜けとか、リオやモリガンにはハードルが高すぎる。
「……三分、の根拠は?」
「どうなってるか確認したい。そして普通なら、五分以内だとノーペナでログアウト出来るんだ」
トイレに行き忘れた、なんて言うのは良くある話だからね。
その五分を使った、わりと汚い攻略法も存在するんだけど今はどうでも良い。
上手くやれば、法律タイマーを無視して四分五九秒分、長くログインできる。って言うセコい手も有るけど。
今現状、一二〇分の法律タイマー自体が動いてるかどうかさえわかりゃしない。
大事なのはペナルティがない、って言う部分だ。
現状を考えると、おかしなペナルティにかかったら直接命に関わりかねない。
「……気を失わないなら話、出来るんだよね」
「普通に聞こえるはずだ。見りゃわかると思うが、ゲームの画面がでたら一応話しかけてみてくれ」
言いながらゴーグルを頭に乗せてグローブをはめ直す。
ゴーグルを下ろした瞬間。
【生体データを認証しました。オートログインを開始します】
やっぱりそう来るか。
もちろん、そう思ったから亜里須に声をかけたんだけど。
「頼んだぞ亜里須、俺は大丈夫な気がするけど」
「……大丈夫、の根拠は?」
「ん? なんていうか、……勘?」
「ケーブルの根元、……持っておくね?」
「……当面、よろしく」
【このままログインを続行します。ユーザー名:ラビットビル】
【(財)国立サーバー監理センター 管理番号JPN・OLN MD102】
【感覚信号接続の開始許可が申請されました 接続申請者の住所:日本】
【接続申請をしたものの名前 : (株)オンラインネイションズ】
【仮想空間への接続を承認します】
【感覚信号供出を開始します】
【なお接続開始から二時間で接続は強制解除されます】
一気に視界が開けて、如何にも異世界な街の中に。
『やぁ、久しぶりだな。お前さんの居ない間にこのありさまさ』
ギルドの入り口、杖を付いたいつもの案内人。
街は、あからさまに戦闘の爪痕を残してボロボロだった。
現代の章、まだ続きます。
次回は章変わり、と言うことで一旦お休みです。
今回はあまり長くならない予定ですが、あくまで予定、と言うことで。
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