表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/470

すうすうするバスタイム

「ところでマイロード。アリスとニケは湯浴みから戻ってのち。すぐに寝ても良いのでは無いか?」

「寝るならかなり早くないか? でもそうなら時間的には八時間、眠れるのか……」


 今日の監視係、一番最後。と言うか早朝が亜里須とニケになった。

 何故かというと一番最初が、この真っ赤な髪と金髪の(現代基準の見た目が)ヤンキーコンビになったから。

 今、モリガンが水を注いで、バーナーの火を調整してるこの実験器具。これの実験があるからだ。


 今、休憩所のキッチンで洗い物をしてる大巫女様。

 彼女は今日も、監視係には入っていないのだけれども。

 だいぶ回復してきたように見えるので、明日は何処かのシフトに入ってもらおう。

 当人も望むだろうし。


「シャワールーム、か。アリスはどうして、あんな何も無い狭いところを怖がるんだろうな?」


 一人でシャワーを浴びるのは嫌がって、昨日はフレイヤ。今もニケを連れて行っている。


「まぁ二人で入ってもなお、余裕はあったぞ。言う程狭いわけでもない。シャワーを浴びるだけの部屋としては広すぎるくらいだ」


 ただのシャワー室なんだけど、結構広い。

 男二人となるとちょっとアレだけど、一緒に入るのが亜里須とフレイヤなら余裕だろう。

 そして今日はニケと一緒、ただ同じく背は低いけど、ニケはおっぱいが……。 


「まぁ湯浴みで洗髪の際に後ろから、――ブスリ。などと言うことは貴族社会ではありがちではある。なにしろ、アリスはどうしても毎日髪を洗うというのだから、警戒するに越したことは無い」


 ……ありがちなのか、それ。中学生の見た目なんだからお化けが怖い、とか言え。

 そして髪は毎日洗おう。

 まぁ、アイツは貴族じゃないし、ここも貴族のお屋敷ではないけど。



「お湯が潤沢に使えるなら、確かに髪は毎日洗いたくなるし、それに。あのシャンプーというヤツは確かにヤバいな。洗ってる間、完全に意識が髪の毛に持って行かれる」


「あれ程キレイに成るとあってはの。その後のトリートメントというのがまた不味い。儂の髪が、これほど手触り良く艶やかになるとは驚いた。そう思えば洗っている間は、儂でさえ。周りに気を使うことは忘れるわ」


 うん、理由は絶対違うと思う。

 アイツは人が嫌いとか言いながら、実は一人だと寂しくて怖いんだ。

 いまや、誰も居ない灰色の世界だし。

 トイレはさすがに一人だけど、シャワーはいやなんだろうな。


 もちろん元の世界なら、お風呂や部屋に居るときは一人だろうけど。

 ランドでは基本的にお風呂も寝るときも、誰かが必ずそばに居たからな。

 誰も居ない環境を忘れちゃった、みたいな……?


「そのシャンプーとやらがまた、やたらに種類があるのだ。ババァはドラッグストア、という商店、みたか?」

「あぁ見た々々。そもそも売り場自体が男用と女用にわかれておったな。それに汚れを落とすのみならず、潤いだったり艶だったり色がついたり。ただ洗うと言うことばかりでなく、なんと、あとでアリスに聞いたら薄毛に効くものまであるそうだぞ」


「普通の石鹸も売っていたが、顔用と身体用が違うのだと言ったな?」

「外出の後、手を洗う専用の物まであったぞ。もはや風呂場がビンだらけになるのぉ」


「身体を洗うものだけでも結構な種類があったな。……シャワールームのアレはやたら身体がすうすうしたが、それはそれで気持ちが良かったのだ」


 そのボディソープ、俺も使ったぞ。

 男用のシャワールームにあったヤツなんだが……。


 モリガンから話を聞いたアテネ―は、その【すうすうする石鹸】を使いたくて、今は男用シャワールームにいる。

 お前ら。亜里須の言う“おっさんのニオイ”、ホントに気にならないんだな。

 アテネーは初めて会った頃に亜人と人間では体臭が違う、とは確かに言っていたが。


「ほう。昨日儂が使ったものは、脂はなくなるのに肌が潤って、どうなっておるものかと思ったものだったが」



 フレイヤもなんだかんだと、この世界を楽しんでる風ではある。

 まぁ、一二五歳だが見た目は中学生。

 気になるよな、ボディソープとか。



「なら、今日はそっちを使ってみよう。――なぁババァ、シャンプーはランドで作れるか?」


「まずは材料をアリスに聞かねばな。本当は髪のシャンプーが欲しいのだが、身体用のものなら。石鹸を溶かして分離しなければ、再現自体はデキるやも知れん。但し、かなり面倒な気がする。……手伝えよ?」

「当たり前だ。こんなに湯浴みが気持ちよくて楽しいなんて、生まれてこのかた、思ったことがない」


 モリガンの普段はやたら風呂の時間が短い、というのは。お付きの巫女さんたちから聞いたことがある。


「シャンプーの入れ物も。頭、押しただけで出てきて便利なんだが、作れないか?」

「仕組みは良いが、さすがにあの材質は難しかろう。木製ではあっさり腐りそうであるしなぁ、……さて」


 お前ら、監視カメラからシャンプーまで。手当たり次第に全部あっちで再現するつもりか……!

 こうじを増やして、マイタケも栽培しようとしてたな。そう言えば。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ