引き上げるべきもの
楽しみにして下さる方には失礼致しました。
……予約失敗しました。
明日はいつ通りのはず。
「確かに面白い考え方よの。錬金術師たちがその概念を全員理解したなら、世の理もだいぶ解明が進むだろうが」
「俺は神秘は神秘で残ってて良いと思うけどな。ストレージ、便利ではあるけど」
「ストレージを量産する、となればたいそう便利であろ? ……と言いながら、記憶、という機械は儂には作れなんだ。アレそのものがストレージの肝である故、他に作れぬのだが」
「俺と亜里須だけが特別。今のところはその方がありがたいな。そしてストレージに収容できる状態まで分解した状態のものはまとめて、――そう、データ。と呼ぶわけだ」
もの凄くアラがあるけど、まぁ無限ストレージを表現するなら間違って無いだろう。
本当にデータ化して格納してあるのか、と言う疑問は残るけど。これは確認のしようがそもそも、無い。
どうやってしまってあったんだろ、水の樽とか、ニケのブラジャーとか。
「とにかく、データの状態でランドの始まりから今現状まで。保存してある機械があって、その機械はサーバーって名前だ。ってことなんだよ」
「ならばサーバーからサルベージするべきは歴史、……いや、世界そのものか。壮大過ぎてさすがに意味が分からぬな」
「さすがにそれは容量がデカすぎるな。俺が持って帰る、ってのは難しそうだ」
これはちょっとウソ。
例えば、データの場所が特定さえできれば、マシンルームからサーバーや記憶装置だけを取り外して、持って帰る。なんてことはできる。
ランドには、サーバーラックどころか電気もないのにどうやって動かすか。という問題が残るだけで。
「ほぉ、その言い方なれば、技術的には不可能ではない、と?」
「できなくはないだろうけど、さすがに住人個々人全員のパーソナルデータまで。となったら、……どうだろう」
基本は課金制のゲームなのだ。だったらユーザーのキャラクターとしてのデータは全部残っているだろうけど。
NPC全員分の記憶や歴史、そこまではそもそもデータ自体がないと思う。
言動は基本設定だけ作ってあって、あとはAIが補完、精製してるはず。
大体、俺が知っている大地は、フレイヤの住んでたランドの1/100以下。大きさも人口もその程度しかない。
そもそも、ゲームサーバー内のランドと、俺たちが昨日までいたランド。
本当に同じなのか、という疑問だってあるわけで。
「……ただ、サルベージするデータの心当たりはあるんだよ」
安全地帯。
その中にいったい何人たどり着いて、そのまま帰ってこれなくなってるか。
そのサルベージができる、としたら。
一応括りとしては帝国と法国に別れて敵同士だったとは言え。同じゲームで遊んでいた仲間なのだ。
助けることができるとするなら、絶対に助けてやりたい。
やっぱりスライム、実際の効果なんか気にしないで、あと10倍は量産しとくべきだった。
「儂が聞いても混乱するのみ、であるよ。マイロードが理解できるなら、今はそれで良いのだろう」





