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ケモミミの少女

 ピロリン♪ スマホから脳天気な音が聞こえる。


 -【通知】 チェック内容が 樺藤亜里須 と共有されました-


 写真取るだけ。とは言え、さっきまで死んでたくせに。

 この状況下でいつケモミミ少女をチェックするような余裕があったんだよ。

 さすがはストーカーのスキル持ちだな……。




『ニケ・バラント』

『インコンプリーツ(獣人族×人族) 女 十五歳

 所属 [法国]獣人村の子供 → [法国]剛腕の槌使い』


『取得カテゴリ』

 インコンプリーツ☆S(固定)

 戦士★★

 槌使い★★★★★

 格闘家★★ 

 剛腕の鎚使い★★★★ 


『現在のカテゴリ』

 剛腕の槌使い ※戦士+槌使い ダブルカテゴライザ


『取得したスキル』 

○インコンプリーツ

 ??? 迅速upper limit 獣化不可upper limit


○戦士

 豪腕upper limit 物理防御4 超感覚(嗅覚)3 超感覚(聴覚)3 


○槌使い

 怪力upper limit アーマーブレイク(単)3 ブロゥオフスロー(単)2


○格闘家

 基本の構え1


○剛腕の槌使い(戦士+槌使い)

 魔法防御不可upper limit クエイクアタック(近・複)4(豪腕+怪力)



『現在のステータス』

 身体:素早さ35%プラス(アイテム)

 両手首やや深い負傷(擦傷、切傷)・全基本値94%マイナス(アイテム)

 精神:かなり疲労 体力:正常 特殊:- 魔力:-

 聖気:- 呪い:なし 』


『装備品リスト』 

 頭  :なし

 右手 :動作封印の腕輪・鎖

 左手 :動作封印の腕輪・鎖

 身体 :毛皮のブラジャー・毛皮のパンツ

 足  :毛皮のアンクレット・韋駄天のサンダル・動作封印の足かせ・鉄球 

 


『アイテム』

 毛皮のブレスレット




 多分パンツの中にあるんだな、ブレスレット。

 見えないけれどポケットがあるんだと思う。

 大事なものなんだろうし、パンツに直接押し込めてあるわけじゃ無い。と思うけど。


 見た目はケモミミの中学生、チェッカによれば俺よりひとつ下。

 と言うことはリオと同い年。


 中三か高一。……うぅむ。リオよりもさらに数段幼く見える。

 おっぱいは亜里須と比べても、明らかに一回り以上はデカいんだけど。

 童顔ロリ巨乳でケモミミ少女、一部のマニアにはたまらない容姿の彼女だ。


 その華奢な外見からとてもそうは見えないが。

 豪腕と怪力の両方、スキルが5を超えてupper limit。力は桁外れに強いはず。その上迅速もupper limit。

 スキル(マスター)2つに加えて、レアカテゴリのスペシャルスキルが一つ。

 めちゃくちゃに速いし、桁外れに力持ち。と言うことだ。


 ただしその分、マイナスボーナスで獣人なのに獣化が出来ない。

 さらに魔法に対する耐性はゼロ。弱い、では無く皆無だ。

 具体的には、使い方を間違うと回復魔法でもダメージを負うレベル。


 そしてつち使い、と言うからにはこの子の主力武器メインウェポンはバトルハンマーとかメイス、なんだろうけど。

 獣人ならばバトルアックスや2mの大剣、なんてのはわかんなくは無いけれど。

 ……純朴で幼い見た目に反して、結構えげつない攻撃方法だなぁ。




「りおちゃん。……この子が、望んで。自分で、そうなった、と言うわけでは……。そうでは、ない。んでしょ……? なのに、繋がれて、閉じ込められて。――この子は、悪く、ないのに……!」

 珍しく亜里須が感情を前に出す。


「これは確かに異常に見えると思う。――でもねアリス、私にはこの状況を見るに。この子は、村の人達には大事にされて居たのじゃ無いかなぁ、とも思えるんだけど」

「なんでそうなる? ――それより魔法でこの鎖を切ってやってくれ」


「え? ゴメン、それは無理っ! 私、着火イグナイトでもう、いっぱいいっぱいなんだよ? ……ホントは温め(ヒートアップ)でご飯温めるくらいしか、実用的には使えないくらいだし」



 ヒートアップという魔法は聞いた事が無いが、これは多分裏設定だろう。

 戦闘向きでは無い初歩の魔法。

 リオの話なら、電子レンジ的な使い方をするまほうなんだろうか。



「お前は火炎ファイアが使えるぞ。間違い無い」

「なんで本人も知らないことを知ってるのよ!」

 何故と言われれば、ステイタスをみたから。なんだけど。


「救世主になる予定の人間だから、かな。だから亜里須も知ってる、聞いて見ろよ」

 リオが亜里須に振り向いた瞬間、リオがなにかを言う前に亜里須は頷いてみせる。


「え? えっとぉ……。そうなの?」

「……ん」

 再度、亜里須が駄目押しで強く頷く。

 亜里須としては一刻も早くあの少女を、鎖から解放してやりたいらしい。 


「あの、じゃあ。やってみるね……?」

 リオが真顔で集中し始めたところで、黄色い髪に乗っかった猫耳がぴくぴく動き、丸い顔の中、大きな金色の目が開かれた。




「……! お前達はっ!」

 ガシャ! 鎖が一気に延びきり音を鳴らす。

「落ち着け、俺達は法国側の人間だっ!」

 多分それで良いんだと思うけど。チェッカでは第三勢力扱いだけどな。


「……法国。はわ? こんな田舎に、巫女様!?」

 なるほどリオの服装。

 露出好きのマニアな人の着る服、と言う事では無く。

 本人が力説した通り。この世界においては誰がみても巫女の服装であるらしい。


「魔導の、……巫女様。そうか、僕は」

 どうやら僕ッ娘であるらしい少女は、リオの黒いケープを見て一気にうなだれると、気を失っている時とほぼ同じ姿勢に戻る。

「巫女様、どうか一撃で仕留めて下さい。僕は暴れたりしません。魔法でなら簡単に死にます。巫女様には従いますが、痛いのは得意でないのでどうか……」


 魔法なら簡単に……、の言葉に嘘はないだろう。

 チェッカをみてもその傾向は見て取れる。

 獣人の血が濃いうえにステータスも全般に高い。引き換えに彼女は、魔導を知らなくても多少はあるはずの魔法防御。それさえ皆無だ。


 初めての上位魔法を使おうとするリオは、なにかを言おうとして口を開く気配はあった。だが集中を優先したようで、止める。


「巫女様。僕はけがらわしいインコンプリーツですが、神様への感謝は欠かしたことがありません。止めを刺して頂けるなら、どうかその時に神様に一言、よろしくと伝えて貰えたら……」


 ――あっちで神様のおそばにお仕えしたいとは言いません、せめてどこか余った場所を割り振って貰えたら、そしたら穴掘りでも石運びでも何でもしますから……。


 建前を横に置けば、聖職者であってもインコンプリーツは差別の対象。

 そして魔導の力を使う巫女は、もしかすると人知れずインコンプリーツを暗殺して廻る。と言う仕事があるのかも知れない。


「イヤな仕事をして頂く巫女様に心から感謝を。……ありがとう、ござい、ます」

 少女はそう言うとゆっくりと目を閉じ、口を結ぶ。

 閉じた両のまぶたから静かに涙があふれていく。

 

 リオはなにも言わず、黙ったまま赤いオーラを身に纏い始める。

「リオ……」

「……りお、ちゃん?」

「二人共っ、黙ってて……!」


 眉間みけんしわを寄せたリオはそう言うと、すぅ、と顔を上げ目を見開き、両手を目の高さまで上げると大きく開く。


「浄化の炎よ! 神に仕えし我に従い、人々に蔓延まんえんせしけがれた心のその象徴! 焼き潰し、引きちぎり、吹き飛ばせ……っ! ファイアっ!」



 ぱきーん!



 腕輪と杭を繋いでいた鎖のコマ。

 両手のそれが真っ赤になったと思った瞬間、赤い液体になって後ろへ吹き飛び、壁にへばりつく。


 少女の両手はいきなり自由になって、顔面から地面に落ちるが。

 駆け寄った亜里須がどうにか受け止めた。


「おぉ! ……いけ、た?」

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