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外に出たい二人

「フレイヤ、モリガン。どこのことを言ってんの?」


「その窓のすぐ下よ。……花壇が灰色になっておる」

「あれがいったい何なのか。是非に調べてみたかったのだ」


 カメラも届かず、自動水やり装置や掃除ロボットも範囲外の花壇。

 そう言うことらしいが。


「あれは触んない方が……」


 街や人が飲み込まれて色を失うのをたくさん見た。

 どころか、里緒奈いもうとまでも……。


 そう言う意味では沈静化しているようだし、ここまでも灰色の上を普通に歩いたりはしてきてるが。あまり不用意に触って良いものだとも思えない。



「そうもいかない、灰色の物質マテリアル全般から、あからさまに魔導力の元。のような気配を感じる。姉後は気が付くまいが、逆にババァなら私より気になってしかりだ」


「むしろなんで、直接魔導を使えぬうぬが気付くものか。……モリガンはさておき、魔導が存在しえない世界で、自然発生の魔導力などありえんのよ。さすがに捨ておけん、確認は必要であろ?」


「一手間かかるけど魔導が使えるってこと?」


「そういう意味では、この世界では使えないがな。だろ? ババァ」

「うむ。……ランドで畑や草原に広がる魔導力と同質とも思えるのだよ。かかる手間は、一手間などではすむまいが。さりとて量はこれだけ膨大。もしも利用ができたなら。――作れる状況がそうそう揃うとも思わぬが、超時空転移陣の理論は完全に固まったのだ。大変なことになる」


 1個目の超時空魔方陣を構築したあとと、東ゲート攻防戦で魔導力を無駄遣いしたあと。

 フレイヤは、自分が備蓄していた魔導力の一部をあえて大地に放流した。と言っていた。

 普通は大地全体に偏在し、集めて汲み上げるだけの魔導力は土地そのものの力。と言っても良い。

 特に東ゲートの時は使いすぎたから、だから多少戻した。と本人は言うが。


 科学が未発達の分、魔導が普及しているランドでは、大地の魔導力は原油であり、天然ガスなのである。

 加工の必要はあるけれど、エネルギーそのもの。

 そして魔導が存在しないこの世界だから、本来は魔導力もないはず。


 ……待てよ?


「お前さ。こっちに着いたとき、誰かに座標を奪われたかも。って言ってたよな?」


「それよ、マイロード。……ランドから何者かが来ておる可能性が捨てきれん。何故にそんなことを、とも思うておったが」

「そうだな。これを知っているなら、私だって来たい。一大事だとは思わないか? マイスター」


 モリガンが立ち上がる


「ま。確かに理論的じゃないわな。おまえらに触ってほしくない、という感情の方が強いのは否定しない」


「だがしかし、どうだ。確認せずに見ないふりなど、できるか? それにもう一つ。いくら乞われようが、魔導が無ければただの子供だ。……ババァを一人で外に出したりなんか、私の知るマイスターなら絶対にしない。それに、必ず最低コンビで動け。はマイスターの指示だ」


「おまえが外に出たいだけなんじゃないのか?」


「私もそれは否定しない。……だが、この部屋の中なら第三者が近づいても直接見える。リオさんも残るのだし。――それに、カメラの範囲外を偵察できるし、そこに目玉蟲も数匹だが配置できる。マイスターの安全は補強されこそすれ問題がない、と私は踏んだ」


「やれやれ。お前の勝ちだ、フレイヤは任せる。……なんかあったとき、そっちからの連絡は?」


「笛を吹く。副次的に蟲も集まるかもしれんが、有耶無耶にするなら丁度良い」

 蟲を呼ぶための笛だからな。吹いたら集まるよ、そりゃ。


「何かがあればわしが叫ぶよ。このなりだ、声は響こうさ」

 誰もいないショッピングモールに響く女子中学生の悲鳴。

 間違いなく事案発生だよ。それ。


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