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そして青い柱 Side : Country of Regulations

「もう時間か、早いものだな。……ユーリ」

「……あぁ」


「話が逆になって申し分け無いが、リオのこと。重ねて頼むぞ」

「何がどうなってるのかわけがわからんが、そこは任せてもらう。……リオに世話になったのは、なにも俺だけじゃない。みんなそうだ」

 リオ以外の全員が。跪いたユーリの姿に目をやり、頷く。


「それに」

「それに……?」

「おなじパーティの仲間だからな。仲間を助けるのは当然でございましょう。もちろん猊下はご存じ、いや。……かつてご経験が、さ。おありでしょうから、改めて説明することもないでしょうが。――なんてな」



「ふっ、ははは……。なれば法国、いや大地ランドの未来、そして我が娘。双方そなたに託そうぞ。――さぁ始めよう。みな立って、なおってくれ」

 全員が足元の背負い袋を拾い上げて、背負うとユーリを中心に小さく固まる。。


「総長、用意は良いかね? ――では、始めよう! ……超時空転移陣っ!」

 私は、――白いローブを跳ね上げる様に右手を広げる。

 しゅん。一瞬礼拝堂内が暗くなったような感覚と共に、ユーリ達の足元に青く輝く魔方陣が浮かび上がり、彼らを足元から照らす出す。


発動アクティベイト! ……ユーリ、私の口から言うことでも無いが、最悪お役目は横におけ! 何はなくともまずは貴様ら全員、無事にここに帰る、そのことを最優先! これは王としての命令でもあり、親友からの切なる願いだ、良いな!?」


 神聖文字の書かれた幾重にも重なった輪、それがスピードも方向もバラバラに廻り始める。


「おっさんにはわりぃが、ハナからそのつもりだったぜ。……やってくれ」

「頼んだっ! ――総員、魔導力をこちらへ回せ! 一瞬で限界近くまで消費する。気を確かに持つようっ!!」


 ――カーン!

 甲高い、鋼か何かを叩いたような音と共に、魔方陣から青い光の柱が立ち上がり。

 ユーリ達は光の柱に覆い隠され。

 光の柱が消え失せると、魔方陣も光を失い一気に真ん中へと収束していく。


 魔方陣のあった中心で、

 きーん、きんきん……。

 青く輝く光の球が石の床で跳ねる。


「貴様には、昔から頼み事ばかりで済まないな……」


 その玉は、いつかのように跳ね上がった頂点で、――ぱんっ! 突然粉々に割れ、その残骸は床に落ちることもなく。青く輝く塵となって、空気に溶けていく。

 前回と違うのは、薄青く魔方陣がそのまま残っていること。





「シブリングス以下のお世話係はこれより三時間、暫時休憩とする。下がって良し」

「……えっ!? お待ちください、教皇様……!」

 ユーリの着衣。それに似た灰色の服を着た少年が、姿勢良く控えたまま不満げに声を上げる。


「そなた等はこの場で、何かを言える立場だとでも?」

「もちろん、そういうつもりは毛頭ありません。ですが……」 



 彼に限らず、みなユーリ達のそばに居ることを最大の喜びとしている。

 全員顔つきはほぼ同じ。戻ってくるのがわかっている以上、ここに居たいのだろうが。

 少なからず魔導の心得のある者が、さっきの儀式に立ち合ったなら、間違い無く消耗するのだ。

 まだ身体の育ちきっていない彼らなら、そのダメージはかなり大きいはず。

 


「落ち着きなさい、大導士レイジ・イースト。フレイヤ様の事前の計算によれば、彼らがここに戻るは最短でも四時間後。それまで身体を休めよと言っています。自身が疲れ切っていて、いったい誰に何の世話をするというつもりか。……私の言うことは間違っているかね? 大導士」


「承知、致しました。――全員、これより下の控えの間に下がり、三時間ほど暫時休憩に。……します」

「……はい」

 

 灰色の服を着た少年少女は、不承不承ふしょうぶしょう。と言った風ではあるが。

 それでも綺麗に整列したまま礼拝堂から出て行く。


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