私が虐めてるみたいじゃない Side : AdME Dukedom (Unofficial 3rd force)
「……セレーナはお姉様の優しいお言葉に甘え、ついぞそこへと逃げてしまいます。此度ばかりは是非に、本格的な懲罰をお言いつけ下さい」
あたしの前に改めて跪づき、両手をにぎり合わせると。こちらをじっと見つめつつボロボロ涙を零し始める。
うん。そう言うきっかけで本気泣きするの、ホントやめて。
リアクション取れないから。
だいたい、本格的な懲罰。って。
何それ、……怖い。
「いや、私。別に優しくなんか、ない、……でしょ?」
「いいえ、いいえ……! 叱咤の平手、修整の拳はおろか、叱責の言葉さえないなど有り得ません。法国の神官でしたら服を剥ぎ取られ、ムチで百叩きの上拷問室に六時間、その後食事抜きで地下牢に放り込まれ、三日は確定です」
そしてその間、とっかえひっかえ男達が地下牢へとやってくるのだ。
元の世界なら中学生だぞ!? 今だって発育のやや悪い高校一年生。
ロリコンしかいないのか、法国!
ロリコン変態処女厨馬、ユニコーンのしろが彼女に懐かない理由はこれだ。
見た目に反して間違い無く処女ではない。
どころか“薄い本”で行われる行為なんか、彼女から見たらお遊戯以下。
以前ちょっとだけ、無理やり行為の内容を聞き出したことがあって。
彼女が部屋から出て行くまで我慢して、その後。
セレーナには悪いけど、盛大に吐いた。胃の中身がなくなってもまだ、吐いた。
……既に内容はエロでさえなかった。
裕利君と合流できたら。
その時点で潰そう、あんな国。
なんなら、裕利君を法王にしてゼロから作り直せば良いんだし。
だったら公国も女神もポイ、私が神官総長として支えるというのも悪くない。
……あれ? なんかわりと良さげ?
なにしろ、まだ帝国の方がマシだわ。
あっちはあっちで魔導皇帝の恐怖政治なんだけど。
ただ、つい妄想に入り込んで、返事が遅れたことはそのまま。
セレーナの不安と絶望を深くしてしまったようで。
「もしも、もしもお姉様が。このセレーナがお側によるのがお嫌でしたら、そうおっしゃって下さい。このように直接お話をさせて頂くことさえ、本当は身の丈に合わない。勿体ないことだとは、セレーナが如きであっても、それは良く々々存じあげておりますから。本当に、心よりそう、思っておりますから、どうか……」
多分この子の方が私より価値が有ると思う……。
――こっち来んな。って言われるの普通、私の方でしょ。
今日は、いきなり『スイッチ』が入った状態だったの忘れてた……。
「良いから立って。私が虐めてるみたいじゃない。――あのさぁ、公王……」
「あぁ。……魔力の使い道はいくらでもある、一切無駄にはならない」
女神教の浸透している地域には普通の魔力はほぼない。つまりお金になる。
しかもこの間の騒ぎでランド中で魔力がないこの時期に、神殿約二個分。
セレーナ、大勝利。なのだ。……本当は。
「良い事をして怒られるとか、あり得ないでしょ。――あとで公王となんかご褒美考えておくから。……欲しいものとか、有る?」
「嗚呼、なんともったいないお言葉。――それだけで、もう。セレーナはそのお言葉だけで十分に御座います!」
その場でまた泣き崩れた……。
どうしたら良いのよ、こう言うの。
「まさにミーヤのことは崇拝してるのよねぇ。……でも私の事はどう思ってるの?」
面白半分に混ぜっ返すのは当然、女神。
でも確かに。教祖の公王を除けば女神教団のトップなんだよな、この子。
教団関係者は名前を呼ぶことなんか無くて、猊下。って呼ぶくらいにエラい。
神様的には気になるだろうな、立場が逆なら私だって気になる。
セレーナは、突然涙を拭いて立ち上がると、女神の方に向き直る。
「穢れたこの身ではありますが、ミーヤ様のご意向に反しない限りは。女神教枢機卿として全精力の全てを持って、お仕えさせて頂きます」
神様本人に
――仕事だからアンタに仕えてるんスけどなにか?
って、言いきるとか。
あなた、女神教団事実上のトップ、枢機卿。だったよね……?
……元から女神とセレーナで話が合うわけなんか、ないんだけど。
でも表面上合わせるくらい、彼女の器量ならわけも無いはずなのに。
幼児期からいじめられ続けたから、根っこの部分が歪んじゃってるし。
さらに今日は、何故だが始めから“スイッチ”入ってるうえ、電圧もかなり高い。
でも。なんで女神にさえ楯突くのに、私に懐いてくれてるのか。
その部分はよく、わかんないんだよなぁ。





