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偽物の神様だからさぁ。Side : AdME Dukedom (Unofficial 3rd force) 

「なにその言い訳クサい台詞」

「コレは本当だもの。……私は基本的にこの世界限定。そういう風に作られた偽物の神様だからさぁ。――ね、公王」


「僕が悪い、みたいに言うのはやめてくれないかな? ――それに結果論ではあるが、そうであるが故に。……あなたが存在することで、フェリシニア教徒でない我々が魔力を使えているという事実もあるのだが」


 そう、この女神がいるお陰で、フェリシニア信教を信仰していないアドメ公国でも魔導が使えている。


 本来は信教を信じようと信じまいと魔導は使えるのが建て前。

 魔導がフェリシニア神に依存する、と言う設定はどうあれ。

 使えないとそもそも生活が立ちいかない。


 でもある日。フェリシニア信教の教徒で無いものは、魔導をほぼ使えなくなってしまった。



「旧帝国サイドで、帝国から縁を切った第三勢力も。なぜだか、のき並み魔導を使えなくなってしまったんですよね」

「法国と縁のない無宗教の連中も、だ。……いずれ我らが公国の国教、女神教の大事なお客様だよ。信者になれば女神経由で魔導が発動するからな」



 そして領土拡大こそ、そんなに加速したりはしないが、公国が一気に勢力を増しているのはここに原因がある。

 さっきの話と時を同じくして、帝国にルーツを持つ独立系の第三勢力も魔導が使えなくなってしまった。フェリシニア神を拝んでいたのに、だ。

 有力な帝国系第三勢力と軒並み協力関係にあるのは、彼らが信教から女神教に宗旨替えしたからなのだ。



 それにここはゲームの世界。その手の集まりは戦闘職の比率が異常に高い。

 コックや武器職人がいないのは良いとして、一〇人を超える規模なのにトレーダーや(戦闘中だけが専門ではない)本職のメディックが居ない、全員が戦闘職。なんて言うことも珍しくは無い。


 但し、本来のゲームの世界と違って仕事を斡旋して、物資を売買してくれるギルドが無い。


 大きくても二〇人前後とは言え、それが一〇個以上あれば話が変わってくる。

 二,三人の小さな組織ならそれこそ一〇〇を越える。

 そう言う勢力と公国このくには、のきなみ友好関係にある。


 仕事の斡旋も、買い物する店も、泊まる宿も全部。公国内にある。

 ある意味。第三勢力から見ると、公国がギルドの役割を果たしているわけだ。

 その上、魔力の供給源でもある。敵対するはずが無い。


 確かに私の配下、公国防衛隊はそこそこ強いが数百人しか居ない。

 しかし、公王が一声かければそれだけで、傭兵が一〇〇人単位で用意出来る。

 ゲーム世界である以上、正規軍の下っ端は雑魚扱い。傭兵はそれこそ鬼強い。

 うかつに公国を攻めると、どの勢力の正規軍であろうと痛い目にあうのだ。



「公王様。素直に法国に行って、女神教から信教に戻るのはダメなんですか?」

「法国で賞金クビになっていればそうもいかんだろう」

 公王は書き物を辞めて首をゆっくりと回す。


「そう言う人達も居るんですね……」 

「残念ながら、そう言う連中が殆どだよ」


 その彼らだって、ご飯も食べれば武器も買う必要がある。

 当然仕事だって必要だ。

 だが、帝国はもちろん法国とも。闇取引以外のやりとりは出来ない。


 そして双方をつなぐ街道のど真ん中に位置する公国は、両方と日常的に小競り合いは有るものの、それはあくまで非公式。

 帝国とも、法国とも戦争はしていない。


 農産物の法国、加工品の帝国。その両方の商人達が、公国へ普通に出入りしている。

 国は小さいけれど、だから意外と公国はお金持ちでも有る。

 ちょっとした商業都市なのだ。


 領土拡大も、最近はお金で土地を買い取ったりしている。

 公国が領土だと言い張っているこの土地は、基本的には何も無い荒野。

 なので帝国も法国も戦が激しくなると、資金調達のために。むしろ向こうから売ってくれるのだった。

 改めて考えると。帝国も法国も、チョロすぎるんじゃないの?


 そして公王は、両国の国境線、わけても激戦区付近の土地を優先的に買いあさり、足りない部分も詐欺まがいの手口で、それも効かないなら武力侵攻してまで手に入れている。


 最近国土のカタチは楕円形になりつつあり、両国はますます公国が邪魔になる。

 と、言う次第。

 もっとも。両大国の小競り合いはドンドン下火になっていくのでこの辺は、公王の読み通り。と言うことなんだろうけど。



 さっき公王は第三勢力を“客”、と言ったがそれはなにも皮肉だけじゃない。

 女神教の公国外の信者であるのはもちろん、アドメ公国として本当の意味でのお客さんでもある、と言うこと。


 そして帝国や法国が攻めてこないのは、この辺にも理由がある。

 お互いと取引をする為にはアドメ公国を経由するのが一番面倒がない。

 法国や帝国から見ると公国わたしたちは邪魔ではあるだろうけれど、単純に敵。と言うわけでも無い。


 もちろん。私が来た当初に、公王が国境線と定めた近所で、様子見をしていた帝国と法国の斥候部隊や国境警備部隊を何度も何度も、徹底的に叩いて回った。

 と言う事も当然あるんだけど。


 そしてそう言う小競り合いが起こる度、少しずつ領土が広くなる。

 公王はそうして手に入れた不安定な領土に、格安の宿泊施設や商店、飲食の店を優先的に出した。

 当然、安い宿があって資材買い取りの店も有り、武器と防具も手に入るのだ。第三勢力はそこに集中して、結果的に新たな領土をどんどん盛り上げる。

 ゲームの世界とは思えないほどにイヤらしい手口で、公国は今も国土を拡大しているのだ。


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