始めから決まってました
「実はな、ユーリ。貴様がこちらに来て次の日のことだ。――私に御託宣が下った」
俺のほか、リオと亜里須。
三人で、転移してきた湖の畔から獣人村に向かおう。って決めた辺りだな。
「……あの。ゆうり、くん?」
【裕利君、御託宣ってどう言うこと?】
「意味、じゃないよな? ――まぁ、ゲームの世界だしさ。だから、神様から人間に対して今後の行動の指針的なものが直接。法王に下りるんだ」
初期の法国が絶大な権力を誇り、結果的に魔導帝国が勃興したのは。
言葉はアレだが、法国がこれを“独り占め”したことが原因、と言って良い。
「……ユーリ、何かおかしな事が?」
「すまん、法王。亜里須はランド自体を良く知らなくてね。――でも、そこまでは普通なんじゃ無いか?」
「その中に、二人の救世主とそれに同道する者三名、そして名を無くした魔道師と神の宿りし巫女。以上七名の名があったのだが」
まだニケとも会ってない時点で……。
なんなんだよ、御託宣。
「ここに居る、あんた以外の全員ってことか」
「私はそれで良いと思ったのだが、一応貴様にも確認をしてもらおうと思ってな」
救世主二人は間違い無い。
俺と亜里須は、そう言うことでこの世界に呼ばれたんだから。
同道する者、と言うからには一緒に居るヤツら。と言うことだろうが、文字通りに同じ道を歩いて、ここ。中央大神殿まで来たのが三人居る。
ニケ、アテネー、モリガン。これも確定で良いだろう。
名を無くした魔道師にも心当たりがある。
魔導の大家、フロイデンベルグの名前を金輪際名乗れなくなった魔道師。これが目の前にいる。
で。最後の、神の宿りし巫女。だけれども。
「あえて聞くんだが、法王。あんたが言いたいのはリオのことか?」
「……そう言うことだ」
「あんたはなんか、知ってるのか?」
「特には。……ただ貴様を迎えに行かせよ、と直接名前があがった。個人を特定するなどと、そんなことはそうそう無いのだよ。――リオで間違い無いのだな?」
「あぁ、最後の一人は多分リオのことであってる。――詳細は言わないが。俺と亜里須は何のことを言ってるか、わかる。そうだよな?」
亜里須にスマホをあげてみせる。
チェッカでさえ、それについては書かれていなかったけど。
「……うん、そだね」
「ちょっと待って! ユーリ、アリスも。なんの話をしてるの?」
自分のことだしな。リアクションとしては正しいんだろうけど。
「時期が来たら教える、今は知らなくても良い。……と思う。――だよな? 亜里須」
「……そうだね。まだ知らなくても、困んない。かな」
むしろ自分の中にかみさまが同居してます、なんて。
知ってたら、そっちの方が困るだろうしな……。
「自分のことなのに、知らなくて良いって。どう言うこと……!?」
「いずれ時が来れば……。なんてな」
来るのか? そんな時。
「なんで意味も無く思わせぶりなの? ……それともなんか意味、あるの?」
思わせぶりもなにも、――身体の中に神様入ってるよ。なんて。話せねぇもんよ。
「ともあれ。最後の一名はリオ、なのだな?」
「あぁ、その表現ならリオは条件に合致してる。……で、そのメンバーで何をしろってんだ?」
「貴様の元の世界へ飛んでもらいたい」





