「やっと……。見つけた」 Side : Unknown 3rd force
所属:***(条件未達により非表示)
灰色世界の追跡者: 珠洲嘉年 美夜
昨日、卯棟くんが転移してきて、一晩を明かしたらしい湖畔。
フードのついた灰色のローブを羽織り、巨大な首狩り鎌を持った私は、ワイバーンの死体と、たき火の後を見比べる。
「うふ、うふふふ、痕跡だけでも。やっと……見つけた。ここまで、長かったぁ。ふふ、くぅふふふふ……」
間違い無く卯棟くんがここに居た! もうその事実だけで有頂天。
「長いったって十日前後でしょ?」
森の中から聞こえる、同世代男子の問いかけに答える。
「最大二日。それ以上は、……無理、ホント無理。禁断症状で、いろんなものを、そこら中に。お漏らししちゃうトコだったわ。……痕跡だけでも、見つけて良かった。――これ、宝物にする。えへ、うへへ……」
「僕への毒は普段から漏れっぱなしなんですけど、それは……」
彼の好きなのど飴。地元では某コンビニの、しかも駅前店にしか売っていない。その包み紙を見つけた。
この世界で売ってるわけが無い。
間違い無い、彼は夕べここに居た!
「いや、ここまで十日、普通に生きてますよね? 先輩の普通じゃ無い部分って元からだし……」
「大きなお世話。……ほおって置いて」
卯棟くんの姿を見ることが出来なければ私は死ぬ。
まぁ中二病的な意味でなのだけれど。
だから彼の痕跡を見つけたことで、かなり体力は回復した気がする。
少々気にくわないとすれば、樺藤亜里須。何故か彼女が卯棟くんと一緒に居るらしいと言う事。
だいたい、こちらは卯棟くんに直接手を出すなと言われているのだ。
ならばせめて、姿ぐらいは見える位置取りをしたいところ。
今のところは、かなり出遅れた感がぬぐえない。
私の纏うローブの下には、セーラー服。
どの時点で転移してきたのか知らないが。亜里須も同じものを着ているだろうか。
あの子も私も中学時代から、いわゆるコミュ障であることに疑いは無い。
亜里須は喋れない、私は人嫌いで喋ると気持ち悪い。……どっちも最低だ。
その最低コンビは善し悪しは置いて、3年間同じクラスだった。
中学時代も私と亜里須の間で“だけ"なら喋れたので、コミュ障同士つるむことで孤立はしないで済んだ。
亜里須がヌケた頭で考え、私が気持ち悪かろうが周りに伝えることで何とかクラスに居場所を作り、クラスでは変わったコンビとして認識され。
結果的に、虐められたり不要にシカトされたりすることも無かった。
思い返すに完全に黒歴史だなこれ。
普通の人ならこんな過去があったら、その時点で自殺もんだわ。
強いなぁ、あの子も私も。
まぁとにかく。そんなこんなで亜里須と二人、多感で大事な中学時代、それを全面的にクラスメイトにこびを売ることのみに費やし、なんとか卒業までこぎ着けた。
その後。同じ学校に進学したとは言え、そこはコミュ障同士。クラスも別なら、あまり話す機会も無いが、今だってお互い状況は大きく変わらない。
「……それと。大事なものならちゃんとしまっておいて下さいよ? また無くなった! って騒ぐんだから」
「なんなの? あなた、私のお母さんなの? 言われなくても、そんなの。ちゃんと仕舞うわよ……!」
「樺藤先輩の他に、その卯棟先輩もいて、あと一人。法国の巫女でしたっけ? なにげにワイバーンを夕食にするとかハンパない感じっすけど、何者なんでしょう?」
「知らないから気にしない。……あのコミュ障女、亜里須のが問題だわ」
「問題って……。自分のことを棚に上げちゃって、もう」
まぁ別に。あんなコミュ障女の一人や二人、恋愛感情に発展しない限りは、雑用に使おうが性欲のはけ口にして貰おうが構わない。
私も処女だが、別に相手が童貞である必要性は一切感じないし。
だって、その場に立てば(寝れば、か?)男性側の経験値はむしろ高い方が、私が楽なんじゃないかとそう思うから。
つまり。亜里須にはむしろ、恋愛感情抜きでセフレとして卯棟くんと、身体の関係を構築して貰った方が、後々の私のためにも良い。と言う事かぁ。
なんたる鬼畜な結論。
でも。あなただって卯棟くんを一方的に追っかまわしてたわけだし、それはそれで本望でしょ?
問題があるとすれば。
卯棟くんはあぁ見えてドライな人間では無い、結構な人情家だ。と言う事。
亜里須とセックスしてしまったら。
あの子に情が移るかも知れない。ただ、そうなれば。
異世界に居る間なら警察も裁判所も無い、亜里須を始末してしまえばそれでオーケー。
卯棟くんにバレなきゃそれで良い。なんと言うアバウト、異世界万歳。
それに感情移入してる状態で、上手く始末をつけたなら。むしろ、私が隣に入り込む隙間を見つけやすいかも知れない。
亜里須を失った心の隙間は、先ずは性的好奇心で埋めてあげる。
見るだけで無く、実際触って、どころかそれこそ、“やっちゃって"良い上に、私は文句を言わないのだ。
事実上の強姦だろうが、変態的プレーが混じろうが、そこに文句を言うつもりは一切ない。
そう、初めは都合のいい女に見えると最高だ。
亜里須の友達である事も最大限生かして、事が終わったら伏し目がちに“いろいろ、ありがとう”。とか言うのはどうだろう。
面倒くさい、うるさい女に見えないように。台詞の細かいところは考えておこう。
そして一度身体を重ねる毎に、少しずつ卯棟くんも情が乗ってくるのだ。
まぁ。卯棟くんに目をつけたの、私の方が先なんだから。
ストーキングだって私の方がずっと前からやってたんだから。
これくらいは、当然の権利よね。
「先輩。移動の痕跡、森の向こう側に続いてます」
「……わかった、見てきて」
「了解です。――方向音痴なんだから。ここ、動いちゃダメですからね!?」
話が色仕掛けになれば“道具”にはちょっと自信がある。亜里須なんかはマジで目じゃない。
男子垂涎のお買い得物件。それが私だ
“そこ"に持っていくまでのコミュニケーション術が私にあれば、の話だが。
なんと言ってもブラのカップは亜里須より私の方が二つ上。
お尻のサイズは具体的には知らないがサイズはもちろん形のエロさも私の圧勝。
ウエストだって亜里須に比べたらサイズ一つ細い。
今は簡単に束ねて前に垂らしてあるが、当然男子が好む黒髪ロング。女子の茶髪は男子からみると意外に人気がない。
女子のコミュニティに所属していないので、その辺客観視出来るんだな、私。
多分。同世代男子から見たときに、女子高生としては一番望ましい見た目のはずなのだ。私という女子は。
私の見た目は美少女、と言いきってしまって良いと思う。
可愛いよりは綺麗系なのがちょっと弱いかな。
自分で言うのもアレだが、コミュ障の醸し出す独特の雰囲気に負けてしまっているのが玉に瑕。でも残念美少女とか最近は流行だし。
亜里須は、あの子は可愛い系なんだよなぁ。残念で可愛い。……ムカつく!
前髪がぱっつんでしかも、他人と目を合わせるのが怖いから長い。と言うものいけないんだろうな。
呪いの市松人形なんて陰で言われてるのは当然知ってる。
亜里須は最近伊達眼鏡をかけているのだが、でも。百歩譲ってサングラスならともかく、素通しのレンズなんて怖い。なんの障壁にもなっていないじゃないか。
そしてその辺のマイナスを補って余りある、口には出さない密かな私の自慢。
エロティックと清廉潔白、その狭間で絶妙にバランスされた大きさとカタチの乳輪と乳首。
色はピンクじゃないけれど、でも黒いわけでは当然無く。これはかえってエロく見えると思う。ピンクじゃ変に清純さを強調しかねない。乳房の大きさとのバランスも完璧。
でも私が本当に自信があるのはお尻。スカートが短いのは、自信があるから。
階段で見えないギリの長さ。でも。風でめくれても一応、いやん! なんて押さえるが、実際はあんまり気にしないのだ。
見たけりゃ見たら良いじゃない? ってなもんだ。
過去数度あったアクシデント、それに遭遇した男子諸兄には、――お前ら得したな? と言ってあげたい。
伊達に替えのパンツを三枚も持ち歩いているわけでは無い。
もちろん。清楚で、かつちょっと子供なイメージを損なわないため青の横縞一択。
男子的には白が一番受けが良いのだろうけれど、私の体型なら見えたときのお得感はきっとこっちの方が上だと思う。
プリント柄なら子供っぽいし、レースをあしらったりしてあると必要以上に大人に見える。
私が求めるのは子供と大人、その中間。女子高生であることを最大限生かした選択こそが縞パンなのだ。
シルクのパンツで見えないところに気を使ってます! 的なアピールも悪くは無いが、値段が悪い。縞パン、ダースで買ってお釣りが来る。故に却下。
毛だって薄いし、処理だって。こう見えて剃ったりしない。
毎晩毛抜きで一本々々。痛くて泣きながら綺麗にしてるんだ。顔や足なんて、まるで比較にならないくらい超痛いの我慢して。
更に穢れを知らない清楚で可憐な乙女の証、男子の永遠の憧れ。処女。
加えて。さ来年までは間違い無くカテゴリがJK。コスプレで無いセーラー服。
おぉ。考え方によっては結構、商品価値高いじゃん、私。
もちろん相手が貧乳マニアや、むやみにデカいのが好きなおっぱい星人、ロリコン、熟女好きなどの特殊性癖の持ち主なら、ごめんなさい。と言う他無いが、もちろん。卯棟くんがそう言った趣味の持ち主で無い事も調査済。
多少シスコンのきらいがありそうだが、別に倒錯した感情の持ち主。と言うわけではもちろん無く……。
「……先輩。――帰って来てくださーい。みゃあせんぱーい!」
「うるさいわね……!」
「お帰りなさい」
「あら、……戻ったの。ごくろー」
「まぁ、先輩はまだ。どっか行ってる様子ですが……」
ふむ、してみると。
恋愛感情や身体の関係がなくても亜里須を 殺す のはありかも知れないな。
一緒に行動しているわけだし優しい彼なら当然、情も移るだろう。
そして亜里須のことなんか、私が目の前で服を脱げば。その瞬間に忘れること請け合いだ。
しかも、そんなエロが染み出すようなボディなのに処女なんだもの!
このギャップはきっと男子を、ちょっと奥手な卯棟くんさえも打ちのめすはず。
これは絶対!
 





