車列
朝食後、走り出した馬車の車列は結構な長さになった。
一輌目に誰が乗っているのかは知らないが、白い騎士団服が最後に二人乗ったのは見た。
法王の親衛隊、法国最強騎士団である白騎士団だ。
二輌目には中央騎士団長、ハイアットさんと神官総長グスタフさんの二人が乗っている。
三輌目には俺と亜里須、リオ、そしてフレイヤが収まった。六人は乗れる馬車、しかも荷物を積むところは後ろに別に付いている。俺以外が小柄な女の子だけなのでかなり広い。
四輌目には我が侍従達三人と、そして本来は二輌目に乗るはずだったアビリィさん。亜里須のお付きとしてこの車両に拘った。
アテネーが戦々恐々としてるのがおかしくもあり可哀想でもあり。
五輌目と六両目には騎士巫女と魔道巫女の服を着た人達が乗っているが、ローブの紋章は東支神殿では無く中央大神殿。
こちらも護衛、と言うことだ。
七輌目から九輌目は馬車の形が変わって、幌を張って幅も広いいかにもな荷馬車。
引く馬の頭数も多いし、種類も違ってかなり頑丈そう。
その三輌には、東支神殿の巫女や導士達が荷物の隙間に結構な人数、入り込んでいる。
――お世話係としてお役目を教皇様より正規に外されるまで、片時もお側を離れるわけには参りません!
確かにレイジはそう言ってたが。……そこまでの仕事か? 俺達のお世話係。
車列の前後と馬車と馬車の間には当然、槍の先に法国の国旗を掲げ、馬に乗った騎士が一緒に走っている。
……なんかホントにさ。救世主、できるんだよな? 俺と亜里須で。
馬車は歩くよりはもちろん早いが、イメージと違ってそこまでスピードのある乗り物では無い。
もとより急ぐ必要性も無い。
中央大神殿まではそれなりに時間がかかる。
馬車に押し込めらられた俺達は、無駄話くらいしかすること長い。
四人中約一名は、意見を表明する場合はスマホだが。
まぁ無駄に字を打つんだから無駄話だろう、これだって。
無駄じゃ無い話ができれば一番良いんだけど。――無駄じゃない話、ね。
考えてみたら、そんな有益な話はここまで一度もしたことが無かったな。
【裕利君は、ね】
「なぜ自分が関係無いと思った?」
……お前と話してる頻度が一番高いっつーんだよ、亜里須さん。





