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流行の発信地 オシャレ少女編

「ホントの属性は情報屋のくせに、ここ暫くはやたら目立ってたからな」


 特にアイツの場合、騒動の前から街中を、朝から晩まで一日中うろうろしていた。

 なので。アテネーやニケと違って、支神殿関係者以外でも見たことのある人が多かった。と言う事情もある。


 彼女が人に会うとき。蟲使いもインコンプリーツも一切隠さず、自分からそう名乗っていたと聞いた。

 それどころか、行く先なんかわかってるくせにわざと道を尋ね、その度毎たびごとに俺の名前を出して、――その侍従である、と言いながら俺の名前を宣伝していた節がある。



 その辺は情報屋、と言う特性から、普段はあえて印象に残らないようにしているのかも知れないが、スキル的なことはさておき。

 印象を薄くするのもその逆も、モリガンならいくらでもできる。と言うことなんだろうな。



 あの蟲笛を貰って以降、さらにその傾向が顕著になり。気さくにいろんな人に話しかけ、城下には結構顔見知りもいたらしい。


 ――最近、いつも黒服を着て、可愛いのにやたらに変わってる例の女の子を見かけないが、何かあったのか?


 と言う感じで。東ゲート事変での活躍は東支神殿城下一縁、一気に広まったのである。

 モリガンらしい、と言えばまさにそうなのだが。



「実はな。東教区のオシャレさんな女子の間では、おかっぱ頭に黒いロングコートを着て、胸にオカリナを下げるのが流行ってるらしい」


 どうやらあの笛が蟲笛であるのは、この世界の人間にはわかるものらしい。

 しかもその服を着るとき、胸の大きな子はサラシで胸を潰すのだという。

 わかんないなぁ。


「……マジ?」


 蟲使いでアラクネーのインコンプリーツ。

 彼女が薄い胸に下げる蟲笛、モリガンが自分で言う嫌われる二つの要素の象徴。

 みんなそれをわかった上で、あえて見た目を真似している。と言うことだ。



 もっとも真似する子達は、モリガンよりはおっぱいは大きいのだろうけど。

 だからサラシ、なんて話になる。

 ……せっかくぴったりした服を着てるんだから、そこは真似しなくて良いのに。

 これは明らかに俺が損する話だな。



【インコンプリーツであること込みで人気があるなら、そこは良いことではあるわよね?】

「……まぁ、な」

「……?」


 その話をした直後から、

 ――マイスター、それはおかしい! どうしてスクール水着が流行らないっ!

 と、本人はずっと、熱く語っていたわけだが。



【あら? もしかすると。もりちゃん、何か言って居たの?】

「いや。……そこはいつも通りだったよ」



 普段着で、そんなもんが流行ってたまるか!

 さすがにおかしすぎるわっ!

 だいたい。誰も見たこと無いタテマエになってるっつーの。

 起きた瞬間に変態思考も復活するんだもんな、当たり前だけど。


 実は街ではモリガンの着ているものと同じ、身体にフィットしたワンピースは何処で手に入るのか。

 なんて話も、ちらほら聞こえてくるんだけど。


 それが普段着として流行るなんて、そんな恐ろしいことはいくら異世界でも無い。

 ……と思いたい。

 これも俺が得をする案件ではあるけれど、それを素直に喜べるほどには人間ができてねぇわ……。



 ちなみにモリガンさんが着てるのは、分割ラインは見えませんが上下セパレート型なんですよ。

 考え無しにそんなもん普段着にすると、数時間に一回づつ。困るよ? キミら。



 アイツの寝てる姿は、まぁ。……心配ではあったけれど。

 でも、おかしなことを口走らない分。単純に可愛かったのになぁ。


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