表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/470

流行の発信地 獣人の少女達編

 ニケが異様に強くなったのは、それは毎日“鍛錬”をする習慣ができたから。

 レイジは忙しいのに、毎日それに付き合ってくれている。

 当人に言わせると自分にも得るところがある、とあくまで控えめなのであるが。


 そしてレイジのお陰で、彼女の人見知りもだいぶ緩和された。

 とにかく一緒に居るだけで、ありとあらゆる人達から挨拶をされ、声をかけられる。レイジはそう言うヤツなのだ。


 ちなみに、ニケの所属する、いや先日から頭領を務める流派では。

 獣人だけで無く、女性は全て。チャイナドレス風の服を着るのが、流行はやりを通り越して流儀になりつつあると言う。



 但し、そこは異世界基準の服である。

 今のところ。それを作れる人が限られているので、職人さんは嬉しい悲鳴を上げている。

 とは、メルカさんから聞いた。


 魔導耐性がゼロなのに魔導士を相手に一歩も引かず。

 それどころか気合い一発、魔導をこぶしで殴りつけ、扇子で相手に撃ち返し、肉弾戦で皇帝三神将をも撃退。


 その後、騒動が収まって。事変に参加した大多数が寝込むなか、次の日から。

 岩山を、蹴り一撃で切り崩し、岩石を素手で叩き割って城壁の材料を調達し。

 複数の牛で引く荷車を一人で引いて、石切場と王都を牛の二倍以上のスピードで複数回往復。


 さらには魔導やチェーンで釣り上げて、ゆるゆるとはめ込むはずの石を。

 片手で持ち上げ、素手で城壁の穴にパズルのように――すこん。と入れてみせる。



「……チャイナドレス、流行ってる、の?」

「今のところは一部で、だが」

 最近は、普通の獣人女子の中でも流行りつつあるとか。



 まずは格好だけでも、ニケっぽく言えば つよい(カッコイイ) 人の真似をする、と言うのは。

 これはわかるんだけどさ。――普段着に、スリットの深いボディコンチャイナドレスだぜ?

 ごく一部だけで収まってくれないと困る。


 ……いや、考えてみたら。俺は何一つ困らんな。

 それを着るのが、ナイスバディ標準装備の獣人女性や、鍛え上げられた女性格闘家である以上。むしろ得するとさえ言える案件だわ、これ。


 これ、ニケを褒めても良いくらいな話じゃん。



【ふむ、またエッチなことを考えているわね?】

「俺は黙ったらいかんのか!? それにまたってなんだ!!」

「あれ? 違った……?」

 ……亜里須のヤツ、相変わらずさえてやがる。




「あ! ……もりちゃん、どぉお?」

【アッちゃんと同じ部屋なのでしょう? もう起きているって言っていたわよね?】


「モリガンともさっき話、してきたぞ。あんまり長く寝てたんで、まだ上手く歩けないらしい。こっちも少しリハビリが必要なんだって」


【それはかなり非道い、と言うことなのかしら?】

「いや。単に寝過ぎて身体が動き方忘れてるだけ、だとさ。医者も同じ事言ってたから心配ないだろう」


「……ふぅ。良かった」

【ところで。もりちゃんもやたらに大人気と聞いているわ。でもこれは巫女さん達では無い一般の女の子らしくて、最近引きこもりの私には具体的にわからないのだけれど。裕利君はなにか聞いている?】


 限界まで力を使い切ってぶっ倒れながら。30匹以上のワイバーンを一人で止めてみせた、インコンプリーツの少女。

 実は東支神殿城下、王都東教区に住む少女達の間ではたいそうな人気になっていた。


 どうしたってモリガンは肉体派にはみえない。

 変態であろうがなかろうが、見た目は線の細い小柄な少女なのである。


 その彼女が身体を張って身を削り、ドラゴンの大群から大結界を守ったのだ。

 ほっといたって噂は立つ。


 その上可愛い。というのは悔しいけど否定できないが、その見た目はアテネーやニケのような“特別感”をほぼ感じない。


 黙って立っているなら、モリガンはごく普通の可愛い女の子なのだ。

 王都の女の子達がシンパシィを感じるのも当然だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ