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気にしない人達

【でもちょっと待った】

「どうした?」

【レイジくんはリオちゃんの姉弟(シブリングス)筆頭なんでしょ? もっと能力の高い子に嫉妬されたりしないの?】


「さすがコミュ障、心配する部分が斜め上だな」

「……あの、ちがくて、わたし……」



 レイジの名字がイーストなのは、別に能力が低いのでは無く、メルカさんが自分の後継者候補として白羽の矢を立てたから。

 東支神殿から出したくない、中央に取られたくない。と言うことだ。

 これはメルカさんに直接聞いた。……それに。


 ――レイジさんなら。普通にアクシズを名乗っても、文句を言うものは誰もないかと思いますよ。とも、他の“イーストさん”複数から聞いている。


 リオが、――本人が良いなら良いんじゃない? と言うから。

 だから、みんなそのまま放置している。

 と言うのが本当のところらしい。



【すごい子ではあるのね?レイジくん】

「ニケの話だけを鵜呑みにすれば、若手では最強魔道士だそうだ」


「……でも。そう、なると」

「ん?」

【リオちゃんの立場的にはどうなんだろうって】

「一応エラくはなったな」



 いまやリオも肩書き的にはエラいさんなのであるが、それを一番喜んでいるのは実は彼らだ。

 彼ら全員。敬愛するリオ姉様の階級や肩書きを飛び越してしまったことに、忸怩たる思いを抱えていたのは、それはレイジ以外からも直接聞いて知っている。


 でも、なんかお情けで昇格した感が拭えない。

 その上、肩書きこそエラくなったが。

 神職の位としては巫女級の最上位。大巫女のリオである。

 司祭級さえ含まれる彼らであるから、そこは未だ報われていない。


 とは言え、急激に地位が上がったうえ、所属はエリートの集まる中央大神殿。

 慣れない書類仕事やら、神職としての儀式やらで現状、てんてこまいである。

 おかげでここ暫く、ゆっくりリオの顔を見たことが無い。


 最終的にはヘカテーの助祭、メルカさんの副司祭をぶち抜き、司祭も飛ばして司祭級の最上位、司教にまでランクが上がるのも内定してるらしい。

 そうなれば、部下は一〇〇〇人とかになるわけだけど。

 ――ホントに大丈夫なのか? あいつ。



「リオを見る限り、迂闊うかつにエラくなるもんじゃないな」

【このところ忙しそうだものね、リオちゃん】


 地頭は良いものの、デスクワークにむいているとは。これはなかなか言い難いものがあるリオである。

 慣れが解決する問題なのかどうか、おおいに疑問だ。

 あいつ、要領は良いんだけどな。



【ところでレイジくんの話に戻すのだけれど。彼は何故かこのところ、ニケちゃんの“スパーリング”の相手なのは知っているでしょう? 時間的に見ても、彼の約束って。きっとニケちゃんだと思うのだけれど】

「なんでそうなったのかは、さすがに俺も知らないぜ?」


 仲が良いというか、いっそ連帯感というか。

 性格も得意も戦い方も。あの二人は誰に聞いても、全てが真逆の性質なのに。

 二人で居ると、無二の親友のようなオーラを醸し出している。

 全く恋愛のニオイを感じないのは、これは当人達にとって良いのか悪いのか。


「……ふふ、……ダブルで、フラれた?」

 亜里須にしては珍しく、嫌みたらしい笑顔でニヤッと笑う。

「いつから恋バナの好きな属性になったんだよ。腐女子は何処に落っことした!」

 せっかく、ついさっき獲得したばかりなのに……。

 あぁ、腐女子は関連してるのか。


【この間、練習を見ていたら素早い上に手数も多くてその上強力。まさに相手としてはうってつけだったのだけれども。……あの子と練習していなかったら、ニケちゃん。大結界の件ではちょっと不味かったかも知れないわ】


「きっとメルカさんだろ? レイジはすごく出来が良くて、直接手元に置いて将来の責任者候補として鍛えてるんだ。って、複数の巫女さんや導士から聞いたし」


 ……ホント。弟子の人間性から世の中の流れまで。

 何処までみえてるんだよ、あの人。

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