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弟妹達(シブリングス)

「お兄様、お茶をもう一杯、いかがですか?」

「もういいや、……レイジもこっちに来て座ったら?」

「ぼくは。これからちょっと約束がありますので、この辺で」


「ん? あぁ、気が付かないで悪かったな。忙しいところ」

「いえ。リオ姉様も不在であるのに、むしろ申し訳ありません。このバニティがぼくに変わりますので何なりと。……ではこの場はこれで失礼致します」


 隣にならんだ巫女さんと二人で礼をすると、

「バニティ姉さん。あなたは我ら リオ姉様の弟妹(シブリングス) 、その長女です。――この場はお兄様含め、完全におまかせします」

「レイジくんがそう言ってくれるのなら、私も命がけでやりますよ!」

 レイジは頷くと簡単に巫女さんに指示を出し、急ぎ足で食堂を出ていく。


 ……この場合。お茶を入れるくらいしか頑張ること、ないんだけど。

 命がけでお茶を入れられても、なぁ。



 実はこないだ本人に聞くまで知らなかったが、残った亜里須担当の彼女もイーストさん。

 レイジと同じく。本来は俺と亜里須の給仕なんかしてる場合じゃ無いくらいに有能な子、と言うことだ。



【裕利君。このところ気になっていたのだけれど……】

「な、なんでしょうか?」

 そりゃ、気になるよな。俺だって未だに気になってる。


「……あの、ね。お兄様、って」

「そんな事を俺に言われても、だなぁ。……元々彼は家族とか無かったようだし、頼れるアニキにみえた。……んだと良いなぁ、なんて」


【裕利君専属のお世話係なのだし、だったらもう。既に色々、奪ったり教えたりしているとか。――あぁ、お兄様! なんて言ってみたり】


「あるかっ! なんもないわっ!!」

 あってたまるか! 俺はノーマルだ!!

 ……今んところは、だけどな。レイジが近所にいるとその覚悟も揺らぐ。

 なんでだか、アイツ。二人きりの時はやたらに距離が近い気がするし。


「……むぅ」

「は? なんだよ、そのリアクション」


【ちょっとがっかりだわ。むしろ腐女子の端くれとしては、薔薇の花が咲き誇るような、そんな展開を期待していたのだけれど】


「いつの間に腐女子属性を身につけた! 無かったろ、チェッカで見たとき!」

 ――亜里須さん、どんだけ属性増やすつもりなんすかっ!

 しかもどんどん悪い方向に!


 だいたい、ただでさえ支神殿自体が、基本的には閉鎖的な宗教の組織なのである。

 あまり特定の種類の“花”が咲き乱れるのは。それは良くないよ、……多分。


「まぁ、誰に聞いてもレイジを悪く言うヤツが居ないんだよ。優秀で優しいってさ」

【彼はリオちゃんが拾ってきたのよね?】


「そう言う言い方をするなと言うのに。……彼のイーストは。リオが連れて来た将来有望な子達が名乗る名字、男女は関係無いんだとさ。他に中央所属でセントラルとかアクシズとか、名乗ってる子達が居るらしい」


 そう、拾ってくるのだそうだ。

 自分の立ち位置を一瞬で飛び越すような、異常なくらい能力の高い子ばかりを。

 中央教区で拾われたとしても。まずは東支神殿に送られて、メルカさんが適性をるわけだが。


 最低でも、東支神殿でいきなり見習いをトバして巫女か導士になるんだそうで。

 なにもする前から中央が欲しがる子達はセントラル、そしてアクシズを名乗り、修行も無しに中央大神殿に配属になるのだ。



 リオ(あいつ)の目には一分の狂いも無い。


【そんなスキルはなかったわよね?】

「世話焼きったって限度があるだろうよ、……とは思う」

【スキルを越えるほどのお節介って……】

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