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『東ゲート事変』リザルト(上)

 所属:無所属 (未登録の第三勢力)

 灰色世界の救世主:卯棟 裕利 



 その日は結局、三時頃に遅い昼を食べて。その後。

 昼寝のつもりが、起きたら既に回りは真っ暗だったので、開き直ってもう一回寝た。

 今は厚手のカーテンこそ閉まってるが、隙間から零れる光は朝で良いんだろう。



「あぁ、良かった……。おはようございます、お兄様。お目覚めですか?」

「おは、よぉ、って。――わぁああああっ!」

「おや? どうかなさいましたか……?」

「近いっ! 近い近い近いっ!!」


 導士と巫女の割合は一:八

 でも。圧倒的に神殿を埋め尽くす女の子の声では無く、変声期の少年の声。

「お、おはよう、レイジ。なんでこんなに近いんだよ……!」

「す、すみません。……夜中に交代して、日の出前からずっと見ていたものの。お兄様が息をなさっているか、今、急に心配になったものですから」


 どうやら寝てる間、ずっと付いて居てくれたらしい。

 うん、やっぱり。この際だから、美少年に行っちゃおうか。

 ……どうせモテないし。


 今、現状。周りの女の子、みんな莫迦ばかだし。

 


「ん、……あぁ、その。心配かけたようで悪かったな。――今、何時だ?」

「朝七時少し過ぎです」

 ――思ったより早かったな。


「まる二日ほどお休みになった、と言うことになりますが。お体の具合はどうですか?」

「マジか!」

 一晩じゃ無かったのか! ――またしても寝過ぎだな、どう見ても。


「もうお目覚めにならないのでは無いか、などと思って心配しました。……本当に、その。本当に良かったです。……おはようございます、お兄様」

 そう言ってレイジはあるべき距離に戻る。

 とは言え、彼の距離感は俺のそれとは違って、そもそもやたら近いのだけれども。




「あぁ、おはようレイジ。心配かけたようで悪かった。――他の連中はどうしてる? かなり痛んでるか?」

「圧倒的に一番ダメージを受けたのは、どうやらアテネー様であるようで……」


「は? あの日の時点では、一番普通にしてたろ? アイツ」

 八面六臂の大活躍ではあったのだけれど、その後も。

 多少足は引きずっていたが、中央から来たヘカテーとも元気に喧嘩してたし。


「一時的にでも、魔導力を完全に使い尽くして仕舞われました。そのせいで、古傷を誤魔化す為に左足に展開していた術式、これが崩壊、消滅。完全に足が動かないため、現状、歩くどころか。一人では立つことさえ、ままならないのだそうですが」


「……そう言うことか」

 そう言えば。ヘカテーに逢った時点で、杖無しでは立てなくなってたな。アイツ。

 と言うことは。……片足立ちでやってたのか、喧嘩あれ


「魔力はお戻りのようですが。杖無しでは立つこともままならないので、まだベッドで伏せっておいでです」



 支神殿に帰ってくる途中。ダークホールブレイクの跡を見たが。

 アレはもうダークホールブレイクじゃ無い。

 モリガンの分もあわせて二人分の魔導力全部乗せ。クレーターに成っていた。


 あんなのが使えて、なのに本職の魔道士じゃないとかさ。



 その後。生きのこった残った10人以上を、モリガンを守りつつ魔導も何も無しで瞬殺したらしい。

 と、これはメルカさんから聞いた。


 その上で暗黒将軍、イストリパドオア相手に完璧な啖呵を切って時間を稼いでみせ。

 さらにはヘカテーと、それこそ命がけの喧嘩をしてる。

 

 ダークホールブレイクのあとは、片足が動いてなかった、とかさぁ……。


 アイツが敵じゃ無くて、ホントに良かったよ。



「中央からいらっしゃった助祭、ヘカテー神技官も癒やしの技に全力を尽くされ、結果。ほぼ同じ状況で動けないのだ、と伺いました」

「見た目も何も、ほぼ同じなんだなあの二人。……なんで仲、悪いんだろ」


 むしろほぼ同じだからこそ仲良くできない、って事もあるかも知れない。

 そう思えば、確かに。

 俺が二人居るなら。その二人は間違い無く仲が悪いだろうしな。


「ヘカテー神技官とアテネー様、どのようなご関係なんでしょうか?」

「むしろ俺が知りたいくらいだ」

「ご存じ、なかったんですね……」


「ご存じだ、と思ってる方がどうかしてるだろうよ」

「お兄様は博識でいらっしゃるものでつい……」 

 レイジはちょっと顔を赤らめて俯く……。


 うん、本気でやめて。そういうの。

 色々取り返しが付かなくなりそうだから。


 しかし、アテネーとヘカテー。

 ほぼ同じ状況でひっくり返ったってのは。なんなんだ、それ……。



 本名はともかく。亜里須の話に寄れば、ヘカテーもやはり女神様の名前。

 つまりは強力なイベントキャラの可能性がある。

 ただでさえ回復役はつまらない。

 と言う至極当たり前の理由でプレイヤーは数が少ない。


 そう言う方向性のイベントキャラが居たっておかしくは無い、か。

 俊敏性と攻撃全降りのアテネーと知り合い、と言うのもそれなら繋がる。

 属性が真逆のライバルキャラ、と言うのはいかにもありそうだ。


 俺では無く、エース級の指揮スキル持ちが彼女等を統率するなら。

 国境線を一〇リーグや二〇リーグ、前進させるのは造作もない。


 ただ、そうなら帝国側にもモリガンやニケのようなキャラが居る可能性がある。

 スクワルタトゥレが法国側の可能性を潰すために、躍起になって法国サイドのイベントキャラ狩りをしていた、と言う可能性も出てきたな。


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