スキル:ストーカー Side : Yuri's buddy "Alice"
そんな私が、裕利君に興味を持ったのは1年の秋。
偶々、斜め前の席になった彼をじっくり観察する機会を得たところから。
そう、彼には私と同じにおいを感じた。
クラスメイト達と楽しそうに話し、帰りには一緒にゲーセンやカラオケに行ったりするのだけれど。それでも。
人付き合いは好きじゃ無い。
彼の言動はそう見えた。
明るく、人好きのする彼なのに、どうしてそう見えるものか。
気になった私は、彼の身辺を洗い出してみることにした。
……いわゆるストーキングである。
そして調査の結果。
女子の中に特に仲の良い子は居ないこと、家族仲がすごく良いこと、ゲームが好きであること、など。
ちょっと話すことができれば、調べるまでも無い様なことだけがわかった。
また、里緒奈さんというひとつ違いの可愛い妹さんがいて、変な意味で無く可愛がっていることも、その“調査”の中で知ったのだ。
シスコン、のスキルはそう言う性癖なのでは無く、その妹さんへの気持ちが極端に表面化したものだと思う。
……うん。そこはホントにそうだと、いいな。
そうで無いと私は、里緒奈さんには絶対に勝てないことになってしまう。
まぁそんなこんなで。
いつしか、彼が気になって仕方が無くなった私は。
履かないのに彼と同じモデルのスニーカーを購入し、彼が友人達と話す深夜アニメを見て。
同じ機種のスマホを探して違約金を払い、キャリアを変え、機種変した。
彼の姿の見えない学校なんか、もう考えられなかった。
彼女は。……多分、いないはず。
好きな女の子は、……どうだろう。でも居たとしても既に。
良くてオブジェ。最悪、跡形も無くバラバラ。
だったら。オブジェでも灰色の塵でも無く。
曲がりなりにも、生きて動いている私の方が、数倍良いはず。
口で話せないまでも、せめてスマホに“これ”を送れたら……。
もしも私が、みゃあちゃんの見た目だったら。
それならここに着くまでに、それを口に出せただろうか。
ストーキングから恋心が芽生える。
我がことながら順番が逆だろう。と突っ込みたくなった。
同じ種類の人間かどうか。
本来一番大事なはずのそれは、実はよくわからなかった。
なにも新しい発見はなかったが、その後もストーキング行為は続いた。
だから現実界最後の日も、いつも通りに。裕利君のウチの前の自動販売機に隠れ。
この状況下で大事な妹、里緒奈さんを連れて何処へ行くのか。
彼が家を出た直後から、気になってつけていたのであるが。
ちょっと目を離した隙に。里緒奈さんはリオちゃんと入れ替わった。
里緒奈さんに何があったのか。説明はしてもらったが、その瞬間は見ていない。
そして当然、私にはみゃあちゃんの消息なんか知る手段も無く。
頭も要領も良くて、私にまで優しくて、さらには可愛い。
その彼女が灰色のオブジェになって、粉々に砕け散る。
などと言うのは考えたくも無い。
でもあの状況で、一体何処にどうやって逃げるというのか。
少なくても彼女はリオちゃんには会わなかったし、会えれば今、ここには私では無く彼女がいるはず。
こんなコミュ障のストーカー女では無く。
可愛くて、なのに美人で、私よりも頭が良くておっぱいも大きいみゃあちゃん。
彼女が隣にいたなら。
裕利君も嬉しいのでは無いだろうか、とも思うが。
でも今、彼の隣に立つのは幸か不幸か、……私だ。
結果的に、みゃあちゃんでも他の誰かでも無く私が。
裕利君とリオちゃんに助けられ、あの青い光をくぐってこの世界に来た。
それだけが、今わかっている事実の全てだ。





