表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/470

スキル:ビブリオマニア Side : Yuri's buddy "Alice"

 あの日、ストーカー。がスキルとして表示されて本気で慌てた。


 但し。裕利君は裕利君で、私の持ち物欄にパンツと生理用品があったこと。

 そして何より、自分の『シスコン』がよほどショックだったらしく。 

 そこを突っ込む余裕はなかったけれど。


 でも私は本当にストーカーだから。

 そこを深く突っ込まれたら、言いわけが出来ないのだ。


 しかもストーキングの対象は、裕利君。……なのだから。



 今でこそ、いわゆる“ぼっち”の私だが。

 高校に入るまでは、それでも話のできるお友達は、いた。


 そのお友達、珠洲嘉年美夜すずかね みやこと“みゃあちゃん”は中学生でありながら、可愛い。なんて言うと失礼なんじゃ無いか。と思うくらいに美人だった。



 プロポーションも中学生平均を楽々と超え。すらっとして背が高く。

 私のダミ声とは違い、鈴を転がすような。

 などと言う、小説でしか見たことの無い表現が当てはまるような素敵な声で。


 そうであるのに、制服をちょっとだけ着崩して、艶々でサラサラな黒髪を無造作に二つにわけておさげにして。

 それがまた、実に似合っていた。

 美少女とは彼女のことをさすのだ、と彼女を知る誰もが納得した。



 そして何故だか縞パンが好きだった。基本的にはブラもお揃いの柄でないとイヤ。

 人に見せないところこそ拘る。細かいところまで完璧な美少女。

 私もあの見た目に生まれたら、多分人生が変わったろうな。そう思った。



 男子はもちろん、女子だって。

 彼女と話をして仲良く成りたがったが、みゃあちゃんは人と話すのが、というよりは人そのものが。あまり好きでは無かった。

 私と仲良くしてくれたのは、私が人のことわりから外れているから。なのかも知れない。


 私が、みゃあちゃん。と普段から呼べていたこと自体、奇跡のようなものなのだ。

 雲の上の美少女。彼女はそうとしか呼べないような存在だった。


 しかも、みゃあちゃんは私と違って。

 嫌いは嫌いなりに。周囲と意思の疎通を図ることができたし、やたらに行動力があったのである。


 何故か彼女に気に入られた私は、だから中学時代は孤立しないで済んだ。

 なにしろ、羨望の的であるみゃあちゃんの友達なのだ。

 冷たくされるわけが無い。


 既存の部活に入る。その気がなかった彼女が立ち上げた読書愛好会には、当初私と二人きりだったがその後、後輩も入ってきて。最終的には部活に格上げになった。

 一部の後輩の男の子とは、話すことができるようにも成った。

 


 三年間、彼女と同じクラス、同じ部活だったから。

 逆説的には、彼女以外と話す必要がなかったので、だからコミュ障が悪化した。

 とも言えるかも知れない。

 それ程に私にとって、彼女の存在は大きかった。


 私よりも頭が良かったはずの彼女が、何故か同じ高校に進学した時は本当に涙を流して喜んだ。

 でも、幸運はそうそう続くものでは無い。

 当然に彼女とは別のクラスになり、選択授業も違えば、二人共部活に入るわけも無く。


 彼女は彼女で何かしら毎日忙しそうで。

 自然と疎遠になっていったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ