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スキル:コミュ障 Side : Yuri's buddy "Alice"

所属:無所属 (未登録の第三勢力)

灰色世界の救世姫:樺藤かばふじ 亜理寿ありす


 この展開は非常に不味い。

 集団戦闘なんて、コマンド方式のSRPGくらいでしかやったこと無いけれど。

 この状態が不味い、と言うのはいくら私でもわかる。


 本来、電撃一撃で魔道士を吹き飛ばし。残った暗殺者アサシン盗賊シーフ達をニケちゃんが叩き潰す。

 それで終わりだったはず。

 だけれど、実際は。



「アリス! 大丈夫っ!?」

「うん……!」


 魔道士の半数はおかしな電線の付いた装備で電撃を躱し、ニケちゃんを魔導で狙い撃ちにし。

 初めから距離を取っていたアサシン達は、ほぼ無傷で私に近づきつつある。


「待っててね、こいつら何とかしたら! そしたら、ほっ! そっち、行くから、ね! はいやぁああ! たたたたた、あたぁ!」



 不味いことに魔導はほぼ全弾、ニケちゃんに直撃している。

 扇子で弾いて撃ち返し、たまには拳で殴りつけ、蹴り飛ばしているので直接身体に当たっていないだけ。

 そうは見えないが、一緒に居てくれる中で実は一番器用なニケちゃんだ。


 彼女はスピードと力の二本柱で戦うスタイル。

 二つ名こそ“剛腕の鎚使い”で単なる力持ちのイメージだが。実はスピードも獣人の枠は遙かに超えている。と聞いた。


 アッちゃんのスピードとつりあう人など、種族がなんであれ普通は居ないのだそうだ。

 力技で強引にあわせるニケちゃんや。一瞬でも上回る、もりちゃんの方がおかしいのだ、と。

 その彼女に、かわす余裕が無いほど攻撃が集中している。と言うことだ。



 さらに不味いのは。ニケちゃんと微妙に離れてしまって、コミュニケーションが取れないこと。

 私はこの期に及んでも、まだ。大声で長文。これを話せないで居る。




 以前、ママの実家でおじじが倒れた時には、“私が”一一九番に電話をして、曲がりなりにもきちんと話が通じて、救急車を呼んで。

 到着した救急隊の人達に説明だってした。


 付いて行った県立病院でERの先生から、

 ――あと三分遅かったら危なかった、おじいさんを救ったのは君だよ。

 と、褒められさえしたのだ。


 通常ならば、まるで話せないわけでは無い。……と思う。


 属性として、コミュ障が固定されてしまっているこの世界では、尚更こうなる。

 と言うことなのかも知れないが、原因がわかったところで、今この時にはどうにもならない。




 裕利君には、――魔法もステッキも、使い方はなんかわかるはずだ。と非常にざっくりした説明は受けた。

 事実。電撃魔法が四種類程使えて、しかもステッキの頭。♡の部分から、アニメの設定通りに光の剣が生える。というのは、ステッキを握った瞬間、理屈抜きで理解が出来た。

 

 但し、戦闘系スキルが初めから備わっている裕利君はともかく。

 私はストーカーでゲームオタク。この世界に来て以降だってそこは変わらない。


 元々、――膝と肘で途切れているのだ。

 なんて言われるほど悪い運動神経が突然良くなるわけで無し。

 つまり全体魔法、『天の裁き』以外はそもそもあたらない。使い用が無い。


「……ニケちゃん、鉄扇、を」

 彼女の戦闘を見て気が付いたことがあるのだが。

「わかってる! なるべく使わないように、ほい! したいんだけ、ど、……はっ!!」

 ――違う、そうじゃ無いっ! 



 ……いったい、どうすれば。 


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