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俺はもう君から離れられない。



パチリ。そのクリクリとした大きな瞳を開き、俺は目を覚ました。


「知らない天井……な訳ないか。」


最近では女体化したことにもなれて使い古したネタを一人寂しく振るう程度の余裕が出きた。


そう!


俺は、TSしたのだ!

もっさり地味メン根暗男から、誰もが振り向くような

銀髪碧眼低身長少女な勝ち組様へと、びふぉーなあふたーしたのだ!

俺は、美少女に変身してハッピー!

世間様も、地味クソ隠キャが消えて、庇護欲をそそるクソカワ幼女(皮だけ)が増えてハッピー!である。



最もそれがいいことなのかは微妙なところだ。

チラリと視線を横へ向ける。安アパートにしては少々広い1LDK。一人暮らしには十分すぎる。

だが、男(今は女だが)一人だと部屋が散らかるのは此の世の摂理。

そんな現実から目を背けるように視線を上へ奥へ。


部屋の隅にある三段もある本棚の上にぽつんと寂しげに存在する電子式の時計は朝の9時であることを示している。


まだそんな時間か。

俺は一旦起き上がり目をこすり、大きな伸びをする。

背骨が後ろに伸びたことにより、綺麗な曲線が現れ服がはだける。


真っ白な素肌がカーテンの隙間から漏れ出た朝日を反射する。


「んん、んぅううぅぅう〜〜ーー。」


俺、可愛くね?


すまん、血迷ったわ。


正直男がこんな声を漏らして誰得だと言う話だが今の俺は美少女(笑)だから問題ない。

正直起き上がったところでこれといってやることもない、要するに暇なのだ。(2回目)


というわけで、寝よう。


最近は前にも増して睡眠時間が増えた。平均睡眠時間が一二時間以上。

不登校児も驚いて学校に駆け込むレベル。

ん?つまり、俺は知らず知らずの間に、不登校児を救っていた?

最強かよ、俺。



ごめんなさい。



何が言いたいのかというと、惰眠最高というわけだ。画数多いな……。


なんでどうでもいい感想を抱きつつ、腕を枕に横になるさらに背を丸め、寝ていた時と同じ体制になる。

こうすることにより、セルフで幼女の温もりを味わうことができるのだ!!



そして、半ばニート化して自堕落な生活を送っている俺だが学校などとうの昔に辞めたので問題ない……はずである。未成年の特権。成人した後は考えない……今は。

世界が俺に追いつくまでの辛抱だ。この居城は守り抜く。と、そんな決意を新たにしてみる。


閑話休題。


未だ起き上がっていた体制から一気に上半身をベットに投げ出し体を丸める。

シーツに残る体温だ心地よく柔らかく包み込んでくれる。天使降臨。

まさに至福の時間。


「はーー、ぬくい。。」


思わずそんな声が漏れる。そのまま、ウトウトと眠り姫にでもなろうかと思い始めた時、ソレはやってきた。


『コラアァァァァァァァ‼︎ 起きろおおおおおおおおおお‼︎ 』


頭に直接響くようでいて、鈴のように澄んだ声。嗚呼、間違いない奴だ。ちなみにコレ『』はファンタジーにありがちの “念話” と言うものらしい。

まんまやん、だと?

問題ない、俺も思った。


はやくも居城がくずれますた。

半目になりながらも諸悪の根源に顔を向ける。


ソレは壁を通り抜けてやってきた。さしずめ幽霊のように。幽霊というのも間違ってないらしいが。


半透明のほっそりとした体に艶やかな金髪はハーフアップにしてある。

極め付けはその長身に合わない小さな顔と赤と青のオッドアイ。つまるところ、お姉さん風の美人である。

女性の象徴に関しては……うん、まあ察っしてくれ。俺よりは、って感じかな?

もしかしたらそれ以k『 なぁーに考えてるのかな? 』青筋を浮かべたその秀麗な顔をこれでもかと言うふうに近づけて問いかける彼女。前かがみになると余計虚しい、どこがとは言わないけど。


『虚しくないし! 私だって少しはあるもん!! 』


はい、キャラ崩壊。てか、ナチュラルに人の心を読むな。

そして近づくな 実体がないとしても暑苦しく感じるから。

手のひらで仰ぎしっしっ、と虫を追い払うような仕草をする俺。


『ヒドイ、酷いわ、初めて出会った時はこんな邪険にしなかったのに! とっても優しかったのに! 』


それに対し、ヨヨヨと使い古しのポーズをとりチラチラ見てくる彼女。


イラっ☆


それは百年の恋(笑)に冷めたと言うことで。といっても出会って一週間くらいだけどな。割と最近なのだ。

俺は、そのキラキラと光る瞳を細めて彼女との初の会合を思い返した。いわゆる遠い目というやつだ。


『何よ!その目は!そんなめするな! 』


唐突の幼児退行。少し可愛いと思ったのは秘密である。

うるさっ、と、そんな気持ちを誤魔化すようにイヤそうな顔を作り声に出してみる。

すると彼女はその秀麗な顔を歪め泣き出しそうになる。

かわいい……。



といっても俺が彼女についてそこまで詳しいわけでもない。まだ出会って間もないしな。


『そんなに邪険にしなくても……いいじゃない。私だって、わたしだってぇ……』


彼女に関しては本当に未知数だ。今は、ちょっと残念な感じだが。


『残念とかいうな‼︎ 』


わかっていることといえば不思議な、いわゆる超能力みたいなものを持っていることと俺が女体化してから何故か唐突に現れお節介を焼いてくるということ程度。


『無視するなぁ!! 』


出会った当初は、それなりに慌てて騒いだり警察に通報しようとしたり(警察に女になったことをどう説明すればいいかわからなかったのでしなかった)したが彼女に害意がないとわかったので気づかぬうちに心を許してしまったようだ。女になって一人は心細かったしな。

幽霊っぽいことに関しては、女体化なんてことがあるくらいだし……と一人納得した。

ていうか一週間ちょっとで警戒解くってもしかしなくても俺ってチョロインじゃぁ……。


そんな無駄な思考にはまっていると疲れてきたので予定どうりに寝ることにした。


仕方ないんだ、だって彼女(布団)が離してくれないんだもん。

チラッと彼女_____リズを盗み見ると部屋の隅で体育座りをしながら自分のふくらみのない胸骨のあたりを見ていた。目が虚ろだ。暗黒面に落ちかけている。

そっとしておこう。触らぬ神に何とやらだ。


俺は何も見なかったことにして迫る眠気に身を任せることにした。


「はーー、ぬくい。。」


ニートさいこう、まる。

続かない

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