少年は語る。
まずは、夢みたいな話からしようか。
信じたくなければ信じなくていい、こんな話でたらめだと思うならそう思ってくれて構わない。ただ、僕はこの話を現実として大真面目に語る。……馬鹿馬鹿しい? そう思ってくれてもいいさ。生きられなくなることを、これから死ぬしかないことを覚悟したならば言えばいい。
先を見ている? ということは君は僕の仲間ということだね。いやぁありがたいよ。
でも、僕は人間に慣れていないんだ。変なことを真面目に聞いたらその時は叱ってほしい。変だと教えてくれ。人間がどんな生き物で、どんな生態を持って存在しているのか、僕にもぜひ語ってくれ。
……じゃあ君は何者か。よく聞いてくれた。しかし、僕も同じ≪人間≫の一人だよ。驚いたようだねぇその顔、楽しいなぁ僕と違う≪人間≫って生き物は。
僕の言う人間と君が言う人間は、まず根本が違うんだ。知っているかい? 僕のような人間は「望まれて作られたわけではない」、つまり、親がいてそのお腹の中から生まれたわけじゃないんだよ。天に作られた存在、ってわけ。混乱しているね? 無理もない。
だから僕は天から力を授かり、人を自由に動かすことができる存在に変化した。ふ、殺すことなんて一番簡単じゃないか。生かすよりも殺すほうが容易に僕にはできるんだよ、やって見せようか? 何、遠慮することはない。君も、いずれ僕の仲間になることはもう確定しているんだ。
嫌だと思うなら逃げればいい。ただし、君の本当の人生はめちゃくちゃになってしまっているがそれでもいいならさあ逃げろよ。
また僕の一人暮らしが始まるんだ。誰にも従うことのない世界で生きるのは、楽しいもんだよ。
今の自分を抜け出したいなら、今すぐ舞い降りるがいい。