7月24日
「おはよう」
いつもの朝、いつもの待ち合わせ場所に行くと既に3人揃っていた。
「誠、今日は早いんだね」
「たまには俺だって早起きするんだよ」
「早起きって言っても来たの祐希が来るちょっと前だったけどね」
「俺にとっては早起きしたんだよ!」
沙耶に言われ誠は言い返したが、適当な返しをされ落ち込んでしまった
「早起き…したのに…」
一人で何やら呟いていたがスルーしておこう
「司は今日も隣の家の子と帰るの?」
「ああ、悪いな」
「気にしないでいいよ、用事が済んだらまた皆で帰ろうよ」
「おう、ありがとな」
朝のホームルームが終わり僕は動くのがめんどくさく席に座っていると誠が近づいてきた
「数学のノート貸してくれ!」
「どうしたの急に。ついに勉強する気になったの?」
「いや、今日さ順番的に当てられそうなんだよ」
「なるほど、でも僕より沙耶のノートみせてもらったほうがいいよ字綺麗だし」
「沙耶は駄目だ!怒られるから」
僕に聞いて来た理由はわかっていたが何となく聞いてみると、やはり予想通りだった。わかりやすい誠だな
「わかったよ、今回だけだよ?」
「ありがとう!恩に着るよ相棒」
そう言うと誠は自分の席に戻りノートを写し始めた
「あら、誠が勉強してるなんて珍しい」
「数学の勉強だってさ。今日当てられそうなんだって」
「なんだ、ノート写させてもらってるのかと思った」
僕はドキッとしたが気づかれてないようなので安心した
一時間目が終わり喉が渇いたので自動販売機へ行く途中司と会った。声をかけようと思ったが昨日一緒に帰っていた女の子といるようだった。
何だか暗い話をしているような感じだったので声をかけずそのまま自動販売機へと向かった。飲み物を買いそこで飲んでいると司がやって来た
「祐希じゃないか、どうしたんだ?」
「ちょっと喉が渇いてね。司はさっきの子との話は終わったの?」
「なんだ、見てたのか。少し相談乗ってただけさ」
「随分深刻そうな話してたみたいだけど大丈夫なの?」
「正直言うと大丈夫じゃないな。どうしようもない状況なんだ」
「そうなんだ…何か力になれることがあったらいつでも言ってね?一緒に考えるからさ」
「ありがとうな。その時は頼むよ」
話が終わると僕と司はそれぞれのクラスへ戻り授業が始まった
昼休みになり4人でお弁当を食べていると司の後輩の女の子がクラスにやって来た。少し話がしたいと言うので司は教室を出て行った
「何か大変そうだな」
「私達も力になれたらいいんだけど」
「すぐ解決してくれればいいけど」
やっぱり2人も心配していたようで僕達3人はもう少し経って解決していないようだったら話を聞くと言う事にした
結局昼休みが終わるまで司は帰って来なかったのでお弁当を司のクラスの机の上に置いておく事にした
5時間目の授業は数学。やっぱり誠は当てられ僕と沙耶は解答に期待していたが結局わからなかったらしく2人して方を落としたのであった
6時間目が終わり帰りのホームルームも終わった所で今日は昨日と同じくすぐ帰るか寄り道するかで話し合った所今日も寄り道せず帰ることになった
「そう言えば誠、朝数学勉強してたみたいだけど結局わからなかったのね」
「あれは難しかったんだよ!」
「あれのどこが難しいのよ。簡単じゃない」
「僕もあの問題なら解けたよ」
「俺だけかよ…」
「もし次当たりそうなら言ってよね、教えるから」
沙耶がそう言うと誠は泣きそうになりながら神と言っていた。実際泣いていた
僕は笑いながら他の事を考えていた
「司大丈夫かな」
「あまり気にしすぎても良くないと思うよ」
「うん、確かにそうだね」
「心配なのは分かるけどもう少し待ってみよう」
「それじゃあまた明日」
皆と別れ家の近くまで来た所で司を見かけた。誰かと話しているみたいだが相手は30近い男の人だ。少し近づいて話を聞いてみると所々だが会話が聞こえた
「これ以上・・・近づかない・・・」
「・・・せえなあ、俺が・・・ないだろ?」
そんな会話が聞こえたがここで僕が入っても何も出来ないので今日の所は帰ろうと振り返った時、叫び声が聞こえすぐ振り向くと司が倒れていた。叫んだのは司と一緒にいる後輩の女の子であった。僕は動こうとしたが足が竦んで動けなかった。
僕がここで行った所で何が出来るんだ?
喧嘩なんて殆どしたことがない僕が大人に勝てるのか?
そんな事を考えていると、30近い男の人が司をまた殴ろうとした。僕は自分でも意外な行動を起こした。それは司を殴ろうとした大人を僕が殴ったからだ。
「いってえな…。てめえ誰だよ、邪魔してんじゃねーよ」
僕は司を何が何でも守ると言う事しか頭になく他の話し声が全く聞こえてなかった
丁度その時、たまたま通りがかった警察官に止められ僕はその場に座り込んでしまった
司が僕の方へ来てありがとうと言ってくれた事が本当に嬉しく頑張ってよかったと思った
司達は警察署へ行き話をするみたいで僕はその場で少し話を聞かれすぐ解放された。
その晩司から電話が来た
「今日は本当にありがとな。まさか祐希が助けに来てくれるとは思わなかったよ」
「今でも自分の行動がびっくりしているよ」
「あの頃とはもう違うんだな…」
「司には助けてもらってばかりなんだからお返ししないと」
「気にしなくていいのに。そう言えばな、解決したよ」
「そうなの!?よかった…」
「ああ、今日はもう遅いし明日にでも話すよ」
「わかった、それじゃあまた明日ね」
「おう、おやすみ」
電話を切り僕はホットした。しかし本当に今日は疲れたたった一時間の事が何日も続いていたかのように思える。僕は布団に入り目を閉じた
「おやすみ」
声が聞こえたような気がしたがすぐ眠りについた