八話
翌朝、意外にも俺は彼女に起こされた。
ソファーを揺すられて目を開けた俺に向けて彼女は一言
「ご飯」
猫か、お前は。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
トーストに牛乳という簡単な朝食を彼女は食前と食後の言葉以外に何も話さず。と言うよりも俺も話さずに食べ終え、二人分の食器を片付けて再び寝室に向かう彼女を呼び止めた。
「華山、ちょっと待て」
「なに。私今から寝るの」
「どれだけ寝るつもりだよ」
「心ゆくまで」
「そういうのは他の時にしてくれ。
それよりお前、き、着替えをどうするつもりだよ」
「ダメじゃない、揃えておかなくちゃ」
「出来るかっ」
即答してしまったが、ある日突然に起きることなど誰が予測できようか。いや、できまい。
「買いに行くぞ」
「そこら辺の安物で我慢しておくわ」
寝室に行くのは諦めて、ソファーに寝転がって寝る体勢になったこいつに殺意が湧いたのは仕方が無いと思って欲しい。
「お前も、に決まっているだろっ」
「えーー
いや。」
こいつ……
「つべこべ言うなっ
行くぞ、そこのコンビニに売ってるから」
華山の腕を取って玄関に引きずって歩く
「いーやーぼーりょくはんたーいーせーくーはーらーおーまーわりさーんーちーかーんーいたっ」
「うるせぇ」
何をそんなに嫌がる事があるんだよ。そこだぞ、徒歩三分ぐらい。
「しょうがないわね、後悔しても知らないわよ」
「徒歩三分のコンビニでするわけないだろうが」
俺は細いながらしっかりとしたその腕を、引っ張って行ったことを後で後悔するとは露ほども考えもしなかった。




