二話
気長に……ええ、気長にお願いします。
リビングに連れてきて電気を付け、傷があちらこちらに付いた古い付き合いの机に座り、一方的に話を切り出した。
「それで、どんな話だ」
「あら、乗り気ね。驚いたわ」
彼女はさほど驚いた様子も無く、落ち着いた様子で俺の向かいに腰を下ろして驚いたと言う。
「恨み言でも人生相談でも何か話を聞くだけで十万なんてぼろ儲けなことは無いからな」
「そう、ならいいわ」
薄い笑みが彼女の口元に見えたが、このさい何に巻き込まれようと自己責任と割り切る。
「まずはそうね。私の家の事を話しておくわ。
私の家はね、世間様が言う富豪とかそういう類の家なの。
あら、知ってたという顔ね。それもそうね、有名だったもの。
それで、ここからが本題。
私、家出して来たの。計画的に
まって、私が話しているのだからあなたは口を開かないで。
ええ、わかってるわ。家出に計画的な家出があるのか。と言いたいのでしょう。あら、それとも何で家出する必要があるのか。かしら
大丈夫よ、二つとも教えてあげるから
計画した理由は簡単よ。
監獄みたいな家で、慎重に計画を練らないと勝手に外に出られなかったのよ。
まあ、家出自体を考えていたのは12歳から、計画したのは15歳の時、下準備にはそれから4年掛けたわ。
実行してしまえば一瞬なのにね。
さっきも言ったように監視の目が無ければ入ることも出ることもできなかったから、仕方なかったのよ。
家出した理由?
そうね、時代錯誤かもしれないけれど会ったこともない許婚、結婚相手が嫌になったの。
許婚から来るのは手紙と贈り物だけ、どう思う!?将来の相手なのに顔も声も知らないのよ!!
あ、ごめんなさい。柄にも無い事をしたわね。
ふう、大丈夫よ。落ち着いたから。
これでいいかしら。
ええ、スッキリしたわ」
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