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銀と紫電を纏いし獅子

ルグレス帝国。



古代の大戦に勝利し、建国された帝国である。

大陸には他にもいくつかの国が建国されたが、ルグレス帝国は自領を守り善政を敷く国として有名だった。



建国から数えて19代目の皇帝ナバレル。皇帝は酒色に狂い、政務を蔑ろにし暴君と化していた。

その皇帝を帝位から降ろそうとし軍事クーデターが発生。次の皇帝の座に着いたのは、クーデターを指揮し、第一線で戦っていた皇帝ナバレルの次男アレクサンドロ・バスキス・ド・ルグレス。


当時まだ13歳。


彼は銀髪、紫目の天使のような愛らしい風貌を裏切って、軍を前線で取り仕切り、自らも戦地に赴き、さながら堕天使の様な笑みを浮かべながら戦局を支配していった。


その彼の傍らには常に二人付き添っていた。


当時わずか15歳のルーカス・レイエス。

それよりもさらに若い10歳のクリスティン・マサイアスである。



クーデターを成功させたアレクサンドロは、すぐさま内政と軍事を掌握。

レイエスを宰相、マサイアスを元帥に任命した。

当然、反発が起きる。


子供に何が出来る。

玉座は玩具ではない。


声高に叫ぶ高官達を、天使の様な微笑みをしながら皇帝はただ黙認していた。



その後、アレクサンドロは粛正を指示。


レイエスは粛清をリスト作成。


マサイアスはそのリストに沿い、ただ淡々と事を進めた。



リストの第一に名前が挙がっていたのは、前皇帝ナバレル。

レイエスはアレクサンドロに公開処刑を提言。アレクサンドロの許可が下りるなり、大勢の民の前に引きずり出され、炎天下の元処刑が行われた。


処刑方法は斬首。


しかし斬首で納得しないほど、怨みを買っていた前皇帝は民から罵詈雑言を吐かれ、石や瓦礫、ありとあらゆる物が投げつけられた。



「最後の言葉はありますか。父上。いや、前皇帝ナバレル。」



と満面の笑みを浮かべたアレクサンドロが尋ねる。



「こっ…の…獣がぁぁ!!貴様なぞ余の子なぞではないわぁ!!貴様を呪ってやる!!呪ってや」



ヒュンと言う音と共に、眼下に映ったのは白い一閃。



それが永き時に渡り民を虐げ、暴虐の限りを尽くした皇帝ナバレルの最後の瞬間見た光景だった。



首が落ちた瞬間、民の凄まじいまでの歓声が広場に満ち、傍らに立つ神の如き笑みを湛えた麗しい若き皇帝への讃辞を捧げる。



新皇帝アレクサンドロの時代の始まりである。

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