第1話
朝起きれば朝食を摂り、その後授業を受ける。時間が経てば昼食が出てきてその後また授業。暗くなれば夕食を食べる。
僕はいつも変わらない日常を過ごしていた。
「今日もまたこのパンか」
僕がぼやくと横から声がとんできた。
「そんなこと言ったらまた先生に怒られるぞ」
そう言ってきたのは同室の友人だ。
生まれた時から一緒に過ごしてきた友人とだからこそ話せることだ。
ここでは生活に文句を言うと『先生』に叱られてしまう。
「よくお前はこのパン飽きないな」
僕が言うと友人は呆れながら答えた。
「飽きたら他の物が食べられるのか?」
そう言われると何も言えない。
「そんなことより、早く食わないと遅れるぞ」
そう言って友人はパンを勢いよく口に入れ授業の準備を始めた。
準備が終わると、いつも通り部屋の前に自動操縦型ビークルが到着した。
このビークルが僕らの移動手段であり、部屋と部屋を行き来する唯一の手段でもあった。
僕はいつもと変わらない風景をビークルの小さな窓から眺めていた。
「お前こそ、この風景飽きないのか?」
友人に聞かれた。
「何も見ないよりはマシだ」
このビークルは筒の中を移動するため窓から見える風景はずっと灰色の壁だ。もう何回見てきたかもわからない。どのタイミングで継ぎ目が見えるかも覚えたほどだ。
「見ても何も変わらないぜ?それより俺の今日の夢の話を聞いてくれよ!」
そう言うと友人はベッドから落ち続けたと言う夢の話をしだした。
その話に飽きてきた頃だ。
いつもならこのくらいで左の筒に曲がるはずが未だまっすぐ進み続けていることに気がついた。
「おい、何か変だ」
夢の話を遮り友人に言うと彼も気づいていたようだ。
「いつもの揺れがないな。今日はいつもの教室じゃないのか?」
そんなはずはない。今まで1度たりとも違う動きをしたことなんかなかった。しかし何を考えても僕らにはこのビークルを止めることもできない。
「まあ違ったっていいじゃないか。お前がずっと欲しがってた変化だぞ?喜べよ」
思考を巡らせていると、少し馬鹿にしたような声色で友人に言われた。
「欲しがってたわけじゃない!」
言い方に腹がたった僕は友人に言い返した。
「そんなに怒るなよ」
そう言われると余計に腹がたつ。
そうこう言い争いをしていると急にビークルが止まり、ドアが開いた。
恐る恐る外に出ると、教室だった。
しかし、いつもと違う点が1つあった。それは中に人が2人いたのだ。
普段は僕と友人の2人しかいない教室に人がいるのだ。
「誰、ですか?新しい先生か何か?」
僕らがポカンとしていると中の1人が恐る恐る話しかけてきた。
「俺たち先生じゃないんだ。俺たちも普段この教室で授業受けてるんだよ。」
友人が答えてくれた。
中の人は2人でヒソヒソ話し合っていた。
「ここで先生以外と会ったの初めてだな」
友人も僕に小さな声で言った。
そう。この教室で先生以外と出会ったのは、今日が初めてだ。
そもそも昼食後の運動の時間に大きい部屋で会う以外、先生以外と会う機会はない。
しかし、その時間にも見たことのない人間が今目の前にいる。
「お前たちとは会ったことないよな?」
そう聞くと1人が頷く。
「お前たちはどこからきたんだ?」
そう言おうとした時、急いだ様子の先生がやってきた。
「ごめんね。ビークルが誤作動起こしたみたいで違う教室に来ちゃったみたい。このことは他の人には言わないでね?」
そう言われ僕らはまたビークルに戻された。
その後僕らは普段の生活の生活を送った。
ーー夜ーー
「朝のあれなんだったんだろうな?」
友人が続けて聞いてきた。
「見たことない奴らだったよなー。普段会う奴ら以外にももっと人がいるのかな?」
僕は少し考えて答える。
「僕にもわからない。」
しかし、僕が気になったのはそこではなかった。
彼らは僕らと違う気がしたのだ。
「〜〜〜」
友人が色々話しかけてくるが、生返事で僕は考えていた。
彼らは僕らと比べて髪が長く、胸は膨らんでいた。そして声も僕らより高かった。
あれは僕らと同じ人なのか?
しかし、一向に答えらしき答えに辿り着けないので諦めることにして友人に言った。
「また明日他のみんなにもこっそり聞いてみよう。今日は疲れたし寝るよ」
そう言うと友人も
「そうだな。今日は運動の時間がなかったから気分転換できなかったしな。おやすみ」
そう言って眠りについた。




