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第62話 輝き朝、謎の事件 ③

1年B組の教室。

 4日前、フェアリーズプロダクションから新ユニット『エアーリアルズ』の正式な活動発表が行われて以来、B組の賑わいは日増しに激しさを増していた。

赤星実瀬の注目度は一気に爆発し、今では『陵星高校のフェアリー』とまで呼ばれる存在になる。授業外の時間には、彼女を中心に人の輪ができ、男子はもちろん、女子からも多くの視線が集まっていた。

 さらには、B組の教室前の廊下までが混雑し、上級生までもがわざわざ彼女を一目見ようと訪れるようになっていた。

 陽太は自分の席に座りながら、人だかりの隙間から見える実瀬の姿をぼんやりと眺めていた。


 200を超えるエネルギー個体の気配。その中でも、実瀬の存在だけがひときわ明るく、軽やかに輝いている。

――赤星さん、今日もキラキラしてる……ほんと、綺麗だな。

「おう、もう来てたか?」

声をかけてきたのは、風沢慎輔かぜさわしんすけだった。 陽太は軽く頷きながら返す。


「おはよう、風沢くん。」


「また彼女に見とれてたのか?」


「うん……。フェアリーが現れたってだけで、この熱気、しばらくは続きそうだね」


陽太の頬には、少し照れたような笑みが浮かんでいた。


「まあ、でもこの人気ぶりが続くと、委員長は毎日大変だな。」


 二人がふと教室の入り口を振り返ると、錦織茜寧にしこりあかねが通行の妨げにならないよう呼びかけていた。だが、実瀬をひと目見ようとするファンたちは、彼女の声など気にも留めていないようだった。


「……まるで、ポラリスみたいな輝きだな。」


「いや、ベガじゃないか?」


「いや、アイドル界には上には上がいるって意味さ。彼女自身もインタビューで、あんなに謙虚に話してただろ?」


「それがわかるけど、赤星さんの光は一等星だと思うよ。」


人波のなかで、周囲に気遣いながらも苦笑を浮かべる実瀬の姿があった。

その様子を見ていた陽太に、慎輔が声をかけた。


「そういえば、昨晩の日野市での事件、知ってるか?」

「高校生3人が襲われた……っていう事件のこと? 今朝ニュースで見たよ。どうかしたの?」


「報道では詳しく言ってなかったが、そのうちの一人……陵星の生徒らしい。」

「えっ……それって、誰が?」

「名前で確信した。プラモデル部の井上先輩だ。」

「井上先輩…… 風沢くん、どうしてそんなこと知ってるの?」

「この前、彼にインタビューしたときにさ。友人たちのために、よく特注の作品を作ってるって言ってたんだ。それでね、『《《せっかく作ったものと別れるのが、ちょっと切ない》》』って、ぽろっと言ってた。」


慎輔の口から語られる内容は、ニュースでは一切触れられていなかったものだった。

被害者のことをまるで近しい人物のように話す慎輔に、陽太は思わず目を見開いた。


「そんなところまで聞いたの?」


「偶然さ。彼の発信活動について聞いたときに、自然と出てきた話だよ。」


陽太は、ヘラオプス星系の観測に打ち込んでいる自分の姿と重ねながら、その話にどこか共感を覚えていた。


「……そうか。じっくり作った作品には、次第に愛着が湧くもんだよね。」

「ちなみに、他の2人との関係も気になってるんだけど、多分、同じ趣味仲間だったんじゃないかな。」


「わざわざそんな情報を教えてくれるなんて、どうして?」


「注意喚起のつもりさ。天文部の夜間観測は、光が少ない場所でやるだろ? 今回の事件現場、この辺りに近いからさ。」


「ありがとう、気をつけるよ。僕は基本、自宅の庭で観測するけどね。」


呑気に笑う陽太に、慎輔は少し真剣な表情で言った。


「それでも……気を抜くなよ。」

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