表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/153

第45話 身体検査、異能者の真実 ①

翌日、研究所ではエリックが、先日ゴラーテルトンγを退治した際のデータを検証していた。


それは、衛星によって撮影されたプラズマバスターによる照射の前後映像だった。

映像の中に、ゴラーテルトンγ以外の生命反応が映っているのを見つけたエリックは、眉をひそめながら声を上げた。


「リー先生、少し奇妙な点が見つかりました。こちら、確認していただけませんか?」


自席で研究レポートの入力を進めていた瑤妤は、キーボードを叩く手を止めると席を立ち、エリックの元に向かう。


「何か、新しい発見でも?」


「はい。こちらは事件当日、ゴラーテルトンγにプラズマバスターを照射する直前の映像です。レンジャー重装特務隊389Bチームがターゲットに接触する前、避難の間に合わなかった民間人を見つけています。一部は避難に成功しましたが、一人が瓦礫に下敷きになり……」


「……それで?」


「交戦の影響で地盤が崩れ、隊員たちは通報により現場からの撤退を余儀なくされました。その直後、我々がプラズマバスターを発射したのです」


腕を組みながら、瑤妤は静かに頷く。


「なるほど。その後、現場に高熱を帯びた生命体が現れ、高圧プラズマ流によってゴラーテルトンγを撃破……」


「青木さんが言った変異仮論が、プラズマ照射の影響によるものであれば、つまり、日野陽太くんを異能者に変えたのは、第三者の干渉ではなく、我々が放ったプラズマだった可能性が高いかもしれません」


「その映像、さらに精査してみましょう」

「はい。ただ、少々時間がかかります」

「分かりました。その間に私は、いくつか確認を取っておきますね」


そう言って席へ戻った瑤妤は、ディバイスで通話を開始する。


「こちらは科援隊、リー部長です。二日前の西八王子の件で、確認したいことがありまして……レンジャー隊389Bチームの隊長とお話しできますか?」


〈少々お待ちください〉


〈はい、大田です。俺に何かご用ですか?〉


「先日の任務で、貴チームがゴラーテルトンγと接触したのは間違いありませんか?」


「ああ、そうだ。衛星映像で確認してるだろ?」


「では、さらにお伺いします。現場で瓦礫に下敷きになった少年と接触があったとか?」


「ああ……日野って名乗ってたな。勇気のある少年だった。逃げ遅れた人のために、最後まで助けようとしてた」


通話を聞きながら、瑤妤の胸には、静かだった水面に石を投げ入れたような、さざ波が広がっていた――。



土曜日の朝食後、黛璃は台所で食器を洗っていた。

陽太と辰昭、そして陽菜は食卓を囲んで話をしていた。


「ええ〜?なんで陽菜は行けないの?私も行きたい!」


陽太が研究所で精密検査を受けると聞かされた陽菜は、驚いて口を開けた。


「陽菜は家でお留守番な。研究所は遊びに行く場所じゃないぞ」


辰昭が父親としての威厳を保ちながらも、ユーモアを混じえて答える。


「でも……子どもの頃に何度か見学させてもらったじゃない?」

「今回のは普通の見学じゃない。陽太の検査なんだし」


隣に座る陽菜は不安げに陽太を見つめ、言葉を重ねる。


「……でも、お兄ちゃん、昨日も急に学校を休んだでしょ?それと関係あるんじゃないの?」


前日、陽太は登校しなかった。


体調不良を装ったが、実際には板津修吾たちとの衝突を避けるためだった。

黛璃には熱があると説明し、診察は受けずに薬と睡眠でごまかしたが、実際は冷静に考える時間を得るための「仮病」だった。

彼の体を気遣っていた黛璃は、瑤妤の助言もあって、無理に詮索せず静かに見守っていた。


「まさか……お兄ちゃん、重い病気じゃないよね?」

「それが分からないから検査するんだよ」


不安を最小限にとどめるため、事情を知る辰昭は淡々とした表情で答える。

その直後、皿を拭いていた黛璃が、タイミングを合わせるように言葉を添えた。


「陽菜ちゃんの気持ちは分かるけど、大丈夫。陽太は元気そうだし、検査でちゃんと分かるわよ。それより、陽菜ちゃんは来週の全州模試があるでしょ?今はそっちに集中する時期よね?」


「……分かったよ。あーあ、こういう時だけ夫婦の意見がぴったり合うんだから……」


陽菜は小さくため息をついた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ