柊の想いが紡いだ未来
柊が残した「ありがとう」の想いは、町の人々の心に深く根を下ろした。
祭りが終わってからも、町は以前とは違う温かさと優しさに包まれていた。
学校では、生徒たちが互いに感謝の言葉を交わし合う習慣が自然と生まれた。
商店街の店主たちは、訪れる人々に笑顔で声をかけ、小さな親切を惜しまなくなった。
町の広場には「ありがとうの木」が植えられ、誰もが自由に感謝のメッセージを書いて飾る場所となった。
毎年、柊の願いを受け継ぐ「ありがとう祭り」は続き、多くの人が参加して町を盛り上げている。
彼女の友人たちは、柊の手紙や願いリストを大切に守りながら、新しい世代へと伝えていった。
「柊が教えてくれたのは、どんなに小さなありがとうでも、世界を変える力があるってこと」
そう語る結人や七海の姿は、多くの人に希望を与えている。
そして、柊が生きた証は、町の人々の心の中で確かな光となって輝き続けている。
「ありがとう」はもう単なる言葉ではなく、町の絆となり、人と人とを結びつける魔法のような力となった。
柊の願いは終わらず、これからもずっと、誰かの心を温かく包み込むだろう。
そうして、ひとつの小さな勇気と感謝の種は、未来へとつながっていくのだった。