柊の容態悪化と、それでも続く想い
「ありがとう祭り」は、町中の温かい気持ちが集まった素晴らしい一日だった。
色とりどりの飾り、笑顔あふれる人々の声、柊への感謝の言葉があちこちから聞こえた。
柊も病室の窓からその賑わいを見守り、心の中で何度も「ありがとう」と繰り返した。
だが、祭りの熱気が冷めると同時に、柊の体は限界に近づいていた。
数日後、柊はいつもより息苦しそうにして、ベッドに横たわっていた。
酸素マスク越しに、彼女は必死に言葉を絞り出す。
「まだ……終わっていないから……」
その声には、諦めることなく、これからも願いを叶えたいという強い意志が込められていた。
家族や友人たちは、その言葉を胸に刻み、涙をこらえながら彼女の手をしっかりと握った。
「柊、私たちがいる。みんながいる。だから一緒に頑張ろう」
望先生もそっと頷き、柊に微笑みかけた。
その夜、柊の病室には、祭りに参加した人たちから届いた手紙やメッセージが静かに積まれていた。
「あなたの想いが、私たちの力になりました」
「ありがとう、柊さん」
柊はそれらをひとつひとつ丁寧に読みながら、弱々しくも確かな笑顔を見せた。
「みんなの想いが、私の願いをつないでくれる」
その言葉が、静かな病室に深く染み渡った。
柊の戦いは続く。
たとえ身体は弱くても、彼女の心には確かな希望の光が灯っていた。