第二話 フリーターとステータス
ここは?
強く閉じた目を開けると自分の知らない光景が広がっていた。
自分の周囲を覆うような木の柵。頭上には、鳥の形の玩具のような物。
そこまで見回して気が付いた。
(俺って異世界転生したのか?)
さっきまでの足元の光ない。それどころか足元が見れない。
いや、違う。
俺いつの間にか寝転がったんだ?
そして気付く、目を開けてから一番変わった点に。
(俺赤ん坊になったのか?と言うかさっきから一言も喋れない。)
どうすればいい?さっきからずっと落ち着けない。
まず何から考えるべきだ?そうだ!俺が赤子なら親がいるはず。
俺はできる限り大声で泣き喚いた。
「わぁーーーーーーーーん」
すると、足音が聞こえてきた。
「ライル様お待たせしました。どうかなされましたか」
声をかけてきたのは白髪の目立つ恰幅のいい女性だった。
(ライルって誰だよ。)
心の中ではそう思ったが、口に出せないし多分俺のことだろう。そう思う事にした。
(俺の名前今日からライルになるのか。)
何もできないままどんどん状況だけが変わっていく。
この婦人も見たところお手伝いさんみたいな恰好してるし俺の転生先はもしかして貴族だったりするのだろうか?
そんな事を考えていると婦人は俺の顔をじっくりと見つめて思案する。
「先ほどミルクの時間は終わったはずですし、シーツにも汚れはありませんしどうしましょう?」
婦人は何か決まったような顔をしながらこちらに近づいてきてた。
「ライル様がよく眠れるようにお話をさせていただきます。」
俺は何もできないので大人しく話を聞くことにした。
「まだ、十歳の少年彼はアルフォルテの王様になりました。彼の名前は、シリウス。シリウス様は、王様になってから一年でアルフォルテの作物の収穫量を二倍にしてその次の年では、三倍にまで引き上げました。それだけではありません彼は、十五歳で当時誰も攻略出来ていなかったダンジョン『黒鉄の砦』をたった一人で攻略し莫大な富と強大な力を手に入れました。そしてアルフォルテは周辺諸国で一番の国力を手にして今や周辺諸国で一番の大都市へと発展しました。」
(なんかすごい脚色されてそうな話だったな。それでいてあんまり子供向けの話じゃない気がする。まあでも少しだけ眠くなってきた気がする。)
俺はとりあえず寝たふりをした。
「あらもう寝てしまいましたか。では、私は失礼いたします。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気が付いたら辺りが暗くなっていた。
(寝たふりするつもりだったけど普通に寝ちゃったか。でも、体が赤ん坊だからそれもしょうがないのかも知れない。)
見たところ部屋には誰もいない。
赤ん坊見てなくていいのかよとは、思ったがどちらかと言えば好都合だ。ようやく情報を整理できる。
まず、何から考えるべきか。取り敢えず直近の事から整理しよう。
(ここが異世界だとして今いる場所がさっきのお手伝いさんが言っていたアルフォルテでいいのだろうか?正直口ぶりからしてお手伝いさんがアルフォルテと別の国の人間ぽい印象は受けなかった。)
取り敢えず現在地は不明。
次はあの神様の話だ。
(あの神様はスキルを授けてくれたらしい。確か『視野狭窄』、『注意力散漫』、『全知全能』の三つだ。前二つは明らかにゴミスキルの匂いがするし『全知全能』は明らかに強そうだ。それに、あの神様が最後に言った二つの試練って多分ゴミスキルのことだよな。他にも気になる事言っていたがまずは、スキルの確認からだ。)
異世界にきてまだ試してない事がある。
(ステータスオープン)
名前:ライル 種族:人間
レベル1
体力30/30
マナ30/30
筋力1
魔力1
抵抗1
素早さ1
スキル:『視野狭窄』レベル 1 『注意力散漫』レベル 1 『全知全能』レベル1
なんか弱くないか?
正直、ステータスオープンでステータスを確認できたのは嬉しいがなんか弱い。
レベルが一だとこんなもんなのか?
弱いのは仕方ないスキル確認しよう。
『視野狭窄』:視界が狭くなる。五メートル先の視覚情報を認識できない。
ちょっとまて、ゴミスキルってレベルじゃないだろ。
デメリットしか書いてないじゃないか。
『注意力散漫』:一つの事に集中しづらくなる。
おい、両方ともちゃんとゴミスキルじゃないか。
頭が痛くなってきた。
『全知全能』:あらゆる知識とあらゆる事を可能にする力
凄い、前二つと比べて明らかに強い。
『全知全能』さえあれば何でもできるんじゃないのか。
そう考えた矢先だった。
(急に頭が割れるみたいな感覚だ。なんだこれちょっと我慢できない痛さだ)
「わぁーーーーーーーーん」
ほとんど無意識に泣き出した。
すると慌てて先ほど婦人が飛び込んできた。
「ライル様失礼いたします。ミルクですか?すぐにご用意しますからね。」
婦人は、俺を抱きかかえてあやし始めた。
俺が泣くのをやめるとゆっくりと籠に俺を置いた。
「少しお待ちください。」
一礼して退出する。
ややあって婦人はミルクをもってきた。
「ライル様お待たせしましたどうぞお飲みください」
俺にスプーンを差し出してミルクを少しずつ飲ませる。
あまり美味しいとは思わないが、少し楽になった。
そして俺は、そのまま眠りに落ちた。




