噴出する声達 下
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ケイトは、公爵家の二階から表のざわめきを見下ろす。
日増しに大きくなる集団と熱気を、否でも応でも感じてしまう。
(このままでは、いつまで経っても酷くなるだけだわ…。)
ケイトは、夫人とオーバルの元へ向かった。
「私に、説明する機会を下さい。せめて、新聞記事達とだけでも。会う機会を下さい。」
彼女の言葉に、二人は目を丸くし互いを見つめ合った。
「ケイト、貴女の気持ちは分かるわ。でも、今は待って頂戴…。」
「待つとは、何時までですか?もう一ヶ月以上はこんな状態で、しかも状況は悪くなる一方です。」
「今は、父上達がハローティにいる。余計な刺激をあちらに与えたくないんだ。」
「余計な刺激って、何?私は目の前の騒ぎを、メルトンからの批判を沈静化する必要があると思っているだけよ。」
「そうだが、待ってくれ。今はまだ。」
オーバルの言葉に、夫人も頷く。そうなれば、ケイトには引き下がるしか無い。
感情に任せて、部屋を出た所で彼女はクリスティーナと鉢合わせする。逃げるように、その場を去った。
そんなケイトを見送ったクリスティーナは、静かに中に入った。
「ケイトを、何処か心休まる場所に連れだした方が良いのではなくて?」
妹の開口一番の言葉に、オーバルは溜め息を付く。
「毎日、連日、自分を非難され続けるなんて、誰でも辛いわ。お母様、ケイトは苦しんでいるでしょう?」
娘の言葉に、母は頷く。
「せめて、警護の関係が上手く成りたてば、それも可能だけれど…。」
「ケイトを、ハドソン公爵家から出すなんて!今は危険すぎる!」
否定を露わにする兄に、妹は言った。
「でも、お兄様。このままでは、ケイトが壊れてしまうわ。それでは、手遅れよ。」
娘の意見を、母が汲んだ。
「そうね。ケイトを、出来うる限り安全な場所へ出しましょう。」
「母上!?」
「オーバル、落ち着いて。ケイトを見離すわけではないわ。彼女にも、安息出切る場所が必要よ。でも、何処が良いかしら…。」
沈黙する三人の中で口火を切ったのは、クリスティーナだった。
「ドラメント伯爵家は、どうかしら?」
「ヘンリエッタ嬢の?」
「ええ、あそこは身内になるのだし、警備も問題ないでしょう?」
「それは、そうだけれど…。」
言い淀む夫人に、クリスティーナはオーバルに言った。
「お兄様!ドラメント伯爵は、陛下の影の側近よ。あの家だって、ウチや王宮と同等に安全じゃなくて?ヘンリエッタとケイトは仲が良いし、リュシウォンだって預かる位よ?」
「そう、だな…。母上は、どう思われますか?」
二人からの視線を受けて、夫人は思い悩む。
確かに、クリスティーナの案は正しい。
けれど、身内にならないかもしれない懸念があるというのに、ドラメント伯爵家を頼って良いのだろうか…。
だが、ケイトが心を病めば、元も子もない。
「そうね、ドラメント伯爵家に打診してみましょう。」
ハドソン公爵家からの要請を、ドラメント伯爵家は二つ返事で受け入れた。
こうして、ケイトはハドソン公爵家から密かにドラメント伯爵邸に移り住む事となった。
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