モヤモヤとした心 下
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ハドソン公爵とイリウスは、予定していたハローティ滞在の一週間を越えたが帰国してこなかった。
ヘンリエッタは、ハドソン公爵家を訪れ、公爵夫人に対面する。公爵家の方には、彼等からの知らせが入ってくるからだ。
「二人共元気にしているそうだし、連れている者達も変わりないそうよ。」
「そうですか、良かった…。」
ヘンリエッタの笑顔とは裏腹に、夫人の顔色は優れない。
「あの…?」
首を傾げるヘンリエッタに、夫人は重い口を開いた。
「ヘンリエッタ、どうか落ち着いて、聞いて頂戴。」
「はい…。」
夫人の様子に、ヘンリエッタは内心訝しく思いながら頷いた。
「今回のハローティへの訪問はね、同盟関係を結ぶことだったの。ハローティの薬物関与は、否定できない。けれどそれは、ハローティが将来的にメルトンをサバナの様に統治下に置く事を考えているからだろうと…。」
「はい。」
「統治者は、自分の末娘とイリウスを結婚させるなら、メルトンとの新たな同盟関係を築くと言っているらしいの。」
「え…。」
ヘンリエッタは目を見開いた。そんな彼女を、夫人は見詰める。
「イリウスは、婚約したばかりだから解消させて、イリウスはそのままハローティに滞在させる様に言ってきているのですって。公爵はそれを、どうにか止めさせたいと思って滞在が伸びているみたいなの。」
「それを、断れば?」
「同盟は結ばないと、言っているそうよ。」
「そんな事が…。」
夫人は溜め息を付き、言った。
「こんな事を、話してごめんなさい。けれど、イリウスの婚約者が貴女であるのだから、知って置いた方が良いと思ったのよ。」
「いえ、ありがとうございます。」
「今の私達は、待つしか手は無いわ。ヘンリエッタ、顔色が悪いわ。今日はお帰りなさい。クリス達には、私が適当に話しておくわ。」
ドラメント伯爵家の馬車を見送りながら、公爵夫人は深い溜め息を付く。
本当は、数年前にハローキティへ留学したオーバルが統治者の娘の誰かと政略的に婚約をするはずだった。
けれど、オーバルはケイトとの婚約を望んだ。ケイトは、研究者で有りながら医療の知識に長けていた。それは、当時メルトンの医療の向上を目指していた国の思いとも重なり実現したのだ。
事実、ケイトの出した案の数々が現場で採用されている。
そしてハローティは、この件の面子を潰された状態だった。
(オーバルが、ケイトを選んだ事に間違いは無かった。それがメルトンを良くした事は事実…。けれど、その事がメルトンを別の危機に追いやっている。)
仲睦まじいイリウス達の姿を思えば、親として胸が痛んだ。けれど…。
(今回は、避けられないかもしれない…。)
夫人は、肩を落として両手を握り締めた。
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次回投稿は、明日20時です。




