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嫉妬の色は何色?

サクッと楽しんで下さいね。

 

 リュシウォンを見送ったイリウスは、ヘンリエッタの方を向くと満面の笑みで両手を広げた。


「はい、どうぞ。」

「え?」

「え、じゃないよ。さっき、他の男と抱き合っていたでしょ?俺には出来ない?」

「他の男とって、リュシーですよ!?あの子とは、弟みたいな関係で…。」


 彼女があの子どもの事を、そういう風に思っているのは知っている。

 けれど、このお嬢さんは何というか、意識が足りない。


 足りないとはいえ、分かって欲しい。


「それにイリウス様は、リュシーとは違います。」


 イリウスは手を広げたまま、先ほどまでの嫉妬心は小さくなり、この状況から先に期待大でヘンリエッタに言う。


「意識はしてくれてるんだね。嬉しいよ。ほら、おいで。」

「イリウス様…!」

「貴女が来ないなら、俺の方から抱きつきに行こうか?」


 ヘンリエッタは、顔を赤く染めて目を見開いた。


「どうしても、…止める気は無いのですね。」


 イリウスは、笑ったままヘンリエッタを見据えて無言で頷く。彼女は俯いて暫くじっとしていたが、そろりとイリウスに近付いてきた。

 けれど、あと一歩という所で足は止まった。


(今は、この距離なのか…。)


 最後は、イリウスが一歩踏み出してヘンリエッタを抱き締めた。


 抱き締められたヘンリエッタの体は、一気に緊張が走る。彼女は声こそ上げなかったが、ガチガチに緊張しているのが伝わってきた。


 イリウスは、少しの申し訳なさと自分は彼女に危害を加える気が無いということが、伝われば良いと思いながらそのまま緩くヘンリエッタの体に腕を回して大人しくしていた。


 とはいえ、腕を回している彼女の括れた腰のラインに、浅い息遣い、温かな体温、絹のような艶やかな金髪に白い首筋、そして彼女の体の柔らかな感触…。

 イリウスは自分の全ての感覚を、総動員してできる限り冷静に、ヘンリエッタの情報を一つ一つ収集していく。


 暫くして、彼女の緊張が徐々に緩んで身を任せてくれたのが分かると、イリウスは嬉しさに胸が躍った。


 柔らかくて

 可愛いくて

 軽くて


 めちゃくちゃ良い匂いだ


(香水…、では無いな。香油か。ローズじゃないな…、ジャスミンか…?)


 つい夢中になって嗅いでいたら、それに気が付いたヘンリエッタが急に腕の中で暴れ出した。


「ちょっ!?イリウス様、そんな嗅がないで下さい!流石にそれは…!」

「ごめん、ごめん。(あからさまには)止めるから、まだ離れないで。」

「もう…!」


 彼女が見上げてくると、至近距離で目が合った。


(あ、キスしちゃう…?)

 

 イリウスがそっと顔を近付けたら、ヘンリエッタの顔は再びみるみるうちに赤くなり俯いた。


(まぁ、そうだよね。…予想通りの反応だけど。)


 イリウスは、開いた隙間を埋める如く腕に力を込めて更に密着させた。ヘンリエッタの体は再び緊張して硬直したが、イリウスは構わずしっかりと彼女を抱き込んだ。


「イリウス様…!」

「嫌なら、言って…?離れるから。」


 耳元で囁かれたヘンリエッタは、イリウスに何かを言いかけたが、結局黙ったまま何も言わなかった。イリウスは、そんな彼女に内心小躍りするほど気持ちが舞い上がる。


(堪らないな…。だが、変な気が起きない内に離さなきゃな。けれど、離れがたいよな…。)


 新たに加わった胸の柔らかさとお腹の感覚、薄い撫で肩と…、新たな情報もしっかりと入手する。少し下に手を伸ばせば形の良さそうなお尻が有るが、…今は流石に触れない。


 結局、イリウスはそのまま暫くヘンリエッタを離さず、侍女の遠慮がちな咳払いで渋々と彼女を手放す事になる。









最後まで読んで頂きありがとうございます!

次回投稿は明日20時です。

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