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一般人

作者: 雑踏の中の人

文章を書くことのリハビリのようなもの。ただの電子ゴミのようなもの。

 太陽がのぼり、中途半端に閉じられたカーテンの隙間から光が差し込み部屋の中を段々と明るく照らしていく。心地の良い眠りから引き上げようとしてくる陽の光にまぶたに強く力を入れ、無意識に差し込んでくる光から逃げるように寝返りをして、決まりきった事象に対して少しばかりの抵抗をする。

 しかし、儚い抵抗はけたたましい音を部屋の中に撒き散らす時計に打ち破られ、まどろみの中から現実へと引き上げられてしまう。休日の怠惰な生活と頭と体を癒やしてくれる布団からなんとか這い出し、少しばかり距離の離れたPCデスクの上でなおも不快感を煽るような音をさせる忌々しい人類の叡智に手を置き、その音を鳴り止ませる。

 中途半端に動いている頭を働かせて、もう一度布団に潜り込もうとする本能をなんとか理性で押さえつけて

敷布団をたたむことに今日も成功して顔を洗い歯を磨いた後に台所に向かいヨーグルトとバナナを胃の中へ入れる。ネットのどこかで見たが、寝起きのコーヒーはどうやら良くないらしいからもう少し時間がたった頃に飲もうと思う。そんなことを今日も考えながら着替えてカバンを持って家を出る。 

 今日も代わり映えのしない毎日が始まる。どこかのマンガの主人公だったかヒロインだったかが、「人生は劇的だ」と言っていたと記憶の片隅で思うが、概ね同意するが同意しかねるといったところだろう。

 個人的な見解を電子の海のノイズとして垂れ流すのであれば、一部の人間は劇的でそれ以外の人間はただの一瞬のみが劇的なのだ。それが非凡と平凡を隔てているのだと思った。

 また、今日も一般人としての一日が始まり終わる。人生に劇的な事象が起こることを願い、絶望しながらこの世にありふれているなんてこと無い命を燃やす。

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